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携帯電話戦争・・・ソフトバンクが採用する中国の高速企画TD-LTE

2012-10-17 09:47:00 | 時事/金融危機


■ ソフトバンクのスプリント・ネクステル買収は世界の通信戦争か? ■

ソフトバンクの米3位の携帯会社スプリント・ネクステル買収は、
ソフトバンク側のメリットが何処にあるのか、今一つはっきりしない。

そこで注目すべきは、次世代高速通信技術の国際企画の問題。

■ 第四世代通信技術「4G] ■

iPhonやアンドロイド携帯などスマートフォンの普及は、
大量のデータを送受信する為に高速回線が不可欠です。

そこで、国際的な高速回線の企画化が進められてきました。
いわゆる、第4世代通信技術「4G」呼ばれる企画です。

4G企画の特徴は以下の通りです。

1) 50Mbps - 1Gbps程度の超高速大容量通信を実現
2) IPv6に対応し、無線LANやWiMAX、Bluetoothなどと連携し
   固定通信網と移動通信網をシームレスに利用(FMC)できる。

LTE-AdvancedWiMAX2の2企画が4Gとして正式に認められています。

■ auとソフトバンクのLTE用回線は3.9G ■

しかし2010年12月6日に厳密な意味では「4G]企画ではない
LTEWiMAX、さらにはHSPA+などの
3Gを発展させた規格も「4Gと呼称してよい」という事になりました。

これは多分にマーケット的な意味あいを含んだ承認と言えます。

iPhon5の発売に合わせてauは高速通信サービスであるLTEのサービスを開始しました。
ソフトバンクもこれに対抗してLTEサービスを開始しています。

ところが、auのLTE用の通信フォーマットも、
ソフトバンクのフォーマットも実際には「4G]では無く「3.9G]と呼ばれるものです。

auは3.9G規格であるLTE(FDD)サービスを「au 4G LTE」とい呼んでいます。

ソフトバンクはAXGP(TD-LTE)規格を「SoftBank 4G」称しています。

■ 高速通信に適してPHS ■

高速通信の為には、高い周波数帯を使用する必要がります。
高い周波数の電波は直進性が強く、ビル影などに回りこみません。
そこで、沢山のアンテナを設置する必要があります。

実はPHSは電波が弱い為に、従来から沢山のアンテナを設置する必要がありました。
結果的にPHSのアンテナ網は、高速通信に適した周波数帯に対応する事になり、
WILLCOMXGPという「次世代PHS」と呼ばれる高速通信規格を整備します。

ソフトバンクはWILLCOMを買収して高速通信網を手に入れました。

■ XGPは、いつの間にか中国が主導する規格TD-LTEに化けていた ■

XGP規格は国産の規格で、その開発には総務省も絡んでいました。
しかし、XGP規格のサービスは2011年の終了し、
ソフトバンクはWILLCOMが設置したPHS通信網を用いて、
新たに「SoftBank 4G」のサービスを開始します。

この「SoftBank 4G」規格の中身は、実は中国やインド、ロシアなどが推進する
「TD-LTE」という「3.9G]の通信規格です。

ソフトバンクは基地局の機材などを、中国の華為技術の機材を使用しています。
華為技術は先ごろ、エリクソンを抜いて、世界最大の通信機器会社になりました。

■ TD-TLEに対応しないiPhone ■

ソフトバンクの絶好調を支えるのはiPhoneの存在です。
ところが、iPhone5は何と、TD-TLE規格をサポートしていません。

これは、次世代高速回線としてTD-TLE通信網を整備して来たソフトバンクには致命的です。


アメリカの携帯最大手AT&T陣営が主導する3.9G規格は「FD-LTE」と呼ばれる企画です。
「FD-LTE]はNTTドコモやauが採用しています。


ソフトバンクはiPhoneのLTEサービス開始にあたり、
独自に整備を進めていたTD-LTE回線が使用出来ずに、FD-LTEを整備しています。
(多分、まともに受信できるエリアは非常に限定的と思われます)


ソフトバンクはiPhone5発売当初、LTEサービスを行わないと発表していました。
それは、行わないのでは無く、行えない事情があったのです。
しかし、ライバルのauに差を付けられる事を恐れて、
慌てて、FD-LTE通信網を整備したのでは無いでしょうか。
当然、サービスエリアは限定的だと予想されます。

実際の接続テストでも、auに圧倒的な水を空けられています。
速度以前の問題としてLTE回線に繋がっていません。



■ アメリカは中国の通信危機メーカーをスパイ認定して市場から締め出している ■

iPhone5がTD-LTE規格をサポートしていない事は非常に不可解です。

中国やインド、ロシアなど今後携帯市場で飛躍的にシェアが拡大する国々で採用される
TD-LTE規格をサポートしない事は、iPhoneの市場戦略としては片手落ちです。

みすみすSUMSONGなどの競合機種に市場を奪われる結果ともなり兼ねません。

しかし、アメリカは先ごろ、中国製のルーターやハブが、スパイ行為に使用される恐れがあるとして、
Huawei Technologies(ファーウェイ テクノロジーズ;華為技術)と
ZTE(中興通訊)の製品を、米国企業や政府に利用しないよう米下院の委員会が勧告しました。

これ以前からアメリカではこれら2社の製品を規制していましたが、
改めて、2社の製品を市場から締め出す意思を表明した事になります。

これは、アメリカ国内でTD-LTE規格の締め出しを意味します。
そして、Appleも、iPhoneにLD-LTE規格を採用しない事で、政府の意向に従っている様に見えます。

■ 通信機器の貿易戦争に巻き込まれたソフトバンク ■

アメリカは中国の通信機器メーカーを締め出す理由を、「スパイ容疑」としています。
しかし、これは明らかに詭弁と思われます。

アメリカはこれら2社をアメリカ市場から締め出す事で
アメリカの通信インフラへの中国製品の参入を明らかに阻止しています。

さらには、Appleに通信方式の規制を掛ける事で、
世界中で、中国など新興国の通信機器のシェア拡大を防ごうとしている様に見えます。

ソフトバンクはボーダフォンや、中国、インドなどと共に
TD-LTE陣営を形成してきましたが、
稼ぎ頭のiPhoneに、TD-LTEを否定されてしまったのです。

■ スプリントが48%出資するクリアワイアーの存在 ■

ソフトバンクがスプリント・ネクステルを買収した背景には、
スプリントが48%の資本を所有するクリアワイアーの存在が大きいと言われています。
クリアワイアーはTD-LTE方式を採用する高速通信サービスを展開しています。

ソフトバンクは日本でWILLCOMを買収してPHS回線網を取得した様に、
スプリント・ネクステルを通じて、クリアワイアーのTD-LTE通信網を手に入れ、
スプリント・ネクステルの通信網に組み込む事で
AppleにTD-LTEの採用を迫ってゆくものと予想できます。

・・・しかし、米国政府は、中国の通信規格に否定的です・・・。

■ 現代の「β 対 VHS」戦争の様相を呈していないか? ■

FD-LTE規格は、アメリカの通信事業の最大手であるAT&Tの推進する企画です。
NTTやauなど、旧電電公社や旧KDDなどAT&Tと繋がりに深い企業はFD-LTE陣営です。

これに対して、ソフトバンクや英ボーダフォン、中国移動やインドのティ・エアテルは
タッグを組んで、TD-LTEの普及に努めています。

これはかつての「β VS VHS」の戦いを見る様です。

携帯電話の設備投資は多大です。
人気のiPhoneが、どの通信方式を採用するかによって、
携帯電話のシェアに大きく影響を与えます。

現像、FD-LTE方式の整備を進めたauのiphoneの接続環境は、
ソフトバンクの追随を許しません。

AppleがiPhoneという目玉商品をau陣営の販売を許可した背景には、
複雑な事情が見え隠れします。

ちなみに、AT&Tはロスチャの息の掛かった会社です。

私は今回の世界的な携帯戦争の背景にあは、
ロックフェラーの退潮が影響していると考えています。

アメリカは明らかに中国を封じ込める戦略に転換しており、
通信分野へも、その影響が現れている・・。

ソフトバンクのバクチに付き合うみずほ銀行ですが、
旧富士銀行は、D・ロックフェラーのお気に入りでした。
はてさて、ソフトバンクのバクチは当たるのか、外れるのか・・・。

アメリカが中国市場を見限るかどうかで、ソフトバンクの命運が決まるとも言えます。

■ 中国移動仕様のiPhone5は、結局TD-LTE対応しなかった ■

中国の携帯最大手、中国移動は、AppleにTD-LT対応を再三要請してきました。
しかし、中国で発売されたiPhone5は、結局TD-LTEに対応しませんでした。

これは中国国民を大き失望させると同時に、
アメリカの通信規格戦略を、再度確認さえる事象とも言えます。

■ イーアクセス買収で1.7GHz帯を手に入れたソフトバンク ■



ソフトバンクは今回のスプリント・ネクステル買収に先立ち、
国内ではイーアクセスを買収しています。

これによってソフトバンクは1.7GHz帯を手に入れています。
2.1GHz帯が既にパンク状態なので、
1.7GHz帯は、ソフトバンクユーザーにとっては有りがたいと言えます。

しかし、現状ソフトバンク向けのiPhone5が対応しているのは2.1GHz帯のみです。
今後、ソフトバンクはAppleと、1.7GHz帯の対応を協議するそうです。

ソフトバンクは1.7GHz帯のFDD-LTE化を急いで進めている様です。
多分Appleが、iPhone5でTD-LTE化に対応しない事に見切りを付けたのかも知れません。

Appleがソフトバンク用のiPhone5で1.7GHz帯のFDD-LTEに今後対応するならば、
ソフトバンクはGHz帯を2バンド持つ事になり、
auに対して優位性を確保できるかも知れません。

いずれにしても、携帯戦争の核心は、Appleが握っているとも言えます。

さて、天国のスティーブン・ジョブスは盟友、孫正義氏を応援してくれるのでしょうか?




<追記>

ちょっとイジワルな気持で書き始めた記事ですが、
調べてゆくと孫社長の経営手腕のすごさを
改めて知る結果となりました。

「足りないものは買えばイイ」
このブレの無い姿勢と、判断のスピードが、
ソフトバンクをここまで成長させたとも言えます。

とかく細かな事に気を遣う日本人にあって、
やはり孫社長は欧米的な経営者だと言えるのでしょう。

確かに「妬み」の対象になり易い人物でもありますが、
日本の多くの大手企業が、経営判断の遅さから総崩れになる現状にあって、
ソフトバンクが躍進する理由が良く分かります。

ただ、それを支えてちるのが融資である事は気がかりです。
経営拡大が止まった時点で、ソフトバンクには巨大な負債の重圧が圧し掛かります。
言うなれば、景気後退に敏感な企業だとも言えます。

デフレや不景気を追い風にしているユニクロも似たような状況です。
アジアや新興国に行くと、ユニクロは安物ブランドでは無く、
日本のカッコイイブランドと認識されています。

国内での利潤率が頭打ちになり、新興国の売り上げ増加で成長するユニクロですが、
新興国の景気後退の影響を、最も受け易い企業の一つとも言えます。

中国景気に黄色信号が点灯する状況で、
拡大戦略を取ってきた時代の寵児達が、
どの用に苦境を切り抜けて行くのか、
良い意味で、興味がある所です。


色々と悪口を書いてしまいますが、
私自身、アンチ巨人の様な、ネジレタ孫正義ファンなのでは・・・ふとそう思う本日でした。