■ ドルの独歩安を隠すアベノミクス ■
ユーロ高が続いています。
これは、ドル安、円安の裏返しなので、
別にユーロ危機が解決した訳では全くありません。
ドルは財政の崖と、シーリング問題の解決を3月に控えています。
QE3で金融緩和も継続中なので、本来ドルが最弱通貨となります。
ところが、アベノミクスの期待先行で、円がドルよりも売られています。
現在、ユーロ>ドル>円 という関係になっています。
ドルの独歩安になりそうな所を、アベノミクスが上手くカバーしています。
■ ヨーロッパの資金の動き ■
ヨロッパの経済の見通しはかんばしくありません。
欧州の金融機関は、ユーロ高を利用してヨーロッパ域内の資産を、
アメリカ国内の資産に組み替えている可能性があります。
アメリカの株式市場を誰が買っているのか?
日本の株を誰が買っているのか?
ここら辺は冷静に判断する必要があるかと思います。
■ 株価は景気の指標になっていない ■
ダウ平均が1万4千ドル台を狙うなど、株式市場が改善している様に見えますが、
シーリング問題などを控えて、債券市場から一時的に資金が移ってきています。
昨年8月の米国債のシーリング問題の時も、
国債金利が上昇し、株価も上昇しました。
しかし、シーリング問題が解決した途端、
株式市場から債券市場に資金は移動しました。
S&Pがアメリカの格付けを下げたにも関わらず、
アメリカ国債に資金が集まりました。
この様に、債券市場、株式市場、現物市場の間で、巨大な資金が循環しています。
この資金は、市場の長期的な動向など無関係に、
相対的に安ければ買上げ、しばらくすると、他の市場に資金が移動して行きます。
相場の動きは短期的に推移し、実体経済の関係性はどんどん薄れてきています。
現在は世界的に景気が後退しているので、現物市場は安値で推移しています。
そこで、株式市場と債券市場に資金が滞留していると思われます。
米国のシーリング問題の解決が明らかになるまでは、
しばらく株式市場は強気に推移するでしょう。
■ 日経平均15000円回復!? ■
2013年中には日経平均15000円を回復などという強気の予測も聞かれます。
実際には11000円でもみ合うなど、
今一つ迫力に欠ける展開です。
例年3月上旬までは、株式市場に資金が集まって来る傾向なので、
良く行けば、13000円代まで行くかも知れませんが、
そこから先は一旦下落に転じます。
アメリカが容認する相場は1ドル95円程度だと思われるので、
為替がその水準に達する直前に、欧州を初めとした利益確定売りが発生し、
資金は一気に債券市場に移動してゆくものと思われます。
日本の個人投資家がどれだけ鈍感かにもよりますが、
決算を前に、銀行や年金資金、さらには日銀の資産買い入れ資金を総動員して
株を買い支える状況になるでしょう。
さて、日本株はというと、政治の状況次第とも言えますが、
3月末まで11000円をどうにかキープして、
その後は輸出企業の決算と、業績予測次第となるのでしょう。
少なくとも、2013年に15000円を達成する様な明るい材料は見当たりません。
■ アメリカ経済は回復しているのか、それとも・・・ ■
アメリカの10-12月期のGDPが3年半ぶりにマイナスに転じています。
QE3の実施で、アメリカの景気が上向いていると報道されていただけに
微妙な数字が出てきてしまいました。
原因は防衛費削減とヨーロッパ向け輸出の減少です。
一方、住宅投資が15%程度上昇し、設備投資も順調に伸びている事から、
景気の落ち込みは一時的と見る向きもあります。
住宅市場は、回復というよりは、大都市を中心に「値ごろ感」が出てきたというべきでしょう。
サブプライムショックを引き起こした住宅バブルの水準にまでは到底達しないと思われます。
ただ、住宅市場の回復も実体経済が今後悪化すれば直ぐに冷え込んでしまうので、
米経済を牽引する程の力強さは無いでしょう。
一方、3月までは財政問題が燻るので、米国経済の先行きは読みにくく、
設備投資も、欧州や新興国の景気減速の影響も加わって、低調に推移するでしょう。
目下の材料は、12月の雇用統計ですが、
12月はクリスマス商戦に当たるので、短期の雇用が増加します。
雇用は微増という数字になると思われますが、
これも、手放しで喜べる数字とは程遠いと思われます。
・・・・とまあ、当たり障りの無い事を書いたりすると
結構、経済アナリストの記事みたいに見えたりしません・・・・。
本日は「人力でGO」恒例の、「当たらない経済予測」でした。
アナリストの方々って、難しい事を言っている様で
実は、「良い材料があれば、景気は回復する」という事しか言っていませんね。
景気が上向く時には、アナリストの予測は当たり、
景気が下向く時には、だいたい外します。
これが、企業に雇われたアナリストの限界でしょう。
だって、「皆さん、大急ぎで逃げ出しましょう!!」なんて、言える訳が無い。
そういった意味で、藤巻氏や、PIMCOのビル・グロス氏は貴重な存在です。
ほとんど「オオカミ少年」扱いですが、
もし世界経済が崩壊したら彼らの高笑いが聞こえてきそうです。
でも、藤巻氏はドルで大損してしまうかも知れませんね・・・。
ジョージ・ソロスは、とっとと自分だけファンドを解散しちゃいましたからね。
それでいて、何だかんだと、投資家の射幸心を煽る発言を繰り返しています・・。
まあ、この世界、皆さんポジショントークを繰り広げていらっさしゃる訳で、
彼ら自身、明日が見通せたら苦労はしないのでしょう。