アクセスが多いので、その後の記事を参考までに。
福島の子供達の甲状腺ガン・・・放射線の影響なのか?
無邪気な善意は時に悪意よりも危険である・・・「正義」が強いる犠牲
■ 福島の子供に甲状腺ガンが見つかる ■
福島の原発周辺の子供から甲状腺ガンが見つかったという報道がされています。
甲状腺がん3人、7人疑い 福島県「被曝、考えにくい」
http://www.asahi.com/national/update/0213/TKY201302130390.html
<全文引用>
福島県は13日、東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった3人が甲状腺がんと診断され、7人に疑いがあると発表した。チェルノブイリ事故では、被曝(ひばく)から最低4~5年後に甲状腺がんが発生しており、県は「総合的に判断して被曝の影響は考えにくい」と説明している。
県は事故当時、18歳以下だった約18万人のうち、約3万8千人の甲状腺の超音波検査結果をまとめた。計10人の平均年齢は15歳、男性は3人で女性が7人。腫瘍(しゅよう)の直径は平均15ミリ。確定診断された3人は全員、進行がゆっくりしたタイプの早期だった。甲状腺の被曝線量などは不明だ。今回の調査対象は、飯舘村や浪江町など避難区域などの子どもたちだ。3人は手術でがんを摘出、通常の日常生活を送っているという。
甲状腺がんの大半は進行が遅く、生存率も高い。診断30年後の生存率は9割以上。これまで、子どもの甲状腺がんの発生頻度は100万人に1~2人程度とみられていた。今回、それより高い頻度で見つかった。福島県立医大の鈴木真一教授は「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と説明した。成人の超音波検査では3・5%に甲状腺がんが見つかったとの報告もあるという。
<引用終わり>
原発事故でお子様がガンになるのではと怯えるお母様達には、ショッキングな記事だと思います。
■ 3万8千人から10人は、高い確率に思える ■
① 通常100万人に1人~2人の確率でしか発生しない子供の甲状腺ガン
② 福島では3万8千人から10人の発生で非常に効率である
この2点の比較だけを見ると、原発事故で子供の甲状腺ガンが多発している様に受け止められます。
甲状腺ガン30代から50代の女性に多いガンで、
2005年の国立がん研究センターの統計によると、
甲状腺がんの粗罹患率(1年間に10万人あたり何人がかかるかを表す指標)が、
男性で3.4、女性で10.8と報告されています。
18歳未満の子供で、3万8千人から10人というのは確かに「高率」の様に思えます。
■ 粗罹患率とはどういう数字か? ■
ここで注意しなければいけないのが、
「子供では100万人に1から2人」とか
「粗罹患率が男性で3.4、女性で10.8」という表現の正確な内容です。
先ず、甲状腺ガンをどうやって見つけるかという点に注目する必要があります。
甲状腺ガンは痛みなどの自覚症状のあまり無い癌なので、
発見される場合は、乳癌の様に自分の甲状腺を触診して腫れを見つけたり、
外部から見て、明らかに甲状腺が腫れているのが分かる事でガンが見つかる様です。
素人でもわかるようになる頃にまで成長したガンは3~4cmになっている様です。
自覚症状が無く、進行も遅いため、
甲状腺ガンが発見されずに、他に原因で無くなる方も多い様です。
日本人同様、韓国人も甲状腺ガンが多い様ですが、
韓国では超音波診断の発達によって、甲状腺ガンがかつての5倍も発見されています。
日本では、甲状腺ガンが発見されても安易な摘出はせずに温存しますが、
韓国では、小さなガンでも摘出してしまい、社会的な問題となっています。
政府が医療機関に、「何でもかんでも摘出するな」とおふれを出した程です。
この様に、甲状腺ガンは日本人に比較的多ガンですが、
集団検診でも発見されにくく、
実際の患者数と、潜在的患者数の間に大きく隔たりがあります。
超音波検診で精密に検査すれば、甲状腺ガンの患者数は、韓国の例に見る様に激増するはずです。
まして、子供に甲状腺ガンが発生したとしても進行が遅い為、
通常発見されるのは、大人になってからだと考えられます。
「甲状腺ガンは子供には珍しいガン」ですが、
それは、「子供のうちに発見される事が珍しい」と言い換えるべきなのでは無いでしょうか?
ですから、超音波診断で子供達の甲状腺をしらみつぶしに検査すれば、
通常をはるかに超える高率で、ガンが発見される可能性は否定出来ません。
要は、今回の様な一斉検査と、通常の診断による癌の発生率は比較出来ないのです。
さらに、今回甲状腺ガンが発見された子供達の平均年齢は15歳です。
彼らの甲状腺ガンは通常では、こんな若年のうちに発見されるものでは無いのです。
■ 対照群の存在しないデータでは判断が出来ない ■
前出の朝日新聞の記事は次の様なコメントが載せられています。
福島県立医大の鈴木真一教授は「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と説明した。
これは学術的には当たり前の見解で、
今回の検査によって発見された甲状腺ガンが、はたして「高率」なのか、
それとも「通常の範囲内」なのかは、
放射線の影響を受けない地域の同様の検査の結果と比較しなければ判断が出来ません。
例えば、福島から遠く離れた九州辺りで、同規模の子供の検査を実施して初めて、
福島の現状が「異常」なのか「正常」なのか判断できるのです。
ですから良識的な多くの医者が、今回の結果に対する判断を保留にするはずです。
■ そもそも甲状腺ガンの発生が早すぎる? ■
福島原発事故の発生から1年半あまりという時間も
ガンの成長する時間としては短すぎるという指摘もあります。
尤も、これに関しては、ベラルーシなどでは2年後から子供の甲状腺ガンが増えたとの報告もあり、
放射線由来の甲状腺ガンの成長が早い可能性も否定は出来ません。
■ 政府は福島の不安を和らげる為には、比較群の検査を実行すべきだが・・・ ■
私個人的には、福島県のお母様方の不安を和らげる為に、
政府は放射線の影響を受けない地域で、
子供の甲状腺ガンの比較検査を実施すべきだと思います。
しかし、一方で、その検査で子供に甲状腺ガンが発見された場合、
治療をどうするかという問題も悩ましいところです。
国の強制的検査で、ガンが見つかって甲状腺を摘出したとなると
行政訴訟を起される可能性も否定出来ません。
■ 日本において原発の再稼動は益々難しくなっている ■
政府が本気で原発の再稼動を目指すならば、多少倫理的に問題があっても、
対照群の検査は絶対に必要だと思われます。
現状のままでは、いつまでも福島原発の事故によって子供の甲状腺ガンが増えたのか
それとも、増えたのでは無く、通常レベルの隠れたガンを発見したのか判断が出来ません。
ところが、政府はどうやら、この問題に白黒付ける気は無い様です。
そうなれば、「疑わしきは黒」の法則に則り、
「福島原発事故で子供の甲状腺ガンは増加した」という判断が為される事になります。
この事実(?)が確定的に扱われると、
日本の原発を再稼動しようとしても、再稼動出来ない事態が発生します。
周辺住民、特に再稼動への反対派は、「福島で子供の甲状腺ガンが増加した」と主張します。
■ コスト高のシェールガスを高値で掴まされる日本 ■
アメリカは日本にシェールガスを3割引きの値段で分けてくれると新聞が報道しています。
しかし、そもそも生産コストが高いシェールガスは在来ガスに価格的に対抗出来ません。
アメリカはシェールガスを輸出したくても、パイプライン以外ではコストが合いません。
シェールガスが競争力を持つのは、産地直送のアメリカ国内とメキシコくらいです。
日本は、在来ガスを大量に算出する
ロシアやインドネシアやカナダや中東や北アフリカからLNGを輸入した方が、
アメリカのコスト高のシェールガスをLNGに加工して輸入するより余程安上がりです。
アメリカが韓国や日本にシェールガスを分けてくれるのは、
かれらの儲けになるからであって、日本や韓国にメリットがある訳では無いのです。
日本の新聞は、この事実を知りながらも報道する事はありません。
■ 原発が再稼動出来なければ、経常赤字が常態化する恐れも ■
円安で輸出産業は利益が出ますが、ドル建ての輸出が激増する訳ではありません。
円安分だけ、ドル建ての金額は減少します。
一方で、資源や食料などのドル建ての輸入は確実に増大します。
さらに、日本は衣料品や白物家電、最近では携帯電話も輸入しています。
円安は、貿易赤字を常態化しています。
さらに、直近の統計では、連続して経常収支も赤字化しています。
日本は今まで溜め込んできた外貨を放出し始めているのです。
これが、円安のファンダメンタルの要因ともなっています。
■ 外貨を稼がなくては成り立たない日本経済 ■
現在の日本は、エネルギーや食料、そして製品においても多くを輸入に頼っています。
この輸入無くしては、現在の日本の「豊かな生活」は維持出来ません。
日本の国内の生産は原料まで含めれば限界があります。
ですから、内需だけが拡大しても、物質的に豊にはなれないのです。
むしろ、アンバランスな内需の肥大化はインフレを引き起こす事になります。
原発問題は、この様な日本経済の基盤を揺るがす問題ですが、
原子力発電の廃止を求める人達は、「子供の甲状腺ガンの増加」の結果だけを重視して、
その内容を科学的に検証する視点を放棄しています。
私は黒を白と主張している訳では無く、
本当に福島で原発事故による子供の甲状腺ガンが増えているのかを
しっかりと検証する事が、日本の今後にとって重要だ考えます。