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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

祝・核実験成功・・・直接交渉の時期を調整いたしたく・・・。

2013-02-15 16:27:00 | 時事/金融危機
 

北朝鮮関連のニュースを聞くと、条件反射的に笑い話のネタを探してしまう今日この頃。
妄想家の悲しい性とも言えます。 



補佐官 「大統領、北朝鮮が核実験に成功した様です。」

大統領 「そうか、それでは早速用意したコメントを記者達に発表してくれたまえ」

補佐官 「キム総書記には何と・・・」

大統領 「とりあえず祝電を。」

補佐官 「かしこまりました。」

大統領 「中国はどうしている?」

補佐官 「煮え湯を飲まされる心境でしょう。彼らの制止は無視しましたから・・。」

大統領 「米朝直接交渉の段取りはどうなっている」

補佐官 「そちらは準備が整って、後は若干の日程調整だけになっています」

大統領 「直接会談の落とし所だが、どうしたら良い?」

補佐官 「とりあえず、北朝鮮の実験凍結と引き換えに制裁の一部解除でどうでしょう?」

大統領 「それではインパクトが足りないな・・・ノーベル賞も先に貰っているし・・。」

補佐官 「核施設をアメリカの監視団に公開というのはどうでしょう?」

大統領 「マスコミは喜びそうだが、詳しい連中が見るとわが国の装置だとバレないか?」

補佐官 「そこはボカシを入れるとか、モザイクを入れるとかで誤魔化します。」

大統領 「わが国のメリットももう少し欲しいところだな」

補佐官 「北朝鮮に秘密裏にわが国の核廃棄物を引き取らせるというのはどうでしょう?」

大統領 「いっその事、古くなった弾頭も引き取ってもらうといい」

補佐官 「その方が、中国に対する抑止効果も高まるかと・・・」




北朝鮮の核実験が成功した様です。
前回の未熟爆発に比べ、今回はきちんとした核爆発を達成した様です。

もうこのネタは少し食傷気味なので、どうしようかとも思いましたが、
やはり色々と妄想が膨らんでしまいます。



しかし、北朝鮮はやりたい放題と言うか、何と言うか・・・。
それも、これも、アメリカが北朝鮮に甘い顔をしているが故ですが、
アメリカも中国が控えているので、北朝鮮には容易に手が出せないというポーズが上手い。

結果的に、日本と韓国への脅威が拡大する事で、
両国のアメリカへの依存度は増大します。


オバマは核軍縮でノーベル平和賞を受賞していますが、
具体的な成果は上がっていません。
そろそろ、何か成果を出さなければ、後世に何を言われるか分かったものではありません。

イランの核問題は中東情勢の複雑さ故に、解決は難しいものがありますから、
北朝鮮で何か点を稼ぐ様な事を目論んでいるかも知れません。

核兵器の放棄は無理だとしても、核実験の無期限凍結くらいの約束は取れるかも知れません。
北朝鮮は既に核保有国ですし、彼らの核保有を黙認する代わりに、
核実験の無期限凍結という空約束なら取り付け易い。

北朝鮮は約束を守る国では無いので、彼らの無期限は、しばらくの間と同義です。

アメリカは最近中国を敵視していますから、
場合によっては、中国を無視して米朝直接会談が電撃的に行なわれる可能性もあります。


いずれにしても、色々な意味で、北朝鮮は便利な国家と言えます。
そして、アメリカはその使い方を熟知しています。





欺瞞に満ちた平和と真実の戦争・・・『機動警察パトレイバー2 the Movie』

2013-02-15 08:00:00 | アニメ
 




■ 現在のアニメはかつての栄光の残渣に過ぎない ■

「今時のアニメなんて・・・」

こういう発言は、今時のアニメを喜んで見ている人達のヒンシュクをかいます。
でも、この作品を見ると、あえて言いたくなってしまうのです。

『機動警察パトレイバー』の劇場版1と2は、
多分、アニメという表現形態が達成し得た一つの頂点に位置しています。

先日、『サイコパス』の記事で、『踊る大捜査線』の本広克行監督が、
『劇場版 機動警察パトレイバー2』のファンである事に触れました。

しかし、本広克行監督が決して劇場版パトレイバーの高みに到達する事は出来ません。
極一部の限られた表現者だけが到達し得る領域がある事を、
『劇場版 機動警察パトレイバー2』を見ると改めて思い知らされます。

それと同時に、監督の押井守自身も、
この時代に彼が製作した諸作を決して超える事が出来ない事を痛感します。

■ 大人が主役のアニメ ■

『機動警察パトレイバー』は作家集団ヘッドギアのメディアミクスチャー企画でした。

ゆうきまさみ:原案および漫画
出渕裕:メカニックデザイン
高田明美:キャラクタデザイン
伊藤和典:脚本
押井守:監督

まあ、究極のオタク集団とも言える人達の、究極のプロジェクトです。
ゆうきまさみの漫画版が先行発表されますが、
OVAアニメも順次発表され、ロボットアニメの冬の時代に人気を集めます。

舞台は大型人型機械「レイバー」が工事現場など様々に分野で活躍する社会、
当然、レイバーを悪用した犯罪も多発します。

「レイバー犯罪」を取り締まる為に発足したのが
警視庁のレイバー隊、「特車二課」です。

OVAは「特車二課」の隊員達が中心に描かれますが、
劇場版は、一転して、隊長達「大人が主役」の作品です。

特に、警察という巨大官僚機構の隙間を飄々と漂う
第二小隊隊長の後藤 喜一(ごとう きいち)を主人公に据え、
物語に「大人に事情」を持ち込む事で、作品に深みを与えています。

■ 自衛隊のクーデター ■

『劇場版 機動警察パトレイバー2』は自衛隊のクーデターを描いた作品です。

柘植行人(つげ ゆきひと)はレイバーの有効性を立証する為に
各界の優秀な人材を集めた通称「柘植学校」を主催しました。

彼はレイバーの軍事利用にも積極的で、
カンボジアでの自衛隊のPKO部隊にレイバーを参加させます。
しかし、高温多湿で後方支援が充分受けられない状況で、レイバー隊は壊滅します。
そして、柘植自身も失踪します。

それから3年後、突然横浜ベイブリッジが爆破される事件が発生します。
自衛隊の機体のF16Jから発射された誘導ミサイルによる破壊の可能性が濃厚となり、
世論は自衛隊に対して、一気に批判的になります。

しかし、TVで報道されたF16Jの映像は加工されており、
実際には自衛隊は事件の濡れ衣を着せられていたという情報を、
陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が、後藤と同僚である南雲にもたらします。

南雲はかつての「柘植学校」の生徒であり、
妻子ある柘植との不倫の結果、一人の女児をもうけています。
それが原因となってキャリア組から外れ、
特車二課の隊長へ左遷された経歴を持ちます。

その後、防衛レーダー網へのハッキングによって、
三沢基地のF16が架空の首都圏爆撃を演出する事件が発生します。
警察が三沢基地の指令を、基地の正門前で拘束した事から、
自衛隊内の一部勢力が、基地の篭城するという事態に発展します。

自衛隊と警察の対立が激化する中で、
自衛隊の戦闘ヘリコプターが東京に掛かる主要な橋を次々と攻撃し、
さらには中央官庁の通信施設をことごとく破壊します。

たった数機の自衛隊のヘリコプターの攻撃で、
日本のシビリアンコントロールは完全に麻痺します。

自衛隊機は特車二課のレイバーもことごとく破壊し
警察も自衛隊に対抗する手段を失います。

一方、首都上空に出現した謎の飛行船は、
致死性の毒ガスを搭載している事が判明します。
東京都民は完全に人質に取られたのです。

事、ここに至り、後藤と南雲は行動を起します。
旧型レイバーを起動させ、柘植の潜伏先に急襲を敢行します。
特車二課の面々が、命令無視で、この決死の作戦に加わります。
はたして、日本の運命やいかに・・・・。

まあ、粗筋だけ書いても、何も面白くありませんね・・・。

■ 日常の傍にある戦争 ■

いったい柘植の目的とは何だったのか?
最後まで具体的に語られる事はありません。

しかし、作品は、平和の街東京が一瞬で占拠される様を淡々と描きます。

自衛隊は軍隊で無いと思い込んでいる日本人。
自衛隊が政府に敵対する事など絶対に有り得ないと思い込んでいる日本人。
戦争なんて、決して起こり得ないと思い込んでいる日本人。

柘植は、バーチャルなクーデターを敢行する事で、
日常の傍らに戦争が存在する事を日本人に告げたかったのかも知れません。

■ 軍備を持つという国際的義務 ■

日本の左翼は、戦後一貫して自衛隊の存在を否定して来ました。

しかし、中韓との対立が煽られる中で、
安倍政権は「自衛隊」の軍への昇格をも検討しています。
しかし、自衛隊は現在でも立派な軍隊であり、
日本の国土を日々、防衛しています。

「軍備を持たない」事や、「戦争放棄」は理想ではありますが、
実際の国際社会において、これ程無責任な事は無く、
軍備を持たない国は、隣国の侵略戦争を誘引し、
さらには、政治的、あるいは経済的な交渉においても軍事的に脅されれば妥協を繰り返します。

日本のお花畑左翼は自衛隊を否定しますが
軍備を持って自国を防衛するという事は「国際的義務」でもあるのです。

■ オモチャを振り回したがるネトウヨ ■

子供はオモチャを前にして、それを使わずには居られません。
ネトウヨも同様に、中韓に対して日本の防衛力をひけらかしたくてウズウズしています。

ネットには、好戦的で扇情的な書き込みが溢れています。

しかし、大人は本音と建前を使い分けることが重要です。

「領土を侵犯されたら躊躇無く反撃する」というのは建前として重要です。
それこそが、地域の平和をバランスさせる現実的な抑止力になるからです。

一方で、大人は無闇に隣人と諍いを起しません。
隣人が困っていれば、手を差し伸べます。
これは、不用意に戦争を起さない為の保険の様なものです。

国内政治が不安定な中国や韓国の政治的挑発に過敏に反応しては、
双方の国民感情が悪化するだけで、建設的では有りません。

日本人は平時平和ボケしていますが、
一端危機が発生すると、今度は逆に過剰に好戦的になる傾向がある様です。

本音と建前を上手く使い分ける欧米に比べ、
他国との戦争の歴史が少ない島国ならではの国民性なのかも知れません。


■ 国内に米軍基地が存在する意味 ■

日本国内には47箇所の米軍基地が存在します。
日本人の多くは、米軍は日本を守ってくれていると考えます。

しかし、日本に駐留する米軍のルーツが占領軍である事を意識する日本人は僅かです。
『劇場版 機動警察パトレイバー2』では柘植の背後に米軍の影が蠢きます。
日本の政治が混乱を極めたら、米軍が日本を占拠して事態を沈静化する準備が為されています。

日本国内に駐留する米軍は、いつでも東京を、そして日本全国を占拠出来るのです。
これは、戦後日本が一環して米国の占領下に置かれている事を意味します。
そう、日本は独立国家としての体裁を持っていないのです。

当然、政権も米国の意向に逆らう事は出来ません。

アベノミクスという「露骨な為替誘導政策」は、米国が容認するから実行可能なのです。
もし、米国が「円安はケシカラン」と言えば、そこでアベノミクスは頓挫します。
何故なら、日本は独立国では無いからです。

■ 米国の存在を無視して日本経済を語る愚 ■

アベノミクスに関して、好意的な意見が多く聞かれます。
その背景には「日本の復活」を願う日本人の気持が滲み出しています。

しかし、日本を米国の属領と捉えた場合、
アベノミクスは米国にとって利益をもたらすものである必要があります。

多くの日本人が戦後の日本政治や日本経済を日本国内の出来事と捉えています。
しかし、アメリカのメリットを最大化する為に属領を経営するという視点で見た場合、
日本の戦後史は、全く違った側面を表します。

「日米経済戦争」もあるし、日本はアメリカに従属してばかりでは無いという意見もあるでしょう。
しかし、多民族国家アメリカは何時でも分かり易い敵を必要とします。
東西冷戦が終結し、イスラム教徒という敵を見つけるまで、
アメリカは日本を敵対視する事で、アメリカ国内の不満を和らげます。

レーガノミクス以降、アメリカは強いドル政策に転じますが、
これはアメリカ国内の製造業の衰退を誘発します。
いえ、アメリカの企業は空洞化によって利益を最大化しますが、
アメリカ国民は、それによって職を失います。

アメリカの指導部が誘導して国内に失業が蔓延しながらも、
それがあたかも、輸出競争力に勝る日本が原因の様に見せかける・・・
「日米貿易戦争」とは、グローバリズムの過渡期を乗り切る策略でもあったのです。

しかし、アメリカは日本の企業が十分に成長した後には、
しっかりバブルの崩壊を仕掛けて、日本の企業を株式所有によって支配します。
これは、銀行とて例外でありません。

■ 「欺瞞の平和」と「真実の戦争」 ■

『劇場版 機動警察パトレイバー2』は作中で「欺瞞に道たの平和と真実の為に戦争」に何度か言及します。

柘植は架空のクーデターを起す事で、日本が「欺瞞に満ちた平和」に浸っている事を露にします。

一方で、現実の社会では、自衛隊が国内の米軍と戦闘して日本の独立を勝ち取る事は不合理です。

日本の戦後の繁栄は米軍の抑止力に依存していますし、
現在も中韓露に対する米軍の存在感によって日本の外交は成立しています。
戦後、米国からの投資と技術移転によって日本の産業は成長し現代の繁栄を築いています。

結局、「独立国家」という理想とは日本はかけ離れていますが、
「日米の共通の利益」という現実のメリットは「妥協の平和」をもたらしています。

日本人も問題は「欺瞞に満ちたの平和」を全く認識していない事です。
当たり前の様に平和を教授し、そして、自国の利益中心に世界を見ています。

■ 「欺瞞に満ちた平和」の終わる時 ■

私は理想主義者では無いので「欺瞞に満ちた平和」を否定しません。
むしろ、日本の支配者が覇権国アメリカで良かったとも考えています。

アメリカ人の対日感情もそれ程悪く無く、
個人の関係においても、アメリカ人が日本人を属国人扱いしない事も好感します。

しかし、近年の日本の経済の停滞は、
明らかにアメリカに利益を供与した結果もたらされた事も確かです。
フリーランチが無い様に、成長した日本経済はアメリカを支える役割を担っています。

民主党政権末期はアメリカの要望は露骨に日本の国益を損なっています。
しかし、それはアメリカが鷹揚に構えていられない状況に陥っている事の現われです。

さすがに、アメリカも民主党政権が国民に背を向けられる事を理解していますから、
早期に政権を自民党に挿げ替えて、アベノミクスという人参をぶら下げました。

しかし、アメリカの真意は日本の景気回復を望むのでは無く、
自国の経済と政治の延命こそが、最大の目的です。

円安誘導によって政権を安定させている自民党は、
「円高にしてやる」とアメリカに脅されればひとたまりもありません。

「自虐史感」というご批判もあろうかとも思いますが、
「軍事的に占領された国」に与えられた選択肢は多くないという事も
現実の一端では無いでしょうか?

■ サブカルチャーの中から消えて行く真実 ■

昔はアニメや小説の中に、日米関係の本当の姿を匂わせる作品が多くありました。
『劇場版 機動警察パトレイバー2』も、米軍の関与無くしては成り立たないストーリーです。

こういった、当たり前の「陰謀論」が、アニメや小説や映画の中から消える一方で、
非常に安易で観念的な陰謀のイメージが反乱しています。
「イスラム教徒のテロ」や様々な「個人的なテロリスト」が国家の敵として描かれます。

彼らの宗教的、あるいは個人的な恨みの影に
国家の国益を賭けた陰謀策術は隠れてしまいました。

「今時のアニメなんて・・・」という発言は、
現在のアニメが(メディアが)、真実に迫れなくなった事への焦燥が込められているのです。

現在のアニメは、かつて極みに達した作品の、残渣の様な物なのかも知れません・・。