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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

既に過剰生産設備は国内に無いという事実・・・円安で景気が悪化する?

2013-02-23 03:33:00 | 時事/金融危機
 

■ 廃業が進む中小企業 ■

ここ数年身近で聞く話題の多くに、中小零細企業の廃業があります。
私は照明関係の仕事をしていますが、
照明器具は、以前は小さな町工場で生産されていました。

デザインが多様化している分野なので、
大量生産よりも、少数ロットで生産される商品の方が多いからです。

小さな町工場で、それぞれが分業して商品は作られていました。
金型絞りの工場、メッキ工場、金属加工の工場、組み立て工場。
別のメーカが、同じ工場に発注しておるケースも多く見られました。

検品に行くと、茶の間に通され、お茶が出され、
壁には子供の書初めが貼られていたりしました。

ところがバブル崩壊以降、建築分野は大幅な縮小を余儀なくされ、
建築照明の分野でも競争が激化しました。
各社は、国内生産ではコストが見合わないので、
台湾や中国での生産に切り替えました。

最初の頃は、まともな品質の商品が出来ず、
さらには工場の経営者が突然ドロンしたりして苦労しましたが、
結局、現在では中国生産なくしては業界が成り立ちません。
大手の一部は、1990年代からタイの工場を稼動に成功しています。

その結果どうなったか・・・・。
国内の中小零細工場が次々に潰れて行きました。
それぞれの工場は、生産を縮小させながらも、
何とか短納期や特注製品の生産で経営を続けていましたが、
経営者が高齢化したり、病気で倒れた後、誰も工場を継ぐ人が居なかったのです。

こうして、私の知っているだけでも多くの工場が消えて行きました。
今では、国内で何か作ろうとしても、作れなくなってきています。

■ 国内生産は戻って来ない ■

さて、円安になったとして、これらの国内生産は戻って来るでしょうか?
多分、戻って来る事はありません。

失われた20年の間に、多くの職人さん達もリタイアしました。
工場が閉鎖されたために、技術の継承も出来ず、
腕の良い職人さんたちも減りました。

そして何よりも問題なのは、今の若い人達は、工場での労働を嫌います。
ですから、求人をしても、若い経験者を集める事が難しくなっています。
多くの若者が、貴重な若い時期をフリーターとして
コンビニのバイト程度しかしていないので、
技能の継承が断たれてしまっているのです。

自動車産業などは、輸出競争力があったので
部品産業も含めて、比較的国内の生産システムが温存されています。

その一方で、内需だけで支えられていた建築産業の、
建築金物や、照明器具や、設備関連の製造工場は軒並み海外に依存しています。
バブル崩壊以降の激しい国内でのシェア争いの結果、
国内生産が淘汰されてしまったのです。

仮に円安が1ドル125円のレベルに達したとしても、
これらの製造工場は日本に回帰する事はありません。
何故なら、1ドル125円の時代に、既に多くの生産が海外移転していたからです。

■ 現場の実体を知らない経済学者 ■

「円安になれば、国内生産が復活して景気が回復する」
多くの経済学者達がこう主張します。

ところが、円安で生産や輸出が回復するのは
高い製造技術を必要とする自動車や、電子部品、一部の特殊な素材分野です。

一方、高い製造技術を必要としない分野、
建築金物や、白物家電や、被服産業などの工場は、
仮に1ドル125円、あるいは150円になっても国内には戻って来ません。

円安によって中国生産のコストが上昇したら、
より安い生産地、例えば、ベトナムやミャンマーやラオスへと工場が移転します。

その過渡期として、これらの製品の輸入コストが増大します。
既に現場では、円安によって製品の輸入コストが増大していますが、
不況で価格転嫁出来ないので、メーカーの経営を圧迫し始めています。

■ 過剰生産性など国内に存在しているのか? ■

デフレは需給関係の悪化で発生します。
需要を供給が上回れば、価格が低下してデフレが発生します。

リフレ派の多くが、通貨を大量に発行すれば消費が拡大し、
需要が拡大する事で、過剰な供給力との差を縮小する事が出来ると主張します。
その過程で、デフレはインフレに転じると・・・。

ところが、日本のデフレの原因は海外からの安い輸入です。
もし、為替レートがあまり変わらないのであれば、
需要の拡大は、輸入の拡大という結果を招きます。

この過程において、国内の製造設備の稼働率は上がりませんし、
製造が増えないので、雇用の改善もあまり見られません。

私達がデフレの原因と考えている過剰な供給力は、
国内にあるのでは無く、国外に存在しているのです。


■ 円安で確かに物価は上昇するが・・・ ■

国内の製造業が空洞化した状態で円安が発生すると、
輸入物価の上昇により、国内物価が上昇します。
リフレ派の大好きな「インフレ」が発生するのです。

しかし、景気回復を伴わないインフレなので、
輸入物価の上昇分を全て価格転嫁する事はできません。
そこで、企業は経費を削減してコスト圧縮に勤めます。
・・・・人件費を削減するのしかありません・・・。

■ 既に日本は1980年代のアメリカの状況に似てきている ■

アベノミクスの元となっているレーガノミクスですが、
言葉は似ていますが、政策の方向性が180度異なります。

レーガノミクス      アベノミクス

インフレ脱却       デフレ脱却
高金利政策        低金利政策
強いドル政策       弱い円政策
減税           多分、増税
財政縮小         財政拡大
小さな政府        大きな政府

1980年当時、既にアメリカの製造業は衰退していました。
アメリカは当時、石油ショックの影響による物価上昇に苦しんでいました。
同時に、国内の製造業が日本やドイツに押されて衰退する時期を迎えています。

アメリカは、巨大な貿易赤字と財政赤字、経常収支の三つ子の赤字に苦しみます。
そこで、レーガンはドル高政策に切り替えて、アメリカの赤字を削減します。

日本のアベノミクスは全く逆の事をやろうとしています。

■ 日本の製造業は、新興国と同等の賃金にならなければ競争力を回復できない ■

円安でも家電産業の本格回復は起こりません。
何故なら、家電産業は既に輸入産業だからです。

白物家電に限らず、携帯電話も既に輸入に頼っています。
パナソニックの携帯電話はシンガポールで作られています(組み立て)。

日本の貿易赤字がクローズアップされていますが、
その原因は以外にも原油やガスの輸入では無く、
通信機器(携帯電話)の輸入額の拡大に大きな原因があります。

一度、海外に流出した製造設備を国内に戻す事は容易ではありません。
シャープが液晶工場を国内に戻した事で経営が悪化しました。
韓国で生産しても採算が取れない液晶を、国内で製造しても価格競争に負けるからです。

結局、国内の賃金が海外並みに下がらない限り、
工場の国内回帰は発生せず、失われた雇用も回復しません。

アメリカは製造業が空洞化した1980年代以降、
過剰な労働力をサービス産業に振り向けました。

しかし、製造業に比べ、サービス産業の労働生産性は高くありません。
ウェートレスやウォールマートの店員の給与は、
巨大メーカーの工場の従業員の給与よりも低いのです。

アメリカの工場は組合がしっかりしていますから、
いたずらに給与を下げる事はしません。
その代わり、レイオフや首切りなどの雇用の削減でコストを調整します。
ですから、大手のメーカーの従業員の給与は比較的高いのです。

■ 円高と円安のバランスポイントは95円くらいでは無いか? ■

確かに1ドル120円とか150円という極端な円安になれば、
自動車や素材などの一部の輸出企業の業績は大幅に改善します。

一方で、輸入企業の経営は悪化します。
この中には、製品を輸入して販売する家電メーカーも含まれます。

輸出と輸入のバランスを考えると1ドル95円くらいが良いのかも知れません。
あるいは、1ドル=1ユーロ=100円というのが、バランスが良いのかも。

これでも、アメリカがドルをジャンジャン刷ってドルの減価が進んでいる事を考えると
かなりの円安水準です。

ドルに不安が生じれば、又一気に80円台の円高が発生してもおかしくはありません。

■ 株価上昇も一段落 ■

ヨーロッパのヘッジファンドを中心に円安、日本株高が演出されていました。
しかし、ドル円レートが概ね適正水準に達した事で、
彼らは利益を確定する為に、円を買い戻して円高を演出し
日本株を高く売り抜けています。

海外の経済指標が軒並み低下した事も売りを誘っています。
彼らはしたたかですから、多分空売りも仕掛けているでしょう。

一方で、一度下がった相場も3月一杯は下支えされると読んでもいるでしょう。
彼らは、先物に買い注文を出して、日本株が底抜けするのを防ぎながら、
もう一儲けしようと企んでいる様に思えます。

私は2月末で、株価は一端調整されると見ていまいたが、
どうやら、今がその時期に当たっている様です。

しかし、3月までは、国内勢も株を買い支えますし、
海外のファンドももう一儲け狙うでしょうから、
株価はストンと下げては、またジリジリと上昇するパターンを繰り返します。

3月末に1万3000円は無理としても、1万2000円を伺う状況では?

ただし、そこから先はジェットコースター状態でしょう。
ここら辺は、日本の個人投資家も読んでいるでしょうから、
一気に売りが売りを呼んで、恐ろしい事が起こるかも知れません。

ここで、アベノミクスが単なるミニバブルで終わるのか、
それとも、未だ国民の支持を得られ続けるのかが決まります。

いずれにしても、当たらない事で有名な「人力予測」なので、話半分という事で・・・。

オリンパスと言えばネイチャーフォト・・・ジョギングのついでに

2013-02-22 14:42:00 | カメラ・写真
 




オリンパスと言えばネイチャーフォト。
まして、マクロレンズを持っているのだから、
カメラを持ってフィールドへ出たくなります。

冬のこの時期の休日は、だいだい20Kmとか30Kmという
ロングのジョギングを楽しんでいるので、
今までは、コンパクトデジカメくらいしか携帯出来ませんでした。

ただ、OM-Dは小さいので、レンズを二本持っても、
ジョギング用のリュックサックに軽々と収まってしまいます。

そこで、本日は、2週間前に撮った写真をちょっと紹介します。
題して、「ジョギング with OM-D」

上の写真は、公園のユキナナギの芽。
春の日差しを感じて、幾分ほころんできています。
大きさにすると、3mm程度の小さな芽ですが、マクロで等倍撮影。
風で枝がそよぐので、正確なピントは合いません。

後から考えたら、こういう時こそ連射をすれば、
どれかはピントが合うはずです。
今度試してみます。





木漏れ日が綺麗だったので、パチリ。





この日のジョギングは、浦安から実家の津田沼まで15Km弱。
途中、「谷津干潟」を通ります。

「谷津干潟」は、昔は東京湾に面していましたが、
周囲が埋め立てられて、ここだけ干潟が残りました。
大蔵省の所有する土地が、偶然にも埋め立てを免れたのです。
周囲3Km程度の小さな干潟ですが、
東京湾の最奥の貴重な天然の干潟です。

干潮時はほぼ全面、水から干潟が出現し、満潮時は水没します。
東京湾とは2本の水路で繋がっていてます。
ゴカイやカニなど水鳥のエサになる生物が豊富で、
チドリやシギ、カモなどの渡り鳥が渡りの途中で羽を休めてゆきます。

渡り鳥の生息する湿地を守るラムサール条約に加盟しており、
東京湾の内奥にあって、身近渡り鳥の自然の生態を観察できるスポットです。

野鳥の監察館も充実しており、望遠鏡や野鳥の書籍、
そして、フィールドワークの指導なども充実しています。





この日は満潮に近い時刻だったので、カモ達は水中に頭を突っ込んで
逆立ち常態でエサを食べていました。
60mmマクロ(35mm換算120mm)では望遠としては焦点距離が不足します。
デジタルズームで2倍に拡大して撮影しています。(35mmで240mm換算)

写真はオナガガモですが、この他にヒトリガモ、カルガモが多く見られます。
観察館の淡水池には、キンクロハジロやホシハジロ、ハシヒロカモなどが見れます。

コガモやマガモはあまり見た事が無く、こちらは行徳の野鳥公園の方が数多く見れます。



こちらはセイタカシギ。
私が中学生の頃は、日本ではあまり見られない鳥で、
東南アジアの鳥と言われていました。

谷津干潟で繁殖が確認されたのが1978年頃では無いかと記憶していますが、
それからは、留鳥として1年中干潟で見る事が出来、
順調に繁殖して、今では東京湾一帯で普通に見る事が出来ます。

ピンク色の長い足と、白い腹、黒い背が特徴で、
本当に優雅で美しいシギです。

東京湾では近年、セイタカシギの他にオオバンが増えている様で、
これは1980年代以降、温暖化(CO2では無く自然のサイクルとして)が進行した影響なのかも知れません。





手前に杭を配して、浮世絵の様な構図を・・・





枯れ尾花ならぬ、冬枯れのアシ。





OM-Dは背面スクリーンにタッチするとシャッターが切れる機能があります。
うっかり、その設定にしていると、知らず知らずにシャッターを押している事があります。

意図して撮られた写真で無くても、現代のカメラはしかりピントが合います。
そして、普段自分が撮らない様な構図の写真が撮れているから不思議。
これも、そんな一枚。




手すりのペンキがいい具合に剥げていたので、
水面に移るマンションと一緒に撮ってみました。
ここからは、14-45mmの広角ズームを試してみます。









広角レンズって、思わずこういう写真を撮ってしまいますよね。
日常の風景でも、白黒になるだけで随分と印象が違います。

この坂道、数年前に刃物による殺人事件が起きた場所・・・。



本日は、「オリンパスOM-Dを持って、ジョギングに出かけてみた」編でした。

バッターボックスに後ろからボールが飛んで来る衝撃・・・『ささみさん@がんばらない』

2013-02-22 05:29:00 | アニメ
 



■ 今季アニメ最大の衝撃作? ■

『化物語』『魔法少女まどか☆マギカ』『荒川アンダーブリッジ』など、
問題作、話題作を次々に発表する新房昭之監督
オタクアニメを作らせたら、新房監督は現在最強と言えます。

その新房監督の最新作が『ささみさん@がんばらない』 
なんだか、やる気の無さそうなタイトルですが、
内容も、これまた大変脱力した作品と思われました。
小劇場のコントの様なノリで、ささみさんのグダカワイさを堪能する作品だと思われました。

こちらは、新房監督の新作ですから、結構身構えている訳ですが、
毎回、肩透かしを食らう。

ピッチャーマウンドでピッチャーが一塁に牽制球を投げているから安心していると、
バッターボックスの後ろから、いきなり剛速球が飛んできて
1球で三振を食らったような感覚を、毎週味わってしまいます。

エーエー、何、何???と思っていると、いきなりスリーアウト!!

・・・何だか分からない例えですが、
とにかくアニメを見慣れた私達の予想を完全に裏切る衝撃の連続なのです。

■ 誰も理解出来ない第一話 ■

『ささみさん@がんばらない』はラノベ原作です。

月読 鎖々美(つくよみ ささみ)(ささみさん)は引きこもりです。
自宅でパソコン三昧の日々。
そんな彼女の身の回りの世話を、かいがいしくこなすのは、
何故だかいつも顔を隠している「お兄ちゃん」。

「ささみさん命」の、シスコンのお兄ちゃんは実は高校教師ですが、
ささみさんにご飯を食べさせ、お風呂で身体を洗い、パジャマを着せ、
もう、「ささみさんの為なら死ねる」くらいの、お兄ちゃん・・・。

ところが、そんなキモチワルイお兄ちゃんが学校へ出かけると、
ささみさんは、おもむろにパソコンでお兄ちゃんを監視し始めます。
おーーー、もしかして、ささみさんツンデレ?
口ではお兄ちゃんをバカにしながら、お兄ちゃんLOVEか!!?

学校でもへらへらいい加減なお兄ちゃん。
同僚のロリキャラ教師邪神 つるぎ(やがみ つるぎ)「にもアゴで使われる始末。

そんなお兄ちゃんが、何だかとっても落ち着かない。
なんてっったって、今日はバレンタインデー。
大好きな「ささみさん」からチョコがもらえるかどうかが気になって気になって・・・

するとどうだろう、街中にチョコレートで溢れ出してしまいます。
チョコの奔流が街を飲み込み、あらゆるものをチョコレート・コートしてしまいます。
エーエーエー!!?? 何ナノ、この急展開?

すると突然、同僚の邪神(やがみ)つるぎとその妹のかがみ(高校生)とたま(小学生・・でも見た目は大人O)が出現。
「かがみ」は、いきなり手脚がグレネードランチャーになっちゃうし、
「たま」も何だ分からないけど、とてつも無い力でチョコレートを退治して行きます。

もう、作画は素晴らしいクオリティーでヌルヌル動くし、
話の内容は、あまりに飛躍しすぎて付いてゆけないし、
どうしちゃったんだ、新房監督。
これでいいのか、新房監督・・・。

もう完全に視聴者置いてきぼりで、怒涛の戦闘シーンが終わります。
そして、この現象こそが「改変」である事、
そして、「改変」をもたらしたのがお兄ちゃんの願望である事がようやく分かります。

ささみさんがお兄ちゃんを監視していたのは、
「改変」が起こらないかどうかを見張っていたのです。

それでも、第一話はほとんどの視聴者を煙に巻いたまま終了します。

そして始まるエンディング・・・
「さあ、ささみさん、頑張って歌いますよ!」
「これから毎週、ささみさんの歌声がきけちゃうんですね--」
というお兄さんのナレーションで歌が始まるかと思いきや
「エー、めんどくさいーー」
この後は兄弟のグダグダな会話が延々続いて、エンディング終了。

・・・・唖然・・・・。

この作品をどう評価すれば良いのか・・・・。

■ 神話とオタクの融合 ■

2話目からは、少し背景が説明されます。

ささみさんは、創造神、天照大御神の力を宿す月読神社の巫女です。

古来日本の神々は、奔放で無邪気です。
彼らは自由気ままにその力を発揮しますが、
をれは決して人々を幸せにするとは限りません。

そこで、最高位の神、天照大御神の力を奪い、
月詠神社の巫女の体内に封印して、人間の為に行使してきたのが月読神社。
その巫女は代々、血族で引き継がれ、
月詠神社の巫女は、血を薄めない為に血縁者の兄弟と結婚し子を成してきました。
月詠神社に生まれた男子は、巫女の身の回りの世話をし、一生を終えます。

そんな、千年以上続くシキタリに、ささみさんは反抗して家出をします。
人類の為に頑張って巫女になり、頑張って巫女の使命を全うする事より
普通の女子高生の生活に、ささみさんは憧れたのです。

ささみさんは、お兄ちゃんと共に、月詠神社から出奔します。

ところが、天照大御神の力「改変」がお兄ちゃんに移ってしまいます。
お兄ちゃんはその事実を知らないので、
無意識の内に世界を自分の都合の良い様に「改変」してしまうのです。

「改変」の力を監視しているのは、ささみさんだけではありません。
邪神(かがみ)三姉妹も、「改変」を監視しています。

実は姉の「邪神つるぎ」こそが、かつての最高神、天照大御神だったのです。
力を奪われたとはいえ、最高神の力の残りだけでも強力です。
妹の「かがみ」は、天照大御神の一部から悪の組織が作り出した生態アンドロイド。
さらに「たま」は「つるぎ」自身が、自分から分離した神の一部。
まだ、「生まれたての神」の「たま」は、見た目こそ大人ですが、精神は小学生です。

ラノベらしい、荒唐無稽な設定ですが、
「最高神」の力「改変」を中心に据える事で、
物語は「何でもあり」の自由度を獲得しています。

まさに、「神話」と「オタク文化」の融合が、
日本の神話の、自由で奔放な世界を現代に蘇らせたとも言えます。

■ 物語は一気にシリアスな展開に ■

3話目くらいから、物語はシリアスな展開になってきます。
基本はささみさとお兄ちゃんのグダグダな展開ですが、
そのグダグダな背景に、月詠神社の巫女を巡る様々な問題が見え隠れします。

ささみさんの最高神の力を取り戻そうとする月詠神社の勢力との戦い。
ささみさんが「頑張らない」と強く心に決めた理由。
そして「つるぎ」達、天照大御神がささみを応援する理由。

先週からは死んだはずの先代の月詠の巫女、ささみの母が復活します。
巫女としての務めを放棄したささみに、その使命を全うさせる為、
冥府の王、スサノオと契約を交わし、現世へと舞い戻って来たのです。

ささみの母は、月詠の巫女としての使命に従順で、
ささみには、母としてよりも、先輩の巫女として接していました。
それでも時折見せる母としての情は、ささみには掛け替えの無いものでした。

その母は、巫女としての激務に命を擦り減らせて短命でした。
ささみが「がんばらない」と決めたのは、巫女の使命が母の命を奪ったからです。
しかし、復活した母は、親の情など無くした様に、ささみに使命の遂行を迫り、
それを拒絶したささみを、後継者を生む道具と見なします。

邪神 (やがみ)三姉妹は、ささみのささやかな自由の為に戦いますが、
スサノオの力を借りた、母の力は強大です。
長女は黄泉の国に落され、次女は重症を負います。
残された、小学生「たま」が、ささみの母に挑みます。

「もう道に迷うし、分かんないし、もういやだ」と言いながら現れた「たま」は、
しかし、意外な力を発揮します。

古い神の力を駆使する月詠の巫女に対して、天照大御神の分身たる「たま」は、
「新しい時代の神」として、「新たな時代の力」を行使するのです。

■ 子供だましのファンタジーと侮るなかれ ■

この作品、ただただ、ラノベ的なご都合主義のファンタジーとして楽しんでも充分に面白いのですが、
ちょっと深読みすると、それはそれで興味深いものがあります。

京極夏彦の京極堂シリーズ以降、日本の妖怪や神々は、
集団心理や社会心理的な解釈がされた上で、
小説のテーマとして取り扱われます。

現代において、神も妖怪も等しく、ただ単純に存在する事は許されず、
絶えず、観察者としての人間を前提に、その存在が描かれます。

「化物語」はラノベの世界にその視点を持ち込みましたが、
ラノベの若い作家達は、既にこの「概念」を当然の様に受け入れています。

神格としての「邪神(やがみ)三姉妹」の力はの源は、人間の認識です。
それこそが、「たま」を「新しい時代の神」として成立たらしめます。

神は人の作りし幻想ゆえに、その神格も時代性を帯びるのです。
そして、新房監督の描く神々は、オタク信者の妄想が顕在化したものとなります。
この作品は、現代の神々が、オタク文化の中に存在する事を明確に意識しています。

フィギアとは、現代の神々のイコンであり、アイドルなのです。


■ 新房監督の策略に嵌るのは面白くないが・・・ ■

いかにもなオタクアニメの中に、様々な隠し玉を仕込ませる作風は新房監督の特徴です。
それを、悪戯を誇示する子供の様に見せられるのには、抵抗を覚えなくもありません。

出来れば、こんなのオタクアニメじゃん!!って一刀両断に切り捨てたい。

しかし、そうやって身構えていると、剛速球や変化球があらぬ方向から飛んで来る。
それに対応するだけで、イッパイイッパイで、
今週も又、『ささみさん@がんばらない』を見てしまう自分が居ます。

「どうだ、面白いだろう」と言われて、「はい、面白いです」と言うのはシャクなのに・・
今週も又、エンディングで抱腹絶倒してしまう自分に気づくのです。


アメリカの住宅市場は回復している?・・・あまり力強さは感じないのだけれど

2013-02-20 02:59:00 | 時事/金融危機
 

■ 金利もお安いですし・・・ ■


「マイケル、そろそろ私達も家を買いましょうよ」

「でも、ジェシー、この先景気がどうなるか・・・」

「大丈夫よ、私も働いているし、最近、金融危機って言わないじゃない」

「でも、財政の崖とか何とかTVで言ってるぞ」

「じゃあ、とりあえず、見るだけ、それならいいでしょう?」



「ミセス・スミス、こちらの物件は寝室が4つ。お子さんが増える事を考えると最適かと」

「そうね、2Fにもシャワールームがあるし、何よりこのキッチンが気に入ったわ」

「ガレージも広いな・・・将来ここを俺のホビールームに・・・。」



「いかがですか、今なら金利もお安いですし、最近住宅価格が上がってきていますから今のうちに・・・」

「そうだな、こんなに長期金利が安ければオレ達の稼ぎでも余裕で返済できるな」



「あなた、見てみて!!このテラス、ステキじゃない。ここにデッキチェアーを置いて・・」

「奥様もあんなに嬉しそうになさっていますし、ここはドーンと如何ですか?」


■ QE3の効果って上がっているのか? ■

日本に限らず、住宅を購入する時に気になるのは長期金利。
住宅ローンは30年を超える様な返済期間ですから
長期金利の僅かな違いが、返済総額に大きく影響します。

アメリカはサブプライムショックで住宅市場が大きく落ち込みました。
裾野の広い住宅産業の復活は、米経済回復のカギと言われています。

そこで、FRBはQE3で住宅担保証券(MBS)を毎月3.6兆円規模で市場から買い入れて、
住宅市場に潤沢な資金提供を行なっています。
又、長期国債も毎月3.6兆円規模で買い入れて、長期金利の抑制に努めています。

その結果がこれ・・・




なんと、長期金利が上昇を初めています・・・。
これって、QE3の効果が現れていないという事では・・・。

長期金利を抑制して住宅市場を活性化させたい政府の思惑とは裏腹に
市場はQE3によって、将来的な金利抑制が難しくなると捉えている様です。

■ 米国の住宅市場の回復が始まった?! ■

昨年中盤から、米国の住宅市場が回復し始めた。
米国の実体経済の回復の兆しが見られる・・・などと言われています。



確かにケースシラー住宅価格指標の前年比は、昨年中盤から回復しています。
これは、全米の主要10都市、あるいは20都市の住宅価格が回復している事を示します。


■ QE3の結果が、たったこれだけの変動 ■

 

http://lets-gold.net/chart_gallery/chart_usa_macro_case-shiller.php より

上のグラフはケースシラー住宅価格指標の長期変動です。

これが、回復と言えるのかどうか、私には疑問です。
単なる、短期的な変動では無いのか?

そもそもQE3でジャブジャブ資金供給しても、
住宅市場はピクリ程度しか反応していません。

これこそが、現在のアメリカ経済の真の姿なのです。

■ 住宅神話の崩壊を経験してしまったアメリカ人 ■

冒頭に挙げた夫婦の会話は、日本でもアメリカでも良くある会話では無いでしょうか。
結婚して、あるていど収入が安定した人達は、住宅の購入を検討します。

アメリカは雇用の流動性が高く、
住宅ローンが仮に破綻しても住宅を手放せば借金はチャラになります。
日本人に比べてアメリカ人は気軽に住宅を購入できる環境にあります。

ですから、現在の雇用がある程度安定していれば、
住宅を購入しようとする人が現れるのは当然です。
ましてや、長期金利は市場最低水準です。
住宅価格も底を打って上昇している様にも見えます・・・。

しかし、住宅市場の回復は「力強さ」が見られません。
何かのショックで簡単に今回の回復基調も崩れてしまいそうに見えます。

結局、アメリカ人は「住宅を購入すれば値上がりする」という思い込みから
サブプライムショックによって「住宅は値下がりする事もある」という
当たり前の事柄に気付いてしまったのです。



ケースシラーの長期推移を見ると、1990年代の上昇率を延長すれば
現在の住宅価格がまだまだ割高の様に見えます。

ケースシラーの指標が120くらいにならなければ、
米国の住宅市場の本格的な回復は起こらないのでは無いでしょうか?

■ 日本でも繰り返されるプチ住宅バブル ■

最近ニュースで首都圏のマンションが売れていると報道されています。
アベノミクスによって長期金利が上昇する可能性が出てきたのと、
将来的に消費税が引き上げられる可能性がある事から、
今まで住宅購入を手控えてきた若い人達が、動き出したのでしょう。

しかし、大バブルの崩壊以降、この様なマンションブームは何回か発生しています。
そして、それは本格的な景気回復に繋がる事なく、いつの間にか萎んでしまいました。

この原因を日銀のデフレ政策に求める事は簡単です。
デフレ下では、借金をして資産を購入するメリットが無いからです。

アメリカはリーマンショックを経験しても尚、揺るやかなインフレを持続しています。
ですから、住宅価格が回復基調にあるならば、
アメリカ人の住宅購入意欲は、もう少し刺激されても良さそうなものです。

ところが、銃は売れても、住宅は売れない・・・・・。
アメリカは本当に景気が回復しているのか・・・?

■ 消費も格差が拡大するアメリカ ■

1月のアメリカの自動車販売は大幅な伸びを示しました。
百貨店などの高級品の売り上げも悪く無い様です。
住宅市場も徐々にではありますが、値上がりを初めています。

これだけを見れば、アメリカ経済は回復している様に見えます。

一方で、ウォールマートの2月の業績不振を予測する社内情報がリークしたり、
消費動向指数が低下したり、GDPが伸びが鈍化したりと、
景気悪化のシグナルも点灯しています。

いったいアメリカの景気は回復しているのか、それとも減速しているのか?
FRBも「一休み」という表現を使っている様です。

アメリカは財政の崖を前にして12月に配当やボーナスが前倒しにされた様です。
自動車の販売好調などは、この効果が現れたのでは無いでしょうか?
配当やボーナスに得られる様な富裕層は、消費を拡大した。

反対に、配当もボーナスも無い様な普通の労働者は、
日々の消費も抑制する様な状況になり、
それがウォールマートの売り上げ不振に繋がったのでは無いでしょうか。

アメリカは格差が拡大し続けており、
富裕層は消費を拡大し、一般庶民は消費を手控えている。

富裕層の消費の拡大のみをクローズアップして、
日本のマスコミやアナリスト達はアメリカ経済復活と報道しますが、
アメリカ経済の実態は、お寒いばかりでは無いでしょうか?
そろそろアメリカ人も、量的緩和が景気回復に繋がらない事を、
そして、金融界だけがその恩恵を得ている事に気付く頃です。

そして、将来的なインフレで損をするのはいつも庶民なのです。

世界で何が起きているのか・・・実体を無視し始めた市場

2013-02-19 11:04:00 | 時事/金融危機
 

■ 円安の発端はユーロ高 ■

日本ではアベノミクスの影響で円安が進行したと報道されます。
しかし、円安の発端は昨年11月頃から始まったユーロ高です。

ユーロ高の原因は色々考えられます。

① ギリシャ危機などが落ち着いているので、ユーロ危機が沈静化した
② ECBがマネタリーベースを絞ったので、ユーロが高くなった

■ 市場は変化を望んでいる ■

ギリシャ危機を初めとする南欧諸国の財政危機は、
解決したのでは無く、しばらくイベントが無いだけの事です。
国債の償還時期を迎えれば、また上へ下への大騒動が発生します。

しかし、それまではユーロを巡る状況はしばらく沈静化しています。
市場参加者達は、相場に動きが無ければ儲かりません。
ですから、過度にユーロ危機を意識していた資金が、
そろりそろりとユーロに戻って来て、ユーロ高が始まりました。

その頃、アメリカでは「財政の崖」が過剰にクローズアップされていましたから
ドルからユーロ、円からユーロという流れが後押しされました。

■ ECBへの無言の圧力? ■

一方、ユーロ危機が一服しているので、南欧諸国の国債金利も安定しています。
FRBがQE3を実施する一方で、ECBはマネタリーベースを若干縮小しています。

アメリカでもそうですが、中央銀行の金融緩和が遠のくと、
何故かリスク市場である株式市場に資金が集まって来ます。

これは、金融緩和を伴うような直近のリスクが遠のいて、
リスク市場である株式に資金が集中すると解説されたりします。

その一方で、債券から株式への資金移動で債券金利が上昇します。
市場が金融緩和の実施を促す為に国債市場に圧力を掛けていると解説される時もあるます。
現在、ヨーロッパではドイツを初めとする比較的財政が安定して国の国債金利が上昇しています。

はたして、ユーロ高はリスクオンなのか、それとも市場からの圧力なのか?

■ 高すぎる世界的株高は必ず修正される ■

ヨーロッパ、アメリカ、日本で株高が進行していますが、
企業業績を見れば、株高の要因は見当たりません。

ヨーロッパ経済は完全に後退期に入っており、経済の縮小傾向は顕著です。

日本もアベノミクスと円安による輸出企業の収益改善に浮かれていますが、
輸出企業も含めて、企業の業績は芳しくありません。

アメリカは景気回復か!?などと言われる一方で、
ウォールマートの2月の業績が悲惨な事になりそうだという内部情報がリークされ、
過熱気味だった市場をヒヤリとさせています。
(これなどは、実際に2月の業績を見ないと本当の事は分かりません・・・
 結構、業績が良くてポジティブ・サプライズに使われるのかも知れませんし・・・。)


いずれにしても世界的な株高は、実体経済の動向を完全に無視しており、
この流れがこのまま続くとは考えられません。

どこかで、危機が意識されれば、資金は「リスク回避」という理由を付けて、
一気に国債市場の逆流します。
これで、上昇し始めている国債金利は一気に低下し、
アメリカも、ヨーロッパも新発国債の発行コストを低く抑える事が出来ます。

■ 危機は沈静化した様に見せかけられているが、何も解決されていない ■

ユーロを初め、世界経済の問題は沈静化していますが、
危機は何も解決されていません。
中央銀行の金融緩和によって、猶予期間が与えられているだけです。

世界の経営者達は、こういった実体を正確に認識していますから
積極的に事業を拡大して、投資を増やす事はしません。

ただ、市場にはジャブジャブと緩和資金が流入しており、
金利に飢えたマネーは、市場から市場を徘徊して金利をエサに肥大化しています。

■ アベノミクスのシナリオを容認する金融界 ■

G7とG20で、玉虫色ながら、アベノミクスは容認されました。
そもそも、FRBやECBの緩和規模に比べれば、
今後見込まれる日銀の緩和などカワイイものなので、
日本が「為替操作国」と非難されるイワレは全く無いのですが、
(民主党政権での為替介入の方が純然たる為替操作です)
一応、世界はアベノミクスを認めた形になりました。

ところで、アベノミクスの裏側でヨーロッパ系のファンドは
円安、日本株高に機敏な動きを見せ、既に巨額の利益を上げています。

ジョージ・ソロスは円安を援護する発言をしていました。
これなどは、彼一流のポジショントークと言えます。
その裏では彼のファンドは円安に賭けて、既に930億円の利益を上げています。

アベノミクスは「デフレ脱却」という目的を、
「市場が荒稼ぎする手段」として上手に使われている様に感じてなりません。

■ 安倍氏と麻生氏の温度差 ■

「何がなんでも、金融緩和と財政拡大でデフレ脱却」と主張する安倍氏と、
財務大臣である麻生氏との温度差も気になる所です。

少なくとも、麻生氏は安倍氏よりも経済に詳しいので、
市場に対する口先介入も巧妙です。

一見、金融緩和を強力の推し進める様な発言をしながらも、
「まだオレ達は何もしていないのに、勝手に円安になった」と本質を突いた発言も見せます。
「日銀が外債を直接購入したら、為替操作になる」との良識的は発言もしています。

安倍氏が「外債の購入も有りうる」という発言で物議をかもした後だけに、
アクセル役の安倍氏と、ブレーキの麻生氏という役割分担がある様にも感じます。
麻生氏、財務省、日銀が上手にタッグを組んで、
安倍氏がその上で上手に踊るという筋書きなのか・・・。

■ 「デフレ脱却」の人参に釣られる日本人 ■

日増しに高まる安部政権んお人気を見るにつけ、
私はある既視感に襲われます。
それは「聖域無き構造改革」を主張して、
国民の人気絶大だった小泉首相の姿とダブってしまうのです。

主張こそ、全く正反対ですが、
国民の支持を背景に断行された改革の数々は、
日本の国益よりも、グローバリストの利益を優先するものでした。
主張している内容は間違っていないように思えたのに、
結果が国民を不幸にする・・・。

「アベノミクス」とは「デフレ脱却」の幻想を鼻先にぶら下げることで、
実は自民党が数の政治で、「TPP参加」に踏み切ったり、
「消費税率の引き上げ」を断行する政策に思えて仕方ありません。

これは、民主党政権が「小沢-鳩山」以降に変質した過程に似ています。

多分、参議院選挙までは、円安もある程度継続し、株価も大暴落は免れるかも知れません。
国民は「アベノミクス」への拍手として、参議院選挙で自民党が大勝するでしょう。

そして、衆参両院で自民党が確実に過半数を獲得した時、
安倍氏の背後に隠れていた勢力が一気に勢いを増すのかも知れません。

円高、株安にユリ戻しが起こり、
マスコミが手の平を返した様に安倍政権を批判し、
場合によってはスキャンダルで揺さぶりを掛け、
気付けば、小泉一派の残党に政権が乗っ取られていた・・・・。

民主党の内紛をさんざん見せられた後だけに、悪い妄想がムクムクと膨らんでしまいます。