パリ、北京を舞台にして放浪する魂の恋愛ドラマを見せる。『天安門、恋人たち』『スプリング・フィーバー』のロウ・イエ監督最新作。今までもそうだったが、今回も決して好きな映画ではない。だが、目をそらせない。
主人公の女はバカだ。セックスをどんなに重ねても愛には届かない、という映画のコピーそのままの内容で、それが切ない想いになるのではなく、こいつほんとうにバカ女だな、としか思わない。それはいろんな男 . . . 本文を読む
昨年の『ゼロファイター』に続き、今回も象徴的なダンスで全編を彩るスタイルに固執した。派手なアクションをふんだんに取り込んだダンスシーンでゼロ戦によるドッグファイトを表現し、ドラマ部分を最小限に抑えながら、死に赴く若者たちの生きざまを描いた。今回はまた、いつものように木刀を使った剣劇アクションだ。派手な殺陣をダンスと融合させ、さらに洗練度を高めた。しかも上演時間の目標を90分に設定して、新撰組の志 . . . 本文を読む
たぶん、初めて見るサウジアラビアの映画だ。日本では公開されることがなかった。そして、そこに初めてイラン映画を見たときのような感動を受けた。アッバス・キアロスタミの『友だちのうちはどこ?』である。あの感動に匹敵するのだ。それだけで、このすごさは理解してもらえるはずだ。サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル=マンスール。彼女の名前をちゃんと覚えておこう。これから世界を席巻するはずだ。
主人公の . . . 本文を読む
前作を見たのは、たまたまだ。台風でクラブがなくなり、暇なので映画館に行くと、ちょうどこの映画が始まる時間だったので、都合がいいから。ただそれだけで見た。もちろんハリウッド映画の大作だし、深作欣二監督の『バトル・ロワイアル』とまるで同じ話をアメリカ映画がサルまねして作るということに、興味を抱いたこともある。お手並み拝見、って感じで見た。結果はまずまず、て感じ。つまらなくはないけど、どうってこともな . . . 本文を読む
中原俊の久々の新作なのだが、この作品の後、彼の新作はまだ出てない(たぶん)。だから、少し軽そうだけど、これを見ることにした。90年代に活躍した作家が今、なかなか新作を撮れない状況にあるような気がする。池田敏春の死や、根岸吉太郎の沈黙。今、作家主義の監督の時代ではないことは重々分かっているけど、それにしても「いやな時代」になったものだ。商業主義の映画しか、作られない。しかも、安易な作品ばかりが量産 . . . 本文を読む
一体この芝居はどこに着地するのだろうか、見ていて、不安にさせられる。初演のラストはもっとシンプルだった気がした。終盤、いつまでたっても終わらない。こんなはずじゃなかったのに、と思う。先が読めない。
終演後、作、演出の橋本さんに思わず聞いてしまった。もちろん結末部分をいじっているということだった。松本ドックパークという場所に取り込まれてしまい、ここから出られなくなる男という図式が前面に出る。反 . . . 本文を読む
アフリカからの難民の女性が、言葉もわからない場所で、ふたりの幼い子供を抱えて生きていく姿を描く。そこがオーストラリアであっても(というか、そうなのだが)どこでも彼女には関係ない。見ず知らずのところで、差別と偏見を受けて、(それは、ただの無知ゆえかもしれないけど)最悪の仕事をする。でも、本当はそうではない。
これは悲惨を描く小説ではない。彼女は、すごく長い時間をかけて、なんとかこの環境に適合し . . . 本文を読む
このなんとも不思議なタイトルの短編集に納められた5つの作品は、このタイトルが象徴する通りのシュールなものばかりだ。「ちょっと怖くて愛おしい『偏愛』短編集」と帯にはある。一見するとなんの変哲もない日常の風景なのだが、なんだかおかしい。そして確かに怖い。だが、そこに描かれるドラマはとても優しい。愛に満ちたお話なのだ。これらの短編のなかで描かれる人々の機微。別段凄いことが描かれるのではないけど、心に引 . . . 本文を読む
大晦日の夜、BSプレミアムで『バック・トゥー・ザ・フューチャー』3部作の一挙放送をしていた。年越し蕎麦を早々に食べて、TVの前でくつろぎながら、この映画を見る。別にわざわざこんな古い映画を、こんな時に見なくてもよかったのだが、なんとなく久しぶりに『バック・トゥー・ザ・フューチャー』を見たい気分になったので見てしまった。まぁ、朝、新聞を見たときから楽しみにしていたのだ。
初公開のとき、ロードシ . . . 本文を読む
土曜日の夜、たまたま早く家に帰ると、この映画が偶然にもやっていた。風呂を出て、TVをつけると、すぐに始まったのだ。『男はつらいよ』はもちろん全作品見ている。14作の『寅次郎子守唄』以降はすべてリアルタイムで見たから、この第13作がリアルタイムで見ていない直前の作品ということになる。74年の夏公開のこの映画は、僕がまだ15歳くらいで、映画狂いになり初めた頃の作品だ。でも、まだまだ子供で、寅さんの魅 . . . 本文を読む
ようやく2014年がスタートした。最初の一冊は沢木さんの新刊だ。藤圭子が引退する直前をドキュメントしたインタビューである。なぜ、今頃そんな本が出版されるのか。普通ならいぶかしがられるところだが、沢木さんだから、まるで不思議には思わない。さらには、彼女の自殺の後、出版されるため、際物本だと、誤解する人もいるだろうが、沢木さんだから、そんなはずもない、と誰もが知っている。沢木さんのこだわりは彼の本を . . . 本文を読む
フランスのコメディとした宣伝されるが、この素敵な映画をただのコメディタッチの恋愛映画だなんて思わないほうがいい。まぁ、フランス映画らしいエスプリの効いた作品ではあるけど、このささやかなお話が、とても心に沁みてきた。とてもいい映画だ。映画を見ながら、こんなふうに生きたいと、思う。当たり前なんてものはない。既成の価値観に躍らされて、本当のものを見ないような生き方だけはしたくない。
1962年、パ . . . 本文を読む
このくだらないイタリア映画を見てしまった僕を恨む。この題材でイタリア映画というところが十分やばいはずだが、あまり気にせず借りてしまった。そして、こういう「へぼい」映画を見てしまった。もしかしたら、なんて期待した自分が馬鹿だった。
ナチスが月から攻めてくる『アイアン・スカイ』に並ぶバカ映画。大体まるで話にひねりがないのが凄い。しかも笑えない。シリアスタッチの作品なのだ。でも、ありえないよ、この . . . 本文を読む
映画以上に演劇の10本は難しい。選び切れないからだ。だが、ここも非情に10本選出。こちらも映画同様趣味で選んだので、必ずしも見た芝居の中で一番優れた10本と言うわけではなく、僕が好きだった10本だと思ってもらいたい。見た芝居は149本。(短編はワンプログラムで1本としてカウントした。)
1位 伏兵コード『木菟と岩礁』
2位 コトリ会議『にくなしの、サラダよ』
3位 A級MissingLink『 . . . 本文を読む
2013年、劇場で見た映画は151本。今の僕としてはまずまずのペースではないか。今年から選出は、10本のみにすることにした。毎年選べないから30本程リストアップしてきたけど、未練たらしいし、それでもお気に入りの作品が30位から漏れる。それならもう思いきって今日の気分で10本限定で、ちゃんとベストテンにする。
まぁ、こういうのはその日の気分なので、あまり気にしないで思いつきで選ぼうと思う。単な . . . 本文を読む