アリアーノ(P)(brilliant)CD
brillantはお試しにYoutubeに全箱アップしている音源があるのでこれもあるかもしれない(全曲アップは販促になるのか個人的には疑問だけど…)。フランス六人組中の理論肌の才人で、華々しいのは若い頃紅一点であったころで(ティボーと浮き名を流したこともある)、むしろ職人的な方向へ向かい、十二音技法を含むさまざまなものを吸収した高い技巧を持ちながら節度ある、またあまり重くならない小規模な作品を長い人生の過程でかなり書いている。CDこそ探しづらいが、Youtubeにはたくさんあるので万華鏡のような世界を楽しむといいと思う。ミヨーとオーリックの巨漢二人をつなげたような世界を自分のテリトリーとして固持していたのかとも感じるような、聴きやすくも硬質の、隙のない作品が多い。ピアノ作品は中でもプーランクのような技巧に走らず、ミヨーの単純な美観は視線は送るもそこに安住せず、個性的にはきこえないが、ベル・エポックのパリでサロンに流れたような穏やかで人好きする音楽は、あれ、他にこういうのを書いた人を一人、絞ってあげられない、とはっとさせられる唯一無二性もある。この曲もふらふら枯れ落ちそうにして世俗性ある旋律がゆったり流れ、どこかで聞いたようなのに思い出せないフレーズがつぎ合わされてすぐ終わる。わりと不協和音的だが不可思議な世界を演出する計算でしかない。これはミヨー的でもあるが、とにかくタイユフェールは構えなくても聴けてなおかつ満足できる出来が多く、欠点は代表作の欠如なので、みなさまその手で発掘して紹介してみてはいかが。この曲は音楽院でフォーレとともにタイユフェールに一等(対位法と和声法)をあたえたドビュッシーを讃える曲のはずなのにあまりドビュッシーぽくない。まだ六人組の頃の作品だが作風は確立している。演奏は紹介者としては満点。