湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ミヨー:弦楽四重奏曲第2番

2018年02月13日 | フランス
◎パリジー弦楽四重奏団(AUVIDIS)CD

強靭さのないアンサンブル。しかしそのアンサンブル能力の自然さ、高さと柔軟性が長所に感じた。柔らかく線の細めな、フランスというよりイギリス的な融和しやすい音に惹かれたわけでもあるが、ミヨーのカルテットでいちばんわかりやすく、かつ魅力的な旋律が理知的な構造の中に組み合わされ配されて、しかもその中に非凡な技巧的工夫が過剰にならずさらっとミヨーならではの形で篭められている。「雑多で硬派なミヨー」のファンにはまだ「六人組の描く牧歌」の範疇を抜けていない日寄った作品ともとられかねないわかりやすさだが、コントラストの著しくとられた各楽章にも鮮やかに統一主題が変容され導入されて形式感をしっかり維持していたり(かなり中欧の古典的作品を研究したようである)、2楽章には宗教的な暗い主題がミヨーの代表作にも一貫してみられる独特の雰囲気をカイジュウなハーモニーにより(また構造的に懇意だったシェーンベルクあたりに通じる萌芽も感じる)しっかり内容あるものに仕立て、四、五楽章のボリュームとともに力作大作感を強めている。この演奏はとくに構成が練られており意図を理解しやすい。三楽章を軽く風のように流しているのは少し物足りなさもあるが実に安定し上手い楽団だなあと感心させる無理のない柔軟性を兼ね備えた俊敏さだ。とにかくプロヴァンスのあたたかな日差しを思わせる融和的な音色と、作曲の技巧や先鋭さを強調したような分析的演奏に走らず音楽として綺麗なものを聞かせようという意図に惹かれた。◎。

※2006-07-04 09:41:25の記事です

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