湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ミヨー:歌劇「クリストフ・コロンブ」全曲

2006年06月22日 | フランス
○ロザンタール指揮リリーク放送管弦楽団(ORTF?)、フランス国立放送合唱団他(DISQUE MONTAIGNE/ina配信)1956/5/31LIVE(6/1放送)・CD

極めてダイナミックな大作で多様な表現の散りばめられたミヨーのいわば集大成的な作品である。クレーデルの本による歌劇だが映画音楽を元にしているのではなかったか?描写的でわかりやすく、ウォルトンのベルシャザールに更に慎重なワサビを効かせて、後半は新大陸のリズムや楽天的旋律を過不足ない書法で巧みに組み入れ、「男とその欲望」を彷彿とさせる原始主義も洗練された都会的な無駄無い表現により陳腐に陥らせることなくそのエッセンスだけを伝えている。複調性や不協和要素は無いわけではないのだが殆ど目立たない。新大陸の場面で感傷的にあらわれるプロヴァンス民謡ふうパセージも新大陸に爽やかな風を吹き込むだけで違和感はない。ジャズが顔を出すのは御愛嬌。最後はまさにオネゲルのダヴィデ王を彷彿とする雄大で感動的な盛り上がりをみせる。ロザンタールは明るく乾いた音で色彩感溢れる生命力に満ちた表現を最後まで崩さない。他曲のスタジオ録音にきかれるような弛緩は無い。フランス流儀としての声部間のバラバラ感も全く違和感なく寧ろ色彩感を倍加している。終演後の盛大な拍手も演奏の成功をつたえる。モノラルであることをマイナスと考えても○をつけざるをえない。このCDは今はなき六本木WAVEで長らく棚を飾っており、金を貯めてやっと買おうとしたら売れてしまっていて、「ミヨーなんて聞く人が俺以外にもいたんだ」と落胆した覚えがある。当時なんばでミヨーのカルテットを集めていたら「研究家のかたですか?」と訝しげに見られた、そんな頃である。

(後補)ina配信で6/1と記載されている音源(オケ名はORTF)は演奏日ではなく放送日の可能性が高い。新作の大曲の演奏という性格上、何度も演奏されているとは思われず、DM盤は放送された録音という記載があることからも、同一と思われる。

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