大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説・大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・3(増補版)

2018-10-13 22:07:41 | 小説・2

小説・大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・3 増補版
 



 

 連休を制する者は一学期を制す

 連休の真っ盛り……というても、うちら高校生は暦通りなんで、ほんまの連休気分に浸れるのは3日の土曜からの四連休ですね。
 あたしは、そんなに本を読むのは早い方ではないですけど、この連休は、ちょっと読んでみよと思うてます。

 昨日と、今日の午前中で、ウィリアム・インジの『ピクニック』を読みました。ブロードウェイでロング・ランを続け、1953年度のピュリッツア賞とニューヨーク劇評家賞を獲得したウィリアム・インジの舞台劇です。キム・ノバグ、ウィリアム・ホールデンという全然知らん人が主演で映画にもなりました。
 読んだというても、上演するためとちゃいます。きちんとした戯曲というのが、どんな構造してるのか勉強するためです。

 簡単に言うと、いかに苦難を乗り越えて愛に走るか! その美しさと勇気を描いたええ本です。

 女の子にはスカートひらりひるがえし 走りたくなる時がある 何もかも捨てて愛に向かうよ♪

 AKBの『スカートひらり』を思わせる名作でしたが、人数的にも高校生にはでけへんので、機会があったら、詳しく紹介します。アンチョコで知りたい人はツタヤで映画のDVDを借りましょう。

 本命は青雲書房の『いちご脚本集』です。

 名は体を表すで、この脚本集は登場人物1~5人で演れる本ばっかり載ってます。横浜の友達に教えてもろて、近所の図書館で借りました。

 ①『輝けよ、星たちの傍らに:石山浩一郎 女・2』
 ②『NOBODY:佐藤康子 女・1』
 ③『となりのトコロ:大橋むつお 女・3』
 ④『女子高生しています:水川裕雄 女・5』
 ⑤『クロスロード:石原哲也 男・3 女・1』


 このシリーズは、三巻あるんで、ゆっくり読んでいこと思います。
 うちは、ルナールの『にんじん』演ることに決めてるんで、急いで読まなあかんことはないんですが、一応部長なんで、ある程度のレパは頭に入れとかなあかんと思います。
 うちの知ってる限りでは、民芸高校さんが同じ姿勢で部活に取り組んではります。ええ意味で競争したいもんです。

☆読後感想

 あくまで、あたしの主観です。①②④は人間の彫り込みが浅いです。

①は、警察の取調室で、女性刑事と女子高生の噛み合わない会話の面白さを書いた本。でも、噛み合わないことで、あまり心に突き刺さるものも、暖まるものもありません。 

②は、女子高生が渋谷で友達と待ち合わせしてて、次々に記憶を失っていき、最後は自分の顔さえ分からんようになる話。一見現代社会の情報に埋没する人間を描いたように見えますけど、こういうのを書いてみたかったというレベル。①もそやけど、関係性の中で噛み合わない面白さ、怖さまでには至っていません。

④は、二組の女子高生が待ち合わせしてて、会えずじまい。そんで、学校に不審者が入ってきて先生を人質に立てこもる。事件は無事に解決して、二組の女子高生は日常の生活に埋没していく。まだアイデアだけで書いたみたいで、人間の葛藤が見えてきません。

 ③と⑤には、ドラマがあります。
 ③は『となりのトトロ』をリスペクトした青春ドラマで、作りがファンタジーな面白さがええと思います。
 ⑤は、先生と生徒が暴力事件起こして、双方退学と退職。シビアそうやけど、なんかゆったりしたユーモアが全編に流れてて面白いです。それでいて、人間ちょっとした気分や言葉のやりとりで、こんなに結末が違うという現代社会の怖さもちょっぴり見えます。お勧めは③と⑤です。


 高校演劇の名作

 毎年、予選と本選で11本の創作脚本賞が選ばれます。ちょっと前の全国大会でも、平田オリザさんやったかが激賞した創作劇がありました。パンフなんかにも快挙やいうて書いてありました。全国大会でも最優秀とったと記憶してます。

 そんなにええ本やったら、なんで、よその学校が演らへんのでしょう?

 あたしは、全国の記録を見てるわけやないですけど、大隅ケイコさんの、かなり緻密な記録見ても、その後、よその学校が演った記録には出会いません。
 吹部や軽音なんかでは、コンクールなんかで同じ曲が被るのはしょっちゅうです。そんなんが名作やと思うんですけどね。その時だけヨイショされて、明くる年からは省みられへん作品て、どうなんでしょう?


 一見関係ないんですけど

 うちの学校の食堂が値上げさせてくれて言うてはります。あたしの好きなカラマヨドン(唐揚げにマヨネーズかけて、薄目の出汁がかけたある丼です)これが10円上がります。
 食堂のオッチャンとよう喋るんですけど、ジュースの自販機を一日稼働させてくれたら、なんとか値上げせんといけるらしいです。学校の食堂いうのんは本メニューそのものは単価が安いんで自販機の儲けが大きいらしいです。
 学校は、昼と放課後しか自販機を使わせてくれません。理由は「休み時間などに集中し教育上宜しくない」からやそうです。
 あたしは、ちょっと違うんちゃうかと思います。ちゃんと生徒に「ペットボトルを管理すること。授業に遅れんようにすること」なんかを徹底させた方がええと思うんです。こういうとこで生徒を信用してないのは、どないかと思います。うちの好きなカラマヨドン値上げになりませんように。

 ここから本題です。

 先生や連盟は「生徒の自主性」を、よう言わはります。せやから生徒が自主的に書いた創作劇をえらい評価しはります。せやけど、さっきも書いたけど実質は毎年演りっぱなしで使い捨てです。何回も上演されて、本が練り込まれていくいうことがありません。最初に書いた『ピクニック』なんかはオフブロードウェイで今でも上演されてます。そういう視点で本と本書きを育てる視点は持たれへんもんでしょうか?

 自主性の持たせ方、ちょっと考え直した方がええと思います。


 僭越ですけど

 講習会なんかで、創作脚本の部門ありますよね。あたし一回だけ夏の講習で行ったんですけど、どないやねんやろです。
 第一に講師で来はる先生らの本、ネットで探したら出てきますけど、あたしが検索した限り、よその学校で複数回上演実績があるのは某先生ぐらいです。ズケズケ言いますけど、こんな先生に本の書き方習うて、本書けます?

 先生らが、よう言う言葉に「動機付け」いうのがあります。あれは「アリバイ」と同じ意味に聞こえます。

 今日は淀先生に目ぇ通してもろてません。ひょっとしたら連休明けぐらいに削除言われるかもしれません。
 せやけど、きれい事ばっかり言うてても、何にも進みません。そない思いません?

 基礎練習のことなんか書きたかったんですけど、また今度。



 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好 清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・妹が憎たらしいのには訳がある・48『スナイパー』

2018-10-13 06:44:48 | ボクの妹

注意:わたしのブログを装って成人向けサイトに誘導するものがあります。URLの頭blog.goo.ne.jpを確かめて入ってください。blog.goo.ne.jpではないものはわたしのブログではありません。 閲覧の皆様へ

 

妹が憎たらしいのには訳がある・48
『スナイパー』 
     

 

 イゾウは閉じた思念の中で装備の最終確認をした。

 義体一体吹き飛ばすのには、十分な装備だ。

 炭素繊維の短銃身のグレネードランチャー。本来ゲリラ戦の対戦車用の使い捨て武器である。イゾウはこれを二本まとめて、二発発射できるようにしていた。一発で仕留める自身はあったが、義体の脳は頭にあるとは限らない。胸や腹に仕込んだもの、中にはバックアップのCPを持っているものもあり、義体を完全に仕留めようとしたら、頭部と胴を同時に破壊しなければならない。
 今まっさかりの極東戦争でも、こういう義体には手を焼いているが。イゾウは仕留め損なったことはない。その腕を買われて、こちらのグノーシスに引き抜かれた。むろん正式にではない。今回佐伯幸子という義体が、スニーカーエイジに出るので、できるだけ派手に破壊して欲しいという要請だ。どうやら、こちらのグノーシスは結論を出したようだ。
 しかし、イゾウは、そのことに関心はない。向こうの世界で、イゾウのようなスナイパーは、南西諸島や大陸の山岳部、時に都市部でコッソリと使われ、報酬だけが与えられ、その名が世に出ることはない。
 それが、部内だけとは言え、今度の仕事は記録に残る。三万の観衆が見守る中、まるでショ-のように自分の仕事は注目される。腹の中で沸々と喜びが湧いてくるが、それは思念バリアーの中に封じてある。思念バリアーには物理的な防御力は無い。自分の思念が読み取られ、あるいはハッキングされないためのバリアーで、スナイパーには必須のものである。ただ、このバリアーの能力を最大に上げると、聴覚が低下する。視覚とスナイパーとしての能力に集中するのに都合がよく、戦場の様々なノイズを遮断するのに有効である。

 だから、午後の部開始のアナウンスは、はっきりとは聞こえなかった。

 聞こえていれば、ただちに撤収したであろう。

 ステージにターゲットが現れた。あらかじめ登録していた桃畑律子の衣装のシリアルと合致した。

 イゾウは観衆に溶け込むために、演奏にノッた。バリアーのため、歌詞の内容までは分からないが、パワーといい、エモーションといい、人の心を動かす力を十分に持っている。こういうものには素人のイゾウにもいいパフォーマンスのように思えた。

――せめて、最後まで歌わせてやるか――

 ああ ああ レイブン レイブン レイブン 傭兵少女隊……ただ今参上! 

 笑顔で決めポーズになった瞬間、イゾウはトリガーを二度引いた。
0・1秒の間隔を空けて、優奈の頭と、胴体は血しぶきをあげて吹き飛んだ。
 会場は騒然となった。
――ブラフか、ターゲットが違う!――
 そう思った瞬間、パルスレーザーが飛んできた。イゾウは磨き抜かれたスナイパーの勘で、跳躍して、会場の天井板を突き抜けた。
――しまった、こんなところに戦闘用の義体が――

 

 ねねちゃんはシーリングライトのスペースで演奏を聞いていた。

 ラストの決めポーズになって、精一杯の拍手の最初の一拍を打ったところで、グレネード弾の発射を感知した。あまりの至近距離なので、グレネード弾の破壊には間に合わなかったが、すぐに発砲者にパルスレーザーを撃った。発射位置を悟られないため、ステージ上のミラーボールに反射させた。その間0・1秒。優奈の胴体が吹き飛んだとき、そいつは天井板をぶち抜き、目の前に現れた。そいつは意図的に現れたのではなく、緊急避難としてここに逃げてきたのだろう。スナイパーらしからぬマヌケ顔にねねちゃんはパルスレーザーのパワーを最大にして撃った。イゾウは視神経が捉えた映像情報を行動に反映する前に、周囲に僅かな煤をのこしただけで蒸発してしまった。

 舞台の仲間や、観客席の前の方にいた者達は、優奈の返り血を浴びてパニックになっていた。幸子は、無意識にバラバラになった優奈の側に寄り、優奈の前頭葉の破片を探し、優奈の遺体を抱きしめるふりをして、それを飲み込んだ。なかば無意識な行動だった。
「幸子、しっかりしろ!」
 俺は、幸子が義体であることも忘れて、抱き起こした。
「優奈、優奈が……!」
 幸子は、そう叫びながら、優奈の前頭葉を喉の奥経由で自分のCPの予備スペースに保存した。幸子自身、そんな機能が自分にあることに驚いていた。

 そして、その会場にいた人たちは、認識の多寡に差はあるものの、とんでもないことが起こり始めていることを実感した……。


 

 

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・25『水島……結衣? 昭二?』 

2018-10-13 06:30:45 | トモコパラドクス

トモコパラドクス・25 
『水島……結衣? 昭二?』 
     


 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!


「今年の転入生は、二人ともかわいいね」

 この噂には、友子は満足した。二人とは友子と、今日転校してきた清水結衣だったから。

「でも、今日来た清水結衣ちゃんは、抜群ってか、もうテッペン取ったて感じだよね!」

 この噂には、友子は、二つの「し」の付く気持ちを持った……心配。そして、嫉妬。


 元来が、あの都立乃木坂高校の宇宙人がアテンダント用に作った義体だ。スタイル抜群、容姿端麗、眉目秀麗、明眸皓歯(めいぼうこうし)曲眉豊頬(きょくびほうきょう)花顔柳腰(かがんりゅうよう)羞月閉花(しゅうげつへいか)沈魚落雁(ちんぎょらくがん)「才色兼備」と、CPUが知っている限りの美人を誉める慣用句を並べても足りないぐらいであった。思わず、知っている限りの言語で表現しようとしたが、それだけで、丸一日かかりそうなので、止めた。

「ほ~………………………………………………………………………………………………………………………」

 朝礼の時に自己紹介したときの、クラスメートの反応である。

「もう……」

 と、一言ですましたのは、友子一人だけだった。柚木先生さえ、その声と顔と姿にほれぼれして、次の言葉がなかなか出なかったほどである。
 その日は、ほとんど授業にならなかった。男子生徒ばかりか、女生徒までが、いや、教えに来た先生たちも、ポーッとして、もう授業どころでは無かった。
 休み時間や、他のクラスや、他学年の生徒まで押し寄せてきて、生活指導の先生が規制に出てきたほどである。

 思いあまって、友子は結衣を部室にかっさらった。それも昼休みに、結衣がトイレの個室に入ったのを見計らって、ルパン三世のような早業で!

「なにを、そんなに急いでいらっしゃるの?」
「あのね、し、心配してんのよ!」
「わたしを……?」
「あなたと学校をね! 分かってんの、今の状況?」
「はい、少し困りますね」
 この、少し眉根を寄せた憂い顔が……友子も見とれてしまった。

「なんとかしなきゃね、とても普通にはやっていけないわよ」

 紀香も加わった。

「まったく、マネも、少しは加減してくれなくちゃね」
「あなた、水島昭二だったころの記憶あるの?」
「水島……結衣。ですけど」
「完全に上書きされちゃったかな?」
 美人耐性のプログラムを起動させて、やっと友子もまともになった。紀香が来てくれて余裕ができたのである。
「ちょっと、結衣ちゃん、ごめん」
 友子は、結衣の動力を切った。
「うん、止まれば、ただのかわいいお人形さんだ。今のうちにCPUに手を入れておこう」
「わたしがやる……」
 友子は、結衣のこめかみに両手を当てた。
「だめだ、ブラックボックスになってる。手伝ってもらえる?」
「分かった」
 左側のこめかみを紀香がおさえた。ジーンという低い音がして、途切れた。
「シールドを超えた……昭二の個性が、義体のCPUに融合しかけてる」
「分離させようか?」
「下手にやったら、バグって元に戻らなくなる」
「ちょっと、わたしのCPUを通してやってみる」
 
 友子はシンパシー(共感)の回路を少しずつ解放し、まだ昭二である部分をコピーしていった。

「大丈夫、トモちゃん?」
「うん……だいぶお兄さんへの抑圧された感情があるわね。ほとんど自己否定しかけている。ちょっとお兄さんの映像出してみるね」
 友子は、目の前に昭二の兄である水島昭一のホログラムを出した。
「見かけで、まず負けてるね」
「素敵な人ね。二枚目にも三枚目にもなれる。相手に合わせて個性を変えられるんだ。智あって驕らず。情にも厚い。ひとの幸せも痛みも感じることができるんだ」
「詳しくは『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』をご覧下さいって、とこだね……」
「こんなところでコマーシャル?」
「それが、一番てっとりばやいからさ」
「いい本だもんね」

 停止した結衣の目から涙が流れた。

「あ……」
「苦しかったんだ、そんな兄貴を持って」
「だから、幽霊になってもダクトなんかに引きこもっていたんだね」
「少し、楽にしてあげよう」
「どうするの?」
「海王星戦争での、昭二クンの活躍、そして、『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』の中のお兄さんの姿。お兄さんも、こんなに悩んで、こんなに苦労したんだよ。君は知らないだろうけど……いくよ、インストール!」

 兄のホログラムは、結衣と重なり消えた。

「うん、良い感じでインストールできた」
「じゃ、起動するよ」

 結衣か昭二か分からないものが目を開いた。

「あなたは、だれなの……?」
「……水島結衣……で……水島昭二」
 その二重人格は、ゆっくり二人に目を向けると、素直なこぼれるような笑顔になった。
「あ、トイレに入ったところで連れて来ちゃったけど、だいじょうぶ?」
「うん、みんな爽やかな涙になって流れたから」
「ええ!?」
「うそうそ、今からお手洗い行って、教室に戻る」

 午後のみんなの態度は落ち着いた。好ましくかわいい子という人間的な印象に変わったようだ。

 でも、放課後は大変だった。みんながこっそりスマホで撮った写真や動画が拡散して、マスコミが興味を持ち始め、結衣が校門を出たとたんに、草むら、路地、駐車中の車、電柱の陰、中には宅配のピザ屋に化けたのたちが、いっせいに現れた。
「すみません、通行の妨げになります」
 とかわそうとしたが、ラチがあかない。
「あ、飛行機が落ちてくる!」
 紀香が、落ちてくる飛行機の3Dで見せたので、みんな蜘蛛の子を散らすように居なくなった。
「ありがとう」
 そう小声で言って、愛すべき二重人格は駅に向かった……。



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