大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・8『ちょっと理屈っぽいです』

2018-10-19 18:19:09 | 小説・2

小説・大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・8


 いろんな演劇部がブログを書いてはります。

 某高校さんのブログも、いつも興味深く読ませてもろてます。数あるブログの中でも継続性と何気ない日常の描写にすぐれています。理屈の多いうちらも見習いたいもんです。

 情報発信は、演劇という文化活動をやっていく上での重要なファクターですけども、根本問題ではないと思います。某高校のみなさんの意見は下記のように要約されます。

「知っていたら、情報があったら観に行ったのに」と思う公演もたくさんあるのです。これって本当にもったいないことだと思いませんか?やはりどれだけ観劇が好きな人でも、情報なしに公演を観に行くことは出来ません。

 一見正論のようですが、基本的に間違ってるように、あたしには思えます。

 たとえテレビや新聞などのメディアが取り上げても、一般の観客に継続的に支持していただき、リピーターを増やさなければ、観にいく人間は増えません。
 昨年某大企業が高校生向けの創作劇の募集をやり、新聞の文化欄にも取り上げられました。そやけど、後が続きません。あんなに大絶賛された鷲見さんの『LOCK ME!』が続きません。
 強調しときますが、一般の観客がリピーターとして付けへんかったら、いくら天下の平目モリコ氏が絶賛しても、一般の人たちが興味を持たへんかったら、その場限りの打ち上げ花火に終わってしまいます。ちゃいます?

 OHDに参加している一部の学校の公演は、その場にいると、ひところの小劇場の隆盛を思わせるものがあります。せやけど、冷静に観客席を見ると観客の大半が、高校演劇関係者ばかりで、一般の観客は居ないに等しく、むろんマスコミが来ることもないことに気付きます。

 大阪の高校演劇の部員は、ひいき目に見ても1000人は超えません。大阪には261の高校があり、生徒数は一校500あまりとして13万人ほどになります。その中のわずか1000人たらずしか演劇部員はいてへんのです。いわば、これがパイで、取り合いをしてもたかが知れてます。

 観劇が好きな人は、野球にはおよびませんが、そこそこにいることは、商業演劇などの観客動員数を見ても明らかです。この人たちが付いてけえへんかったら増えようがありません。そない思いません?
 高校演劇は違うのだとおっしゃる先生もおられますが、これは、単なる言い訳やと思います。
 プロ野球と高校野球の観客は、かなりの確立で重なります。軽音に、その傾向が出始めています。スニーカーエイジの隆盛を見るまでもなく(軽音は7000人収容の舞洲アリーナが満席になります。高校演劇の本選は、公表されませんけど、総計1000を超えてません)軽音は軽音以外の観客を取り込み始めています。

 原因は、ぶっちゃけて言うとパフォーマンスとしてのクオリティーの違いです。

 大阪弁で言うと「おもんない」からです。

 このクオリティーの低さは、第一に戯曲のお粗末さ。創作期間が、たったの一カ月あるかないかの創作劇。これでは、まともな本になりません。
 そやさかい、戯曲としての体をなしていないものには、演劇部自身も興味を持ちません。
 分かり易い証拠は「大感激した!」と誉められるような創作戯曲でも、他校が「こんないい芝居ならうちでもやろう!」に、どうしてならへんのでしょう。

 高校演劇の神様、榊原政常先生の本など、高校演劇を飛び出してプロの劇団が上演するほど高いクオリティーがあります。ウソやと思たら『しんしゃく源氏物語』で、検索してください。新旧あわせた公演の記録や予告で溢れてます。
 もう出来心のような創作劇や、小劇場のコピーは止めたほうがええんとちゃいます? 本気で戯曲の勉強をしませんか。現役の高校生は最長でも3年です。OBでも顧問の先生でもかまいません、「おたくの本演らせてください!」と言われるような本を書いて下さいませんか。

 第二に、役者がヘタすぎることです。

 十年に一人ほど個人的に才能のある子が出てきます。しかし、その子の力が光るのは、皮肉ですけど高校演劇を卒業してからです。
 大阪の高校演劇には、そういう子を生かすだけの創作劇がありません(大阪は90%が創作劇なので、劇=創作劇)。 その子を輝かせるだけの演出も居なければ、相手役を演れる子もいてません。劇作も演技も、よほどの天才でないかぎり、他の分野同様に毎日欠かさないストイックな努力が必要です。うちらは、それでやってます。

 けして、情報量が少ないことが致命傷ではないと思います。情宣ができれば解決できるようなレベルの問題ではない言うことです。

※念のため

 これだけは言うときます。某高さんは的は外しておられますが、この元気な情報発信は応援します。「ホームラン王は一番三振が多い」という名言があります。うちらみたいなスカタンでもかまへんと思います「あたしらはこう思う」という情報を発信してください。是々非々で論戦しましょう。論戦が、少しは人々の意識を変えるかもしれません。本業の芝居作りにも力を注がれているようですね。本選の舞台で観られることを楽しみにしています。

  文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・妹が憎たらしいのには訳がある・54『羊水の中の俺』

2018-10-19 07:12:07 | ボクの妹

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妹が憎たらしいのには訳がある・54
『羊水の中の俺』 
     


 俺は特大の胎児のサンプルのように羊水の中に浮かんでいた。

「今度の任務は長くなりそうだから、羊水保存させてもらったわ」
 水元中尉が、まるで熱帯魚の移し替えをやったような気楽さで言った。
「おもしろかったわよ。みんなでお兄ちゃんのこと裸にして、エイヤ、ドッポーンってこの羊水の中に放り込んだの。頭の中身はそっちに行ってるはずなのに、裸にするときは嫌がってね。パンツ脱がせる時は一騒動だった。ねえ、チサちゃん」
「知りません、わたしは!」
 チサちゃんは顔を赤くして、あさっての方を向いてしまった。その後ろでは、親父とお袋がいっしょに笑っている。
「ほ、ほんとに自分たちでやったの!?」
 ねねちゃんの中に入っている俺の自我が、ねねちゃんの声で、そう叫んだ。
「チサちゃん、あそこつまんで、まるで眠った親指姫みたいだって」
「そ、それはあんまり……」
「そんなことしてませーん!」
 チサちゃんがムキになる。幸子が小悪魔に見えてきた。
「素人じゃできません。専門の技官が、やりました。サッチャンは冗談を言ってるんです」
「なんだ、そうか……」
「ただ、法規上、身内の方には立ち会っていただきましたけど」
「なんだ、そうか……って、みんな見てたの!?」
「うん。だからチサちゃんは、親指姫みたいだなって」
「わたしは、身内じゃないから見てません!」
「冗談です。大事なところは見えないようにしてやりましたから」
「じゃ、親指姫って?」
「親指のことよ。ほら、今だって、手は握ってるけど、親指は立ててるじゃない」
「ハハ、幸子の仕返しよ。いつもメンテナンスで太一には、その……見られっぱなしでしょ」
「それは、必要だから、やってることで……」
 俺の半分のねねちゃんが、あとを言わせなかった。

「大部隊の行動では目に付く。当面は二人でやってもらう」

 里中副長の意見で、東京に出撃するのは、わたし(ねね)と幸子になった。
「えー、わたしは、ここで毎日お兄ちゃんの餌やりしようと思ったんですけど」
「これは、並の人間じゃ勤まらない。戦闘用の義体でなくちゃな。それにねねは、向こうの信用も得ている。幸子クンは、その顔ではまずい。優奈クンに偽装してもらおうか、若干意表はつくが、ロボットのユースケを信用させるのには一番の偽装だ。向こうの世界から送り込まれた義体情報をヤミで流しておく」
「でも、国防軍の中枢だから、こちらから流した情報は、解析されれば分かってしまうでしょ」
「チサちゃんに、ほんの数分向こうの世界へ戻ってもらって流してもらう」

 その夜、チサちゃんは、詳しい事情も知らされないまま、向こうの世界に送られた。

 スマホで、向こうの古いエージェントに、暗号化した情報を流すためだ。
 チサちゃんは、元々は向こうの世界の幸子なので、短時間なら、痕跡も残らない。向こうのグノーシスはナーバスで、こちらの人間が向こうにいくとすぐに、その兆候が分かるようになっている。二三分なら個体識別まではできない、チサちゃんは、ちょっと表でスマホをかけたと思ってもどってきた。
「これでよし。移動は高機動車のハナを使え、鹵獲されたことにしておく」
『え、わたし鹵獲されちゃうんですか!?』
 部屋のスピーカーからハナちゃんの声がした。
「おまえ、どうしてこの部屋が分かった!?」
『わたしは、優秀なアナライザーでもあるんです。この真田山駐屯地のことは、一般隊員のグチまで分かります』
「司令に注意しなくちゃいかんな」

 と言うわけで、わたしとサッチャン、いや、優子はハナちゃんに乗って、その夜のうちに東京を目指した。ブラフではあるけど、もう一度ユースケたちを疑ってみるところから始めた……。


 

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・31『友子 分身の術』

2018-10-19 07:04:07 | トモコパラドクス

 

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トモコパラドクス・31 
『友子 分身の術』 
       

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!



「うわー、わたしにソックリ!」

 十分後、スタジオに友子に連れられてきた自分の影武者を見て、まどかは歓声をあげた。


「じゃ、簡単なテストをやります。いい、まどか?」
「うん?」
「いや、影武者の方に言ったんです。もう成りきってますから。じゃ、決めぜりふから」
 影武者は、本物と寸分狂わぬポーズで決めた。
「はい、エクボは愛の落とし穴。あなたの心を開くのは、なんでしょう。それは、あなたのま・ど・か!?」
「かんぺき!」

 それから、立ち居振る舞い、「マネージャーはデベソ」など、基礎知識をチェックして、拝むようにして、まどかは裏口から抜けて行った。

「わたしに、こんな力があったなんてね……」友子と、まどかの影武者が同時に言った。

「はい、まどかちゃん、ニッコリ笑ってスピンしてジャンプ……今度は、思い切り両足後ろにあげてジャンプ……はい、とりあえず決まり。あとはモニターにラッシュ出して、選びまーす」
 カメラマンの篠山さんがOKを出した。

「うまくいったね」
 と、影武者。
「もう、友子には怖い者なしだね」
 と、友子。

 むろん、だれにも気づかれないように、スタジオの隅でヒソヒソ話している。本当は、こんなヒソヒソの会話もいらない。だけど、今日のこの結果が嬉しいために、わざと会話にしている。

「おかしいなあ……」

 篠山さんが呟いた。
「なにか、問題ありますか」
 父であり弟である一郎が心配顔で聞いてきた。後ろにはお母さんがついて、同じ表情をしている。
「いや、いい絵はとれてるんですけどね。ほら、これとか、これとか……」
 大きなモニターに出てる何百枚の写真から、何枚かを指差した。
「さすが、篠山さん。実物以上によく撮れてますね……あ!」
「さすが、まどか、気がついたかい?」

 それは微妙な違いだった。

「きっかけ出して、ポーズが決まるのが、いつもより0.1~0.3秒遅れてるんですよね……まどか、表情には出てないけど、ちょっと疲れてんぞ。こんな遅れははじめてだ。佐々木さん、ちょっと無理させすぎてないですか?」
「はあ、レギュラーが一本増えただけなんですけどね。気をつけます」 
 マネージャの佐々木はメモを取り、スケジュ-ル帳とにらめっこした。
「大丈夫です、すぐに慣れますから。ほかに問題無かったら、次ぎお願いできますか、テンション高いうちにいきたいと思いますんで」
「よっしゃ、次ぎ、衣装メイク替えて、二十分後再開」

 友子は、控え室で、メイクや衣装を替えている影武者を調整していた。むろん他の人間には気づかれない。パソコンのソフトの更新のようなものである。
 影武者は、スタジオ近くに捨てられていた自動車のパーツを分子変換して新たに作ったまどかの義体である。
「もう一人まどかがいれば済むことじゃん」
 それがヒントだった。思いついて五秒後には義体ができていた。ただ、友子の意識というかパーソナリティーは一つしかない。
 そこで、意識は、友子と、できたてのまどかの義体の間を毎秒1/100秒で行き来している。だから、篠山の指示があって、表現になるまでに、ごく僅かのタイムラグができてしまうのだ。
 友子は、プログラムを数万回変えて(かかった時間は、ほんの数十秒だが)1/1000秒まで縮めた。

 チョンガリコーンが百個ほど、宙に舞った。それを、まどかは目にも止まらぬ早業で食べていく。むろんチョンガリコーンはCG、あとで合成する。やろうと思えば百個ぐらいのチョンガリコーンは食べられるんだけど、やったら、みんなが目を回す。

「うん、動画はメッタに撮らないけど、今のはいけたと思う。静止画の中にほんの二秒の動画だけどインパクトはあると思う。それにしても、まどか、立ち直り早いなあ」
 篠山さんが感心した。

 夕方、本物のまどかが戻ってきた。

「大丈夫っぽそうね?」
「そちらは?」
「うん、初期治療がよかったんで、なんとか……しばらくはリハビリだけどね」
 明るく言ってはいるが、母の突然の脳梗塞は堪えたようだ。
「心配しないで、それはわたしがやるわ」
 見透かした影武者まどかが言った。
「ディズニーランドのミッキーと同じ。同時に違う場所には出現しないけど、何体も同じ着ぐるみがいるから、タイムラグ無しでいけるわ」
「そんなことまで、お願いしていいの?」
「まかせてください。困ったときはお互い様の乃木坂学院です」

 現に、今も移動中の車の中で、もう一体のまどかの義体が、疲れ果てて寝たフリをしている……。

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