大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説・大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・4

2018-10-14 20:17:06 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・4


☆新鮮いちご脚本集・2(青雲書房)

 読後感想です、まずラインナップ。

① あたしを花火に連れてって:石山浩一郎 女・3
② ダウンロード:大橋むつお       女・1
③ 人魚姫:谷崎淳子           男・1 女・3
④ 古池や……:水川裕雄         女・2
⑤ たくらんけ:石川哲也         男・2 女・3


 正直、ウ~ンでした。

 ①は、浴衣姿で花火を見に来た女子高生。そこへ、片方の友だちで幽霊の女の子。かなり早めに幽霊であることが分かります。それはええんです。そやからドナイいうもんが、ざっと読んだところ、ありません。ただ三人の女の子が海岸でキャピキャピ。
 で、最後に上がった花火が、実は某国のミサイルで、幽霊は去り、二人の女子高生は死ぬ。

 で、おしまい。

 アラバールの『戦場のピクニック』と設定が似てるけど、幽霊が余計。二人に死が近づいていることの表現としての役割だけ。だとしたら、いらない存在。舞台は一見はじけるように見える。イチビッテたら、浴衣の袖が取れたり、浴衣の下が水着。あたしは舞台で水着姿を晒す勇気はありません。カモメが花火に当たって死ぬのも伏線のつもりやねんやろけど、ただ湿っぽい。勘のええ人は、ここで結末が分かってしまう。水着でもっとはじけて、最後の一発がミサイルとハッキリ分からんと。なんの芝居かよう分かりません。アラバールの場合、長閑に空を飛んでる飛行機に手ぇ振ったら、いきなり機銃掃射されて、みんな死んでしまう。意外性とショックがあるねんけど。

 ②は、近未来、記憶を消された女アンドロイドが、いろんなパーソナリティーをダウンロードされて、いろんな目に遭いながら「自分て何者?」という疑問を持つ。ダウンロードすることで、一人が何役もすることを逆手に取った面白さ。エンディングの意外性。芝居に自信のある子やったら、演りたなる芝居です。
 問題は、舞台に二人以上のスタッフが要ること。まともにやったら50分では収まらんこと。You tubeで、春日高校が県大会まで行ったのを観た。面白いけど、自分で演るには勇気が要る。

 ③は、親子三人でやってる店に、茜いう施設出身の子がアルバイトに来る。この子が無口。店の大将は怪我で入院中。で、茜は店番に短期のバイト。店の息子が、ほのかに好意を寄せる。
 後半で、茜は親から虐待を受けて無口になったと思いこむ家族。実は茜は親の離婚が元で、弟に対しDVになる。それが茜の無口に繋がってる。で、店の息子も親が再婚同士で、妹とは血のつながりがない。その相似形の境遇の中で、茜の底深い心の傷が見えてくる。で、最後まで店の家族とはうち解けないまま幕が下りる。ドラマの構造はちゃんとあるんやけど、演る側が、どないシンパシーが持てるか。ですわ。

 ④は、芭蕉の「古池や かわず飛び込む水の音」をカエルの側から見たコメディー。いうかコント。舞台で、思い切りイチビッテみたい人にはお勧め。そやけどプロの芸人さん並の表現力がないと学芸会でおわってしまう。

 ⑤は、橋田壽賀子を思い浮かべるようなホームドラマ。「たくらんけ」いうのは佐賀県の方言で「ばかやろー」てな意味で、この家族の父親の口癖。中味は省略。ホンワカした家族の心暖まるドラマです。③も、そやけど、道具をきちんと飾れんと芝居が痩せて見えます。ホームドラマ以上でも以下でもありません。③も、そやけど、うまいこと演ったら観客席はホンワカにはなります。

 あたし的には、ダウンロードが好きやけど、とても、この一人芝居演る勇気はありません。①の女子高生を舞台で水着! これだけでインパクトあります。体の線に自信ある人は、かなりの脚色をやらせてもろて、アタックする値打ちはあると思います。

☆やっぱり『にんじん』

 親子と夫婦の崩れた関係をコミカルと言って良いほどの軽さと面白さで引っ張っていきながら、家族も人間関係やなあと深く考えさせてくれる名作です。
 ただ、ルピック(父)を演る男の子……ですわ。

☆今度の総会

 うちの学校は行きません。総会そのものがシャンシャン総会。うちの顧問も棄権で委任状です。
 講習会もね……うちのメソードとは全然ちゃうし。なんやコンサートみたいな高揚感はありますけど、それだけです。
 せやけど、不満ないわけやないんですよ。うちみたいに既成脚本やる学校は、ハナからリスク。だれも口に出しては言わへんけど。コンクールは創作が有利。コンクールのパンフ見たら分かるでしょ? 90%以上が創作劇。ウェブで他の地方のコンクール情報見たら、よう分かります。

☆本選の会場

 なんや某高校さんがリークしたらしいですけど、うちは関係ありません。
 なんでて、既成の本演ってたら本選には縁ないからです。観にもいきません。先生にBSやらでプロの芝居録画してもろて、家でゆっくり観てたほうが、勉強になります。新感線の芝居やら、野村萬斎さんの、たった5人で演ってた『マクベス』 三谷幸喜の『桜の園』なんかは目から鱗でした。

☆無対象演技

 うちの基礎練習の一つです。芝居いうのは役者が自分自身を騙すことです。いかに完ぺきに自分を騙すか。門外不出やけど、ほんのサワリだけ紹介。

 生卵を割る

 無対象で玉子掴むのは案外難しいんです。力入れすぎると潰してしまうし、入れへんかったら落としてしまうし。割るときは微妙に手に入る力が変わります。
 それから、ポイントは、カツンと割れ目入れたら、手前に45度回して割れ目を自分の方に向けてることです。ここに気ぃついたら、この玉子割りはグッと実感湧いてきます。あ、出来た! 感じが湧いてきます。ウソつきは役者の始まりです。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・妹が憎たらしいのには訳がある・49『憎たらしさの原因』

2018-10-14 06:53:00 | ボクの妹

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妹が憎たらしいのには訳がある・49
『憎たらしさの原因』 
     

 

 

 里中副隊長は黙り込んだままだ。

 スニーカーエイジで、優奈が酷い殺され方をしてからの甲殻機動隊の動きは早かった。
 ハナちゃんを始め、高機動車が何台もやってきて、会場の捜索をやるとともに、ボクたち関係者をすぐに会場から連れ去った。顧問の蟹江先生には、一枚の保護令状が渡されただけだった。同じ物が、フェリペ、お父さんの職場、お母さんが仕事を請け負っている出版社にも送られたことを、移送中の高機動車の中で伝えられた。

 つまり、ボクたちは、しばらく世間から隔離されて生きていかなければならないことを示していた。

 そして、ボクたちを乗せた十台あまりの高機動車は、会場を出ると、すぐに別々の道を走り出し、目立たないトンネルや脇道に入るとステルスモードになり、数秒後には国防軍仕様の高機動車に変身。バラバラのコースで時間差をつけて信太山の国防軍駐屯地に入っていった。
 駐屯地内の二カ所の格納庫が、地下基地への入り口になっており、ボクたちは、高機動車ごと地下基地に入っていった。時間を置いて、格納庫からは国防軍の同型の高機動車が現れ、国防軍の日常業務に就いた。これで、たとえ衛星で追尾していても、ボクたちの行方は分からないだろう。

 ボクたちは、居住スペースに案内され、しばらくその共用ラウンジのようなところに留め置かれた。

 そのスペースの片隅……里中副隊長は、さっきから黙ったままだ。

 ただ一度、ねねちゃんが、自分と里中副隊長のリストバンドをラインで繋いで、情報を伝えていた。そのとき、ねねちゃんは、我々一人一人の顔も見た。ねねちゃんに同化したことがあるボクには、それが全員の健康状態や精神状態をチェックしているのだと分かった。

 やがて、壁の一角にスクリーンが現れ、女性隊員が映った。

『副長、解析が終わりました』
「どっちのグノーシスだ?」
『これをご覧下さい』
 スクリーンが、もう一面現れた。大阪府内の地図に、十数カ所のドットが点滅している。
「これが、やつらの喪失ポイントだな……レッドが二つ……向こうのグノーシスだな」
『はい、断定はできませんが、双方のグノーシスの共同戦線の可能性があります』
「全員。喪失ポイントで向こうの世界に行ってるな……」
『こちらをご覧下さい。十分前のものです。三カ所向こうからこちらに来た痕跡です。すぐにステルス化したので、現在位置は不明です』
「こちら同様、オフラインで行動しているんだな……」
『新しい動きです』
 画面が切り替わった。ボクたちの家が映し出され、今、そこに二台のタクシーが到着したところだ。

 そして、あろうことか、タクシーからは、ボクと幸子、それにチサちゃん。もう一台にはお父さんとお母さんが降りてきた。

「全員義体だな。保護令状はキャンセルされたな……」
『これからボスが、全員のマーキングをやりますので、一時画面を切ります』
「うん」
 幸子が、パッと喜びの表情になったところで、画面が消えた。
「いったい、何がおこったんですか?」
 お父さんが冷静に聞いた。
「佐伯さん、落ち着いて聞いて下さい。向こうとこちらのグノーシスの一部が連携して、幸子クンの抹殺にかかりはじめた」
「な、なんのために……」
「お父さんも、お母さんも薄々気づいておられるだろうが、十年前の事故は、仕掛けられたものです」
「やっぱり……」
「どういうことだよ、十年前って、幸子の交通事故だろ?」
「あ、ああ……」
「お辛いでしょう。わたしが代わりに説明します。太一、君の妹はブリゾン病という難病に冒されていた……ということになっていた」
「なっていた?」
「ああ、本物なら十歳までの致死率は95%。貧血、白血球の減少、突発的な発熱。そういう初期症状は、全てグノーシスのでっち上げだ。信じ込んだご両親にグノーシスは持ちかけた。『娘さんを助ける方法があります』と」
「じゃ、幸子は?」
「この世界がパラレルワールドだということは知ってるね……パラレルワールドを結びつけ、自由に行き来するためには、コネクターという特殊な能力を持った人間の存在が必要なんだ。だいたい五十年に一人、そういう人間が現れる。幸子クンは、その能力を持って生まれてきた。ただ、この力は、両方の世界を結びつけておくだけで、大量の情報や、人間、機材を送る力は無い。双方の歴史が互いに完全ではないのは、このパイプの細さに原因があると、やつらは考えた」
「新潟に原爆が落ちたり、極東戦争が遅れて起こったり……」
「他にも無数な違いがある。向こうの世界ではケネディー暗殺は食い止められている。だが人が思うほど大きく歴史は変わらない。だが、両世界のグノーシスは、幸子クンの能力を高めることで、両世界の交流をマックスにしようとした。そのためには、幸子クンを一度殺し、その能力をコンピューターに移し替え増幅する必要があった。それが幸子クンの義体化だよ」
「幸子……」
 
 幸子は、困ったような顔で、ボクを見つめていた。
 
「ただ、その能力を最大に引き出し、安定したものにするためには、皮肉なことに、幸子クンの人間的な感情を回復しなければならない。最初は仮説にすぎなかったが、念のため、幸子クンの脳細胞の一部を残しておいた。太一、君にも大きな力がある。君は、ねねのCPにさえ人間性を与えた。幸子クンの人間性がもどらないのは……」
 そこで、里中副隊長は言い淀んだ。その後を幸子が引き取った。

「わたしの人間性が回復したら、二つの世界は重なって……おそらく、両方とも消滅する」

「それも仮説だけどね、可能性はある。グノーシスもそれに気づいて、もしくは、他の理由で、幸子クンの抹殺に乗り出した」
「じゃ、甲殻機動隊のやっていることは……」
「まどろっこしいだろうが、現状の維持。そして現状を維持しながら、幸子クンの人間性を回復させる」
『副長、ボスのマーキングが終わりました』
 画像に写ったボクたちの義体の頭上には、義体であることを示すIDが点いていた。
「この映像を見たら、現物の義体を見ても見分けがつきますよ。国防軍全員のCPチップに、これをインストール」
『はい、ただちに』

 で、こちらもただちにやらなければならない事が起きた。幸子が久々のフリーズをおこしてしまったのだ……。

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・26『バニラエッセンス』

2018-10-14 06:42:18 | トモコパラドクス

 

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トモコパラドクス・26 
『バニラエッセンス』 
      

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!



 後年言われた結衣のフェロモン騒動はひとまず収まった。

―― 普通で十分だ ――

 昭二の心で、結衣は思った。やっと人並みの青春が取り戻せる。ただし女子高生としてだけど。
 そう思いながら、結衣は昭二の心でしみじみしながら乃木坂を下った。
 もう、あまり人も振り返らない。でも、これでいい。昼休みまでのわたしは、宇宙人のマネが作った残り物のアテンダントの義体でしかない。紀香と友子が、それを程よく抑制してくれた。これで普通。あこがれの普通!

 そう思うと、結衣は駅までの三百メートルをスキップしていた。

 パンケーキの店の前で、信号に引っかかって、スキップは止んだが、六十八年ぶりの生きた体はリズムをとることをやめなかった。
 その姿がかわいく、パンケーキ屋の前の列が乱れ、マスターはパンケーキの鉄板でヤケドをしてしまった。

 信号が青になり、結衣が地下鉄の駅に降りていったので、パンケーキ屋の騒ぎは、これ以上大きくならずに済んだ。

「ま、大丈夫か……」

 結衣の後をつけている友子は安心した。
 ただ、結衣に見とれた地下鉄の運ちゃんが、停止線の十メートル手前で車両を停めてしまい、定位置に戻すのに一分少々かかってしまった。むろん、結衣に見とれてしまったせいである。
 住居を設定されている本郷三丁目で降りたところまではよかたっが、結衣は住まいとは反対の東京ドームの方に歩き出した。

「あれー……」

 そう思いながら、友子は後をつけた。

 東京ドームの周辺には、東京都から「ヘブンリーアーティスト」という資格をもらって、路上パフォーマンスをやっている人たちがいる。主に路上ライブをやるユニットが多かったが、友子には、それらのものが雑多な騒音としてしか聞こえていない。もっとも結衣が興味を持てば、それだけをピックアップして聞くこともできたが、結衣の心からは、そういう関心も感じることができなかった。

 実は、結衣は無意識のうちに心を閉ざすという特技を会得していた。昼間、紀香と友子に心を覗かれたことがスイッチになってしまったようだ。
 これは昭二の性癖が影響している。優秀な兄に常に劣等感を持っていた昭二は、努めてそれを表に出さず、親兄弟、友だちにも悟らせずニコニコしていた。
 
 今、結衣は一組のユニットに引きつけられている。だが、心を閉ざして居るために、友子には分からない。

「バニラ」という風采の上がらないディユオの前で結衣の足が止まった。
 結衣の様子から、興味があるんだろうと思って友子は聞いてみた。

  《ぼくの おいたち》 作詞:岩崎広也   作曲:西川康志

 ぼくのおいたち ぼくのおいたち ぼくのおいたち

 でも ぼくの姉貴のむすこじゃないんだよ

 ぼくをパシリに使うやつらのことでもなくってさ

 そうさ ぼくの生い立ち ぼくの人生 ぼくの生きてきた道のこと

 でも 人生とか 生きてきた道とか言うのは恥ずかしくって

 ちょっとマイナー ちょっとネガティブ ちょっとセンチメンタル 生い立ちが相応しいねえー!

 お姉ちゃんが太陽ならば ぼくは昼間のお月さま 目立たないったらありゃしない

 お姉ちゃんのスマホは三台使い分け 本命 アッシー みつぐくん

 こんな古い言葉は知らなかったけど アッシー みつぐくんのスマホを任されて

 読んだアッシー みつぐの孤独なメール 

 キーワード検索したら 出てきた二十世紀の悲しき男のカテゴリー! イエー!

 広也 どうして そんなにショボイ顔 どうしてそんなに泣き笑い ほら ほら そのヘラヘラ笑い?

 お姉ちゃん よせばいいのに ぼくに彼女をあてがった なんと なんと 本命彼氏の妹さ ああ~!

 本命彼氏の妹も ぼくに劣らぬ日陰の妹で お互い兄姉つなぐホッチキス

 ホッチキス キスキス ホッチキス スー スー すきま風

 そんなきみがかわいそうっていうんじゃない 自分自身に優しくするように 

 そっと掛けたブルゾンに 思わずキミは「あ、ありがとう」 ぼくは前頭葉で感じたよ

 潤んだヒトミ 最後の言葉が尻餅ついて震えるクチビルに

 ぼくは ホチキス キスキス キス キス キスー!

 そのとき ぼくは知ったんだ 互いのクチビルに付いたタコ焼き青のりに

 キ・ミ・は ぼくのアルテミス ミスアルテミス! オ~オ アルテミス!
 

 


 まばらな拍手が起こる中、結衣は一生懸命、目を潤ませて拍手した。周りの人たちは、その拍手より、結衣のかわいさに見とれてしまい、バニラの二人は、なにかテレビ局がドッキリでAKBかどこかの子を仕掛けてきたのかと思った。そして、結衣は意外なことを言った。

「コードをマイナーにして、わたしに歌わせてください!」

 そして、押されたように、結衣にスコアを渡し、マイナーで弾き始めた。

 コミックソングである《ぼくの おいたち》が、とても情感のあるバラードになった。観客はしだいに増えていった。
 その様子は、動画サイトに投稿されて評判になり、翌週にはテレビの取材が入り、週末には中規模のプロダクションにスカウトされ、ユニット名もバニラエッセンスと改名し、夏の終わり頃には忙しいテレビ出演に追われることになった……。    

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