大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説・大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・2

2018-10-12 22:30:32 | 小説・2

小説・大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・2
   初出・2014-04-25 17:39:58

 


 第二号です。連休を跨ぐと、先生も忙しいので連盟加盟をやってもらいました。加盟費12000円……申し訳ないけど、顧問の淀貴美先生の立て替えです。クラブの予算が確定するのは、中間開けの五月末から六月にかけて。最悪は七月までずれこんだことがあるらしいです。

 連盟費高いですね、正直言うて。東京は7000円です。5000円の差はどこからくるんでしょう。やっぱり加盟校の数の違いかなあ? うちの学校からのクラブ予算は12000円(去年の実績)です。加盟費納めたら何にも残らない。と思たら加盟費は別枠で出てるとか。みなさんの学校はどうですか?
 とにかくこの少ない部費では何にもできません。既成作品やったら、上演料だけで5000円とんでいきます。

 で、うちの学校は著作権の切れてる『にんじん』を演ります。

創作劇について

 うちの演劇部は創作劇はやりません。過去にやろ言うた先輩もいたらしいですけど。戯曲て吹部でいうたらスコア(総譜)のことでしょ? こんなん高校生が書けるわけありません。うちよりも何倍も元気で人数の多いダンス部やら軽音も、既成の曲使うてます。コンクール行っていつも思うんやけど、観客席寂しいですね。うちのβ地区でも「よその学校の作品も見ましょう」いうてますけど、地区の加盟校が13校として、平均部員数が4人やとしたら、観客席が50人を超えることはありえません。
 中には、20人以上居てる学校もありますけど、こんな演劇部て大阪で何校あります?
 高校野球みたいに、一般の人が見てもろて、面白いと思うてもらうような芝居せんと、どうもならんと思います。
 せやから、芝居の基本になる戯曲は、構造のしっかりしてる既成の脚本をやります。

OHPについて

 出てみたいなあ、とは思いますけど。そんなお金ありません。それに、あれに出たらコンクールまで三か月もありません。うちはコンクールに主眼があるので、ずっと稽古です。それにしても、男子を一人入れんと『にんじん』もできません。オールビーの『動物園物語』も視野に入れてます。けど登場人物二人が男なんでね。著作権の関係で女に書き換えてやるのは難しいみたいです。

基礎練習について

 うちは腹式呼吸はやりません。

 理由は、おもしろないから。それから、プロの役者さんでも腹式やない人結構いてます。腹式が基本や言うのは、ほとんど神話やと思います。渥美清さんや大滝秀治さんなんか肺の悪い人やったらしいですけど、立派な役者さんでした。
 うちはマスク共鳴を大事にしてます。
 声帯から出た声は、上顎の上の上顎洞を響かせることによって、顔全体を振動させます。やり方は二種類。三年前にプロになった先輩に教えてもらいましたけど、マスク共鳴は普通の声とはビックリするくらいちゃいます。

 やり方は、口をつむって、「う」母音でハミングします。すると顔全体が振動してるのが分かります。鼻から息が出るので、どうやっても上顎洞が振動します。これができたら、ちょっとずつ口を開けて鼻と口から息を出します。慣れてないと、口を開けたとたんに顔が響かんようになります。これは声帯から出た声が、硬膏蓋(上顎)に当たらんと、後ろの軟口蓋(喉のやらかいとこ)に吸収されて頭蓋骨が振動せんからです。
 もう一つのやり方は、平らな壁に頭・肩・背中・お尻・太もも・ふくらはぎをひっつけて、英語で1~10まで叫びます。大事なんは、叫ぶときに首の後ろを壁にひっつけるようにすることです。こうすると声帯の真上に硬膏蓋がきて、うまいこといくとビックリするような響いた声になります。
 最初は、芝居するのにいちいちそんな姿勢してたら演技でけへんと思いましたけど、これはマスク共鳴が、どんなもんかを体験するメソードです。やってるうちに「ああ、マスク共鳴て、こんなもんか」いうことが分かって、どんな姿勢でも安定したマスク共鳴の声が出せるようになります。

泣き笑いの稽古

 昔は、悲しいこと思い出せなんて言われてたそうですけど。あれは運動中に水飲んだらあかんのと同じくらい古くさい練習です。
 泣きも、笑いも技術です。横隔膜のケイレンです。だれでも四拍子で「ハハハハ」はできます。これを八拍子、十六拍子と早めていきます。慣れると笑いでトレモロができます。
 要はドラムといっしょで、熟練せんとアップテンポでは叩かれへんのが分かると思います。要は基礎技術です。16ビートのリズムでドラムが打たれへんドラマーは、絶対ロックのドラムが叩かれへんのといっしょです。

 

こぼれ話

 先輩は笑顔がいいですねえ……発声練習を終え、汗を拭いてると一年部員が言いました。

「ほんま!? ありがとう!」

 そう返すと、一年部員も嬉しそうにしてます。

 笑顔がええのには自覚があります。

 生まれついてええわけやないんです。一年の時、鏡見ながら練習しました。

 使うてへん表情筋が顔にはいっぱいあって、とくに頬っぺたから上。

 それで、ちょっとはましな笑顔ができるようになりました。

 それと姿勢ね。姿勢が悪いと、少々ええ笑顔してもブスになります。また機会がったら姿勢の訓練とかお話しできたらと思います。

 

 みなさん『ガールズアンドパンツァー』は知ってはります?

 乙女の戦車道のアニメです。

 あのアニメで一番の美少女は主役の西住みほでも装填手の秋山ゆかりでも武部沙織でも五十鈴華でもありません。

 じつはアリクイさんチームのねこにゃーなんです。

 いつもはネコミミのグルグル目がねで猫背なんですけど、眼鏡を取ると銀河鉄道999のメーテル似の美少女なんですぞ!

 眼鏡と、姿勢の悪さと、いささかのコミュ障で、いつもはノッポのネトゲ少女に見えてます。

 素材が良くても、姿勢や身のこなしが大事なんやということの例ですね。

 



 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・アンドロイド アン・25『ノリと勢いのアンツィオの如く』

2018-10-12 15:33:23 | ノベル

 

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アンドロイド アン・25

『ノリと勢いのアンツィオの如く』

 

 

 模擬店と舞台パフォーマンスのコラボに決まった。

 

 三組も同じ取り組みなので、女子たちが話をまとめて二クラス合同の取り組みとなった。

 合同でやれば使える予算も人員も倍になる。文殊の知恵の例えもあって、数が増えれば考えも浮かぶだろうし、運営主体である生徒会と折衝するにしても合同クラスは発言力が違う。

 言い出したのは委員長の徳永さんで、俺の幼なじみにして三組のお調子者の玲奈がまとめ上げた。

 

「新一、プレゼンテーションルームが使えることになったぜ!」

 

 食堂でブタまんとオーレで放課後の開放感に浸っていると、これまた、授業中では見せたことのない目の輝きで玲奈が報告しに来た。

「プレゼンてば、教室二つ分の広さじゃね?」

「だけじゃないわよ、準備室の方にはキッチンとかもあってさ、大規模模擬店にはうってつけよ!」

 そう言うと、楽しみに残しておいたカレーマンをパクつきながらコクコクと頷きやがる。

 幼いころから、いろいろ分け合って飲み食いした仲なんで、半分取り返してもいいんだけども、食堂のオーディエンスのみなさんに間接キスと思われたくもない。

「でさ、市販品の転売って模擬店でしょ。やれることは調理じゃなくて加熱までなのよ、加熱でも、このブタまんみたく美味しかったりするんだけどね……」

 カレーマン食われた恨みの一言も言ってやろうかと思ったら、カウンターの方で女子の歓声。

 ありがとうオジサン! やったね! バッチグー! ヤリー!

 カウンターの向こうでは、食堂のオジサンがしきりに頭を掻いている。

「玲奈ちゃん、業務用のレトルトが格安で手に入るわよ!」

 徳永さんが親指を立てた。なるほど、蛇の道は蛇で、食堂に渡りをつけてラクチンレトルト模擬店に決めたようだ。

 これならプレゼンの準備室で湯を沸かしてレトルトのパックをぶち込むだけで済む。

 レトルトならば、定番のカレーはもとより、牛丼、チャーハン、パスタとかの麺類一式、スイーツにだってパックものがあったはずだ。

「みんな、これ見て!」

 顔は知ってるけど名前は思い出せない、つまり、日ごろはモブキャラに過ぎない女子が喜色満面に布切れを振り回している。

「なに?」

「あ、メイド服じゃん!」

「演劇部にあったの! 型紙とかもあるから、家庭科室で大量生産できるわよ!」

「「「「「「オーーーー!」」」」」」

 

 女子というのはガルパンのアンツィオ高校みたいなもんで、いちど空気が出来あがってしまうとノリと勢いはすさまじいものがある。

 しかし、わが同居人のアンの姿が見えない……。

 

「目立っちゃうと、どこかでアンドロイドだってことがバレちゃうんじゃないかって……ちょっと自粛」

 

 家に帰ると、リビングでネットサーフィンをやりながら背中で応えやがった。

 たしかに、この春以来、いろんな局面で人間離れした力を見せてきたので、ヤベーと思ったこともしばしばだった。

 アンは未来からやって来たアンドロイドなんで、正体を知られるわけにはいかない。

 小さな背中が、ちょっと可哀そうに思えてきた。

 

 その背中が小刻みに震えている……え、泣いてんのか?

 

 グフ グフフフ…………

 

 違った、忍び笑いしてやがる!

 ノーパソの画面には、早回しのアニメのように古今の春画が流れていたのだった。

 

☆主な登場人物 

 

  新一    一人暮らしの高校二年生だったが、アンドロイドのアンがやってきてイレギュラーな生活が始まった

  アン    新一の祖父新之助のところからやってきたアンドロイド、二百年未来からやってきたらしいが詳細は不明

  町田夫人  町内の放送局と異名を持つおばさん

  町田老人  町会長 息子の嫁が町田夫人

  玲奈    アンと同じ三組の女生徒

  小金沢灯里 新一憧れの女生徒

  赤沢    新一の遅刻仲間

  早乙女采女 学校一の美少女

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高校ライトノベル・妹が憎たらしいのには訳がある・47『優奈のリストレーション』

2018-10-12 07:06:35 | ボクの妹

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妹が憎たらしいのには訳がある・47
『優奈のリストレーション』 
     


 そこにはねねちゃんが立っていた……。

「これ、警察病院からもらってきたの。亡くなる前にママが、一時的に元気になった時の薬剤」
「これは……」
「優奈ちゃんにも効くわ、元々は、戦闘中に負傷した者を一時的に健常にもどし、あとで治療するためのものだから」
「じゃ、優奈ちゃん出場できるのね!」
 みんなが喜んだ。幸子も喜んだが、仕様書を読んで顔が曇った。
「1・5%の確率で効かないこともあるのね」
「……ええ、それに状態によっては、完全に戻らないこともあるわ。使うかどうかは、あなた達次第。じゃ、明日会場で見てるわ。チサちゃんも来るんでしょ?」
「うん。D列の35番。みんなそのへんよ」
「わたしも、そのへん確保しとくわ」
「でも、予約いっぱいよ」
――甲殻機動隊に不可能はないの(^▽^)🎵――
 高機動車のハナちゃんが、車体をガシャガシャ揺すって笑った。

「優奈ちゃんも飲む?」

 開演前、みんなで特製のジンジャエールをまわした。よく冷えていて、喉がスッキリする。そのみんなのスッキリ顔を見て、自分も飲みたくなったのであろう、優奈は進んで手を出した。
「ぼんど、ズッギリじまず……」
「酷い声だなあ」
「あい、おどなじぐ、ごごで見でまず( ;∀;)」
「じゃ、わたしリハーサル室行ってるね。またあとで見に来るからね」
 幸子と俺はリハーサル室へ向かった。

 そして蟹江先生と加藤先輩には、ジンジャエールに薬を混ぜて優奈に飲ませたことを伝えた。二人とも驚いていたが、喜んでくれた。
「いっしょに苦労したんや、優奈が歌うのがベストやで!」
 珍しく加藤先輩が目を潤ませた。

 会場は、午前中は、まだいくらか空席があったが、午後には強豪校の出場が目白押しなるので、満席になった。

「……わたし、声が出る!」

 午前中最後の茶屋町高校の曲は、優奈の好きな曲だったので、口パクでナゾって、気づいたら自然に歌えたのである。
「優奈ちゃん、リハーサル室へ行って!」
 チサちゃんが促す。ちょうど様子を見に来た俺といっしょになったので、足を弾ませてリハーサル室に向かった。
「なんで、そんなに楽しそうなの?」
 自分が出られることを知らない優奈には、俺は本番を前にハイテンションになったバカにしか見えなかっただろう。え、いつもバカみたいだから目立たなかっただろうって……はい、そのとおりW!

 いよいよ、ボクたち真田山高校の出番が回ってきた。

――さて、急遽予定を変更。ボーカルは、山下優奈さん回復して、もとの編成に戻り、真田山高校は審査対象になります――
 幸子の出演を楽しみにしていたファンの中からはブーイングも起こったが、概ね会場の反応は暖かかった。
――なお、終演後ファンのみなさんのため、佐伯幸子の30分ミニライブをおこないま~す!!――
 会場は、どよめきにつつまれ、あとのアナウンスは、ろくに聞こえなかった。

 そして、これが大きな悲劇を生むことになるとは、誰も気づかなかった……。


 

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・24『水島クンのアドベンチャー・3』

2018-10-12 06:50:08 | トモコパラドクス

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トモコパラドクス・24 
『水島クンのアドベンチャー・3』 
     


 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!




「いいえ、あれは宇宙戦艦キイ。ヤマトの拡大発展系……昭二クンが乗っている」

 ここが、もし海なら、キイは沈没寸前の姿であった……。


 キイは、コントロールを失って、不自然に傾いだまま、こちらを向いた。
「なるほど、ヤマトより大型ね。兵装も違うわ」
 紀香が呟いた。ヤマトと違いショックカノン砲が連装五十サンチに強化され、パルスレーザー砲も長射程に変わっていた。しかし、そのほとんどが破壊され、伝家の宝刀である破動砲も。双発の戦闘艇が突っこんで、栓ををしてしまっている。エネルギー反応は、昭二の微弱な霊体反応だけであった。
「水島クン、まだ生きてる!」
 友子は、感動のあまり、矛盾した感動を口にした。
「ハハ、もともと幽霊だもん」
 マネが、余裕の笑みで答えた。
「でも、霊波動とかあるでしょ」
「それが、あの帝国軍の弱点。やつらは、その宗教概念から、霊の存在を認めないの。だから、わたしたちのように水島クンのことは、奴らには分からない」
「それで、どうしようと言うの? もう、味方は、この船だけなんでしょ」
「船なんて、普通名詞で呼ばないで。この艦は宇宙戦艦オワリよ」
「気持ちは分かるけど、あんまりオメデタイ名前じゃないわね」
「この食い違う会話って、いいわね。わたし好きよ。地球人の、こういうとこ」

 マネの笑みが余裕から楽しげにに変わった。

「オワリは、漢字では尾張。旧日本海軍の戦艦大和の後継艦として、概念設計までされた艦よ。ちなみにあのキイは紀伊。でも、今はまさにキイよ。この戦闘の」
「どういうこと?」
「キイの自爆装置が生きている。そのスイッチを水島クンに押してもらう」
「そんなことしたら、この船まで吹き飛んでしまうわよ」
「だいいち、敵艦隊は、ここから四百万キロも先なのよ!」
「そこで、二人の力を借りたいの……」
 マネは、左右の手で、紀香と友子の胸に触れた。並の状況なら女同士でもセクハラだが、敵のスパイレーダーにかからないように、アナログな手段で、ロック付きで情報を送ってきたのだ。

――いくわよ!――

 マネの、ダイレクトサインで、三人の念動力(サイコキネシス)は、一つの力となって、キイに送られた。

キイの姿が消えた……実際は、時速一光年の速度で、敵艦隊のど真ん中に突っこみ、惑星一つを吹き飛ばすほどの力で爆発した。

 結果は、海王星の陰から出たときに分かった。オワリのレーダーから敵艦隊の姿は消えていた。

「これで、よかった?」
 水島クンが、見慣れた旧制中学の姿で立っていた。
「水島クン、いつの間に!?」
「幽霊は残留思念だからね。だれかが思い出してくれたら、物理的な距離なんか関係ない」
「そうなんだ……」
 友子は、改めて感心した。
「でも、合図をしないことが合図とは考えたね」
 水島クンは、感心して言った。
「どういうこと?」
 紀香が、好奇心一杯に聞いてきた。
「海王星にくるまでにね、水島クンに伝えておいたの。三パターンのシチュエーションを」
「最悪のシチュエーションでしたけどね」
「でも、アナログな幽霊さんが、そんなデジタルなことできるんですか?」
「義体を与えてあげたの。むろん戦闘で、機能の九十九%は失われたけど、自爆装置とのシンクロは最後まで失われなかった。で、予定通りってわけ」

 水島クンが、寂しそうな顔で、思い出に耽っている。

「あの義体、よかったなあ……やっぱ、生きてる体はいいですよ。それにハンサムだったし。女性乗組員からも、もてましたよ……もう一回、義体になれませんか?」
「そうねぇ……」

「「かっわいい!」」

 紀香と友子の黄色い声が揃った。
「予備の義体はこれしか残ってないからね……」
 水島クンは、なんと女の子の義体をあてがわれた。艦内アテンダント用の汎用義体だ。
「こ、これが、僕ですか……!?」
 フェミニンボブにミニのワンピになった水島クンが驚いた。
「これで我慢して。アテンダントだから、この二人のようなスペックはないわよ。空も飛べないし、骨格もただの強化アルミ合金。スペシウム光線も、小型破動砲もなし。まあ、並の人間より、ちょいましってとこ。言語サーキットは女性に。居住環境は、サービスで設定。身元は……トモちゃんのクラスメートってことで。わたしじゃ面倒見切れないから」

 マネが指を鳴らすと、設定は完了した。ミニのワンピは乃木坂学院の制服に、髪は黒のお下げに変わった。

「わたし……清水結衣」

 清水君の新しい人生が始まってしまった……。

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