大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・10『パラレルワールド』

2018-10-21 17:59:12 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・10

『パラレルワールド』  


☆びっくりしました!

 大阪府立真田山学院高校なんか存在せえへんいうコメントをいただきました。

 ほんまにビックリしました。

 あたしらは、ネットで検索してもろても、グーグルの地図見ても、ちゃんと載ってます。戦前の私学のころから数えると、創立100年になろうかという学校です。
 古い人は分かりませんが、最近では俳優の坂東はるかさんや、新進ジャズサックス奏者の吉川裕也さんなんかががんばってはります。

 このコメント頂いた人は見当がついたんで、友だちに電話してもろて、ついさっき話したとこです。

「うちは、環状線真田山で降りてもろうて西へ400メートル……」
「ええ! 環状線に真田山なんて駅あれへんよ」
「ちょっと、おたくの学校の名前、きっちり教えて下さい……字ぃは、どない書きますのん?」
「○○に○○です」
「え、そんな学校存在せえへん!」
「そんなアホな、ちゃんと大阪府高等学校演劇連盟にも加盟してます」
「ちょっと待ってください。それ、なんですか?」
「連盟言うたら、大阪府高等学校演劇連盟にきまってるでしょ!?」
「うちらは、浪花高等学校演劇連盟ですけど」

 と、こんなやりとりがありました。

☆パラレルワールドです

 うちらの世界とよう似た別の世界をパラレルワールドと言います。理論的には完ぺきにいっしょのものから、微妙に違うもんまで。

 パラレルワールドとは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。辞書には、こう書いてあります。

 元々は同じ時間の幹にあったもんが、枝分かれして、似たような世界ができるらしいです。それが、なんかの拍子で枝が重なるようにして、行き来できたり、こうやってブログやら電話だけで通じるものまでいろんなものがあるらしいです。どうやら、その異世界が重なって、妙なこと。あたしは、ちょっと面白いと思てるんですけど。
 ちなみに、うちはβ(ベータ)地区です。Bと、よう似てるんでこのへんから誤解がとけへんかったみたいです。
 いつまで、この枝が重なったままになってるか分かりませんけど、通じるうちは、このブログ続けていこうと思います。

☆『すみれの花さくころ』

 この芝居は、こっちの世界ではうちの真田山学院高校が本選までいって落ちてきましたけど、そっちの世界ではT高校さんが本選でやって落ちはったみたいですね。で、審査員の評はいっしょ。

 作品に血が通っていない。行動原理、思考回路が高校生ではない。

 この言語明瞭意味不明な評は、一言一句同じです。ただ審査員の名前は違います。混乱するといけないのでお名前は伏せます。

☆今のあたしたち

『すみれの花さくころ』に決まったんで、音楽の先生に頼んで歌の発声法習うてます。基本はいっしょやけど、台詞と違うて、高音は裏声になります。この裏声で声出すのに慣れてないんで、苦労してます。
 ほんで、宝塚について調べてます。一人の人物になりきるのには、その背景まで知らんとあきません。それから東京大空襲について。かおるいう幽霊の役が宝塚志望で、東京大空襲で亡くなってるからです。稽古が進んだら、登場人物の住んでた街やら家のことにかかってみよと思てます。なにをマワリクドイことと思うてたら、間違いです。NHKの朝ドラやら大河ドラマでも、ちゃんと、そういうことはやってます。

 ジブリのアニメでも「ガヤ」と言われる背景音同然の会話もちゃんと台本があって、スト-リーも考えたあるそうです。演る側でこれです。書くとなったら、これの何倍も調べて組み立てて、その多くは台詞にもト書きにもならんと捨てられるらしいです。創作劇が簡単にでけへんのは、これだけでも、よう分かります。

 愛染坂高校の演劇部が、夏の講習会で鍛えてもろて創作にかかるらしいです。せやけど、コンクールの本番まで三カ月もないのに、無理するなあと思います。本は書くだけで三カ月。そない作者の先生も言うてはりました。


 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト『100年たったら喋れなくなるかも』

2018-10-21 07:08:29 | ライトノベルセレクト

 

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ライトノベルセレクト317
『100年たったら喋れなくなるかも』



 日本人は、100年たったら喋れなくなるかも……。

 と思うくらい電車の中はスマホや携帯だらけ。
 ま、8割がやってるね。中にはモバゲーとかもあるんだろうけど、画面見ながら無言であることはいっしょ。

 あたしは思う。日本人の声を出す時間は20世紀の半分くらいじゃないだろうか。
 あたしはスマホ持ってるけど、緊急必要なときしか返事しないことを、家族にも友だちにも言っている。で、実践してるもんだから、人の半分もメールが来ない。で、栞ってやつは、そういうやつなんだと思ってくれているから気が楽だ。

 あたしが突っ立ってる前の座席にも男子高校生が座って、チマチマとスマホをいじっている。

 自分で言うのもなんだけど、あたしは平均以上にはイケてると思う。街を歩いていて視線を感じることも時々ある。でも、この男子高校生は三日間(偶然なんだろうけど)いっしょになっている。並の神経してたら一瞥ぐらいはくれると思う。
――こいつはゲイか?――
 S駅で隣が空いたんで座ってみた。そいつのスマホが丸見え。どうやらラインをやってるらしい。チラ見すると相手は女の子らしい。T駅につくころ写メが送られてきた。ケバくはないけどパープリンな女子が写っていた。やつは微かにニヤケた。ゲイというわけではなさそうだ。
 U駅で、そいつは降りた。降りながらもスマホからは目を離さない。当然車内の何人かとはぶつかるってか、こすれ合いながら降りて行った。あたしならムカつくが、こすれ合った人たちもスマホをいじっているので知らん顔。杖ついたお爺さんが一人ムッとした顔をしていた。

 あたしは、想像力が豊か……とは言いにくいけど、妄想力は人一倍だと思う。

 あいあつの替りに座ったオネエサンは、友だちが昨日食べたスィーツを見比べて感心している。当然あたしを含め車内のことには無関心。
 で、あたしは思った。あのスィーツ、食べる前の姿ではなく、リアルタイムで変化したのが出てきて、ついでに臭いまでついていたら面白いだろうなと思う。
 そう思うと、自然に笑いがこみあげて吹いてしまった。女の勘だろうか、オネーサンは、あたしの妄想が分かったような顔で、一瞬あたしを睨んだ。今日初めて見た人間的な反応。なんだかホッとした。

 あたしがガキンチョのころAKBの『スカートひらり』が流行った。

 偶然の悪戯で、あなたとすれ違った。心臓止まりかけて、わざと無視したふり。なんてバカなわたしなの、自己嫌悪に陥る🎶
 
 この歌はスマホがあっては成立しない。ながらスマホでは、すれ違った相手が誰なのか分からないもんね。

 あたしの人生、まだ17年だけど、世の中変わったと実感。

 その日家に帰ると、お祖父ちゃんがきていた。隣の区から来ているから電車を使っている。で、聞いてみた。
「ね、お祖父ちゃん。スマホどう思う?」
「須磨帆……源氏の何帖だったかな?」
「朧月夜との仲が発覚したあとだよ」

 どーよ、あたしの機転の効き方と教養の高さ!

              東京都立希望ヶ丘青春高校  小山内 栞 

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高校ライトノベル・妹が憎たらしいのには訳がある・56『となりの木下クン』

2018-10-21 06:58:04 | ボクの妹

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妹が憎たらしいのには訳がある・56
『となりの木下クン』 
    

 

「ハナちゃん、名古屋ナンバーに変えて」

『なに、企んどりゃーすね、怪しいてかんわ♪』
 ハナちゃんは、古典的な名古屋弁で冷やかしながら、ナンバーを変えた。
「大阪出身じゃだめなの?」
 急な変更にわたしは戸惑った。
「念には念を。パパが用意してくれたIDの信頼性は高いけど、万一ってことがあるから」
「さすが、甲殻機動隊副長の娘ね」

 わたし達はN女子大に近い神楽坂の若者向けのマンションの住人になった。

 不動産屋には女子学生専用のを勧められたが、わたしと優子(幸子と優奈の融合)は、あえて普通の中級チョイ下のマンションを選んだ。同郷の女子大生が住むのには、ワンル-ムのマンションよりは、この程度のマンションをシェアして借りた方が自然だと思ったからだ。それに隣人がぴったりだった 

「隣りに越してきましたものですが、ご挨拶にうかがいました……」

 しばらくすると、Tシャツにヨレたジーパンの若者がドアを開けた。
「あ……ども」
 不器用な挨拶だったけど、脈拍、呼吸、瞳孔を観察すると、一瞬で二人に興味を持ちすぎるほどに持ったことが分かった。
「わたしが大島、こちらが渡辺っていいます。今まで学生用のワンル-ムに居たんですけど、不経済なんで、二人でいっしょに住むことにしたんです」
「ひょっとして、N女子?」
「ええ、木下さんは……W大ですか?」
「ええ、まあ、在籍は。お二人は地方から?」
「ええ、名古屋です」
「まだ西も東も分からなくって……」
 優子が粉をふる。木下は、すぐにひっかかった。
「そりゃ大変だ、よかったら上がりませんか。近所の情報レクチャーしますよ」
「どうしよう……」
  

 駆け出しの女子大生らしく、ためらってみせる。

「じゃ、ちょっとだけ」

 呼吸を合わせて、自然なかたちで上がり込む。

 駆けだし女子大生らしく興味深げに部屋を見渡す。見渡すまでもなく、このマンションに来たときから、この部屋のことは調べ済みだ。
「あ、お茶入れますね。こう見えても実家は静岡でお茶作ってるんで、ちょっとマシなお茶ですから」
 そう言いながら、木下は自然に寝室のドアを閉め、お茶を入れ始めた。キッチンと、こっちの部屋はやもめ暮らしにしては整理されていたが、寝室はグチャグチャで女の子に見せられないものもいろいろある。
「東京に居てなんなんですけど、引っ越しのご挨拶の人形焼きです。どうぞ」
「ああ、こりゃ、お茶請けにぴったりだ」
「木下さんの部屋って、なんだかパソコンやらIT関連の機械が多いですね」
「趣味と実益兼ねてるんじゃないですか?」
 と、くすぐってみる。
「いやあ、鋭いな大島さんは。ネット販売の中継で小遣い稼ぎ程度ですけどね」
 触法ギリギリの商品の出所をごまかして、けっこうな稼ぎをしていることは、スキャニング済みである。
「スマホあります? この街の情報コピーしてあげますよ。あ、危ないウィルスなんか付いてませんから。でも、一応スキャンしてから入れて下さい」
 木下は、ケーブルを取り出すと、パソコンとわたしたちのスマホを繋いだ。
「大丈夫、安全マーク出ました」
「よかった。じゃ、送りますね」

 ソフトそのものは大したもので、神楽坂界隈からN女子、W大近辺のお店の情報やら、お巡りさんのパトロールのルート、果ては、界隈の犬猫情報まで入っていて、かわいい犬猫ベストテンまで付いていた。

「タッチすると、さらに細かい情報が出てきます」
 木下が、ある犬をタッチすると、飼い主から、お散歩ルートまで分かる。
「わあ、かわいい!」
 優子がブリッコをする。このソフトを人間に当てはめれば、人間の情報まで取り込めるということであることは当たり前である。実際木下のオリジナルのソフトには組み込まれている。また、木下のパソコンに繋いだ時点で、スマホは木下のパソコンで自由に閲覧できるようにされている。それも、わたしたちは承知であった。
 あとは、近所やら、互いの大学のいろんな話をして、一時間近く過ごし、程よいご近所になって部屋に戻った。

「あの人使えそうね」
 わたしが、そう言うと優子は声を立てて笑った。
「ほら、これが今の木下クン」
 優子がスイッチを入れると、テレビに木下の部屋が映った。なにやら、パソコンをいじっている。
「画面が見えないなあ」
「これで、どうよ」
 画面が、飛行機のように揺れて画面のアップになった。わたしたちの部屋が映っている。ただ現実のそれとは違って荷ほどきをやっている。
「よくできたダミーじゃない」
「これから微調整。彼がかましたソフトは、わたしたちのみたいに優秀じゃなくて、解像度悪いから、それに合わせるのが、ちょっと大変」
 木下が感染させたウイルスは、わたしたちの部屋中のセンサーやコントローラーをカメラにする機能が付いている。つまり、この部屋に何十個も監視カメラをつけたようなものである。
「木下クンの努力に合わせて、オートにしときゃいいじゃない」
「だって、お風呂の人感センサーや、トイレのウォシュレットにも付いてるんだよ」
「いいじゃない。全部ダミーの画像なんだから……って、今わたしをお風呂に入れる!?」
「いいじゃん、ダミーだから」
「あのな(#ToT#)」
「それより、こっちのモスキートセンサーで、よーく調べなきゃ……」
「ちょっと、脱衣場の感度下げてよ!」
「へいへい……木下クン悲しそう……でも、彼のネットワークはすごいわよ。10の20乗解析しても、情報の発信元が分からなくなってる。これを何十億ってCPかましたり、なりすましたりしたら、発信元は絶対分からないわよ」
「じゃ、そろそろリンクしますか」
 優子がリンクボタンをエンゲージした。

――どこに行ったんだ。連絡が欲しい。ユースケ――

 いきなり、ユースケのメールが入ってきた。
「わ、いきなりだ!」
「大丈夫……世界中のCPに無作為に送っている。こっちはキーがインスト-ルされてるから、解読できてるの。ユースケには分からないわ」
「そう、でも気持ちは落ち着かないわね」
 優子は、少し不安顔になった。しかたがない。つい最近ユースケと渡り合ったところなんだから……で、横のモニターを見るとダミー画像のわたしは、非常にクリアーな映像のまま浴室に入っていくところだった。

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・33『友子暗殺!?』

2018-10-21 06:45:49 | トモコパラドクス

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トモコパラドクス・33 
『友子暗殺!?』 
                   

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!



 閃光が走ったかと思うと、友子の体は、細切れに粉砕された……!


「ごめんね、お母さん……」
 アーマードスーツを着た少女が、使い捨ての破動砲を投げ出して言った。

 富士の樹海は、広くて深い。直径五十メートルのクレーターが出来たが、気づいた者はいないだろう。

「あなた、わたしの娘なの……?」
 友子は、そう言って、腕に内蔵された小型破動砲の筒先を少女の背中に当てた。
「フフ……なんだ、今のはダミーだったのね」
「ダミーじゃかわいそう。あの友子は、わたしの分身だったのよ」
「そっか……」
 そう言うと、少女は自爆装置のスイッチを入れ、母子共に蒸発するように消し飛び、クレーターは、その半径を倍にした。

「これ、どう思う?」
 昼休み、友子は、部室に紀香を呼び出して、一部始終の話をした。
「分かることは二つ。未来の政府が動いていることと、その友子の娘が心が壊れる寸前まで追い込まれていたこと」
「念のため、これを解析して」
 友子は、少女が自爆する寸前に、うっかり開いてしまった心からインストールした情報を、紀香に転送した。
「う……悲しみでいっぱいだ!」
 あまりの悲しみの大きさに、思わず解析を中断した。
「ごめん、この悲しみをダイレクトに感じておかないと、かえって冷静な解析ができないと思って」
 紀香は、チラッと友子の顔を見ると解析を始めた。
「国防大臣のところまで、行き着いた……」
「国防大臣……紀香の時代の?」
「そう」
「でも、あの子は十五六だった。紀香は五十年後の義体……計算が合わない」
「それは後で……『君は、いずれはC国と戦争を起こす。いや……君が自分の存在を消しても、お母さんは別の娘を生み、その子が義体化して、必ず同じことをやる。解決方法は、ただ一つ。過去に行って、お母さん。いや鈴木友子を抹殺することだ』……ん、最後の「抹殺のあたりは、わたしが最初に命ぜられたときのコピーを貼り付けただけだね?」
「コピーの張り付け?」
「……どうやら、大臣はなにかワケありだね。そのままの言葉で言ったら、本心を見抜かれるんで、わたしに命じた時の大臣が、まだ本気で友子の娘が極東戦争を引き起こすと信じていたときのコピーを使ったんだ」
「と、いうことは、やはり、あの子は極東戦争を起こさないのね?」
「うん、それを娘に気づかれないように、わたしの時のコピーを使ったんだ。友子の娘は、初めて聞く言葉だから気づず、友子を抹殺しようと決意した」
「かわいそう……」
「友子が、オリジナルを学校に置いといたから助かったんだね」
「富士の樹海に呼ばれたんで、危ないと思ってね……でも、あの子が、わたしの娘……」
「もうちょい解析……あの子の名前は栞(しおり)だ」
「栞……わたしには73S106ってコードナンバーしか分からなかった」
「感情はブロックしていたからね。栞……なんてこと!?」
「どうかした?」

 台風崩れの温帯低気圧が、窓ガラスに強い風と雨を吹き付けた。一瞬紀香のCPUのシールドが甘くなり、解析された情報が友子に流れ込んできた。

「分かっちゃった……?」
 しまった、という顔で紀香が言った。
「あの子は、十五歳で、極東戦争を予想して、政府が義体化したのね!?」
「そう……お母さんに会えるという誘惑と、同時に抹殺しなきゃならないという使命感を刷り込んで」
「その後、極東戦争は国の利益にならないと判断して、わたしを三十年前に襲った」
「そして、スナイパーとして、わたしを送り込んだ。わたしも、最初は使命感に燃えていたけどね。いろいろ連絡取り合っているうちに、いい加減なところが分かってきたってわけ。あたしのアナライザー能力が、ここまで自己成長するとは未来政府も分かってなかったみたい」
「今回は、C国から、日本が極東戦争の準備をしてるってインネンつけられて、その対策のために行われた謀略だったのね。それを、あの子は信じ切って……」

 友子は拳を握りしめ、机の上には涙がこぼれた。

「あ、予鈴鳴ってる。あたし教室戻るね、友子みたいに分身の術使えないから」
「わたしも、戻る。分身したら、その数だけ、たくさん悩まなくちゃならないから」
「じゃ、行こうか」

 娘との攻防戦が、まだ続くとは思わない友子であった……。

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