大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・182『自転車でお散歩』

2020-12-12 13:14:30 | ノベル

・182

『自転車でお散歩』さくら   

 

 

 トランプ占いをやってる。

 

 と言うても大統領選挙でねばってるトランプさんの勝敗を占ってるわけやない。

 まじ、トランプ占いです。

 占いの中身は、今日の行動、今日はなにをしたらええかっちゅうこと。

 コロナの第三波で、大阪は、ちょっと大変。

 看護師さんが足らんから自衛隊とか他府県に応援を求めてる。

 そのあおりを受けて、不要不急の部活は自粛しろとのお達しで、文芸部はお休み。

 大掃除には間があるんで、今日は一日フリーというわけ。

 おっちゃんもテイ兄ちゃんもお寺の用事で忙しい。専念寺さんのお手伝いもあるしね、この二三日は、お祖父ちゃんも檀家参りをするようになった。

 詩(ことは)ちゃんは部活。真理愛女学院もコロナで自粛やねんけど、吹部は、地元の商店街からの要請で、パレードと演奏会。めっきり人出が少なくなった商店街を元気にするためのイベントということらしい。

 高校は中学と違って、世間の付き合い的なことはなおざりにはでけへんということらしい。

 

 占いの結果は『書を捨てよ、街に出よう』になった。

 

 よし、久々にダミアを前かごに乗せて自転車散歩!

 一歳を二か月超えたダミアは本堂の縁側で日向ぼっこ。

「散歩にいくで」

 声をかけると、ジト目で睨んできて――さくら一人で行っといで――と言ってる。

「……前かごに乗せるには、ちょっと肥え過ぎか」

 メインクーンという種類のダミアに子ネコのころの面影はない。

 なんせおっきい。こないだ計ったら八キロもあった。頬っぺたの周りにはタテガミみたいな毛ぇがワサワサと生えてて、シルエットだけ見たら、ミニチュアのライオンさん。ご先祖はマリーアントワネットの飼い猫やったという気位の高いネコなんで仕方がない(^_^;)。

 こころなし人通りの少ないご町内というか校区をゆっくりと自転車で走る。

 キーーコ キーーコ チリチリチリチリ………

 キーーコキーーコいうのは、あたしが健気にペダルを踏み込む音。手入れがいいのんで、ほんまは音せえへんねんけど、雰囲気ね(^▽^)。

 チリチリチリチリ………いうのは、ペダルを止めて惰性で走ってる時、

 15キロくらいのスピードを出すと、漕ぐのんを止めても100メートルくらいは惰性で走る。

 生活道路やから、スピードは出されへんし、平地ばっかりの堺市内やから(御陵さん周辺だけはきつい坂やけど)、まあ、こういうズボラというかのんびりした走り方ができるわけです。

 堺は、だいたい碁盤目状に道が通ってるさかい、一本曲がるとこを変えるだけで、新しい景色が開ける。

 中学になって越してきたあたしは、校区の中でも知らん道がけっこうある。

 普段は学校の行き返り、せいぜい図書館とかコンビニ・スーパーの往復ぐらいやから、けっこう新鮮。

 ワン!

 ビックリしたあ(*_*)!

 真横で犬に吠えられる。剃り込みが入ったみたいな顔してる大型犬、たぶんシベリアンハスキー。

 なにインネンつけとんねん……思たら、しきりに尻尾振ってる。

 もうちょっと小そうて可愛らしかったら相手したるねんけど、剃り込み犬はパス。『けいおん』で平沢ゆいが、犬を見るたんびに「よーしよしよしよし(o^―^o)」してて、犬は例外なくゆいに懐くんやけど、あれは才能やね。

 50円から!

 大安売りの自販機を見つける。500CCのお茶が80円なんで、嬉しくなって買う。

 こういう安売りは、賞味期限が迫ってるのを安く仕入れて売ってるとワイドショーかなんかで言うてた。

 一口飲んで製造年月日を調べる。

 すると、賞味期限は半年先。なんか得した気ぃになる。

 角を曲がると、向こうの方から保育所の子ぉらが先生三人に連れられてお散歩中。

 みんな仲良く手ぇつないで、めっちゃかいらしい。

 特にかいらしいのが、おっきな乳母車に乗せられてる子ぉら。歩いてる子ぉらよりは小さい。一人の子ぉがウトウトしてて、横の子ぉにもたれそうになってる。あたしも、あの中に入りたいなあ。

 それから三十分ほど散歩して家に帰る。

 お昼寝すると、ダミアが寄ってきて『いっしょに遊んでえ』とアピールしよる。

 無視してると、いつの間にかいっしょに寝てしもて、気が付いたら夕方でした。

 

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やくもあやかし物語・26『黒電話』

2020-12-12 06:25:10 | ライトノベルセレクト

やくもあやかし物語・26

『黒電話』     

 

 

 あっらあ( ゚Д゚)…………まだあったんですか!?

 

 アラブの神さまをあがめるような声をあげて、お婆ちゃんが驚いた。

 黒電話というのは昔の電話機。どれくらい昔かというと、お婆ちゃんが娘時代に現役だったものらしい。

 いまの電話と違って子機なんか付いていなくて、家族にかかってきた電話だと「少々お待ちください……○○ちゃん電話~!」とか呼んだらしい。電話は茶の間にあって、会話は家族に筒抜けだった。

「いやあ、高校生の時は男の人からの電話は取り次いでもらえなくて……」

 お婆ちゃんはシミジミと黒電話にスリスリ。電話を取り次いでもらえないって……かなりの発展家だったのか。

「えと、この電話使ってたの?」

「そうよ、文字通りの黒電話だから、花柄の電話カバーとか付けてね可愛くしてたのよ」

 電話にカバー? なんだかペットの犬か猫が衣装を着せられてるみたいだ。

 て……待って!?

「ここ、お婆ちゃんの家だったの!?」

「え、そうよ。言わなかったっけ?」

「うん、初めて聞くよ!」

 てっきりお婆ちゃんが嫁入りにきたのだと思ってた。

「うん、嫁入りよ。でも、住むとこなかったからね」

「ハハハ、二三年のつもりだったんだけどな」

 そっか、お爺ちゃんはマスオさんだったんだ。

 でも、分かるよ。家賃タダで、こんな広い家住んでたら引っ越せないよね。

「やっちゃん(お婆ちゃんは、わたしをこう呼ぶのだ)掛け方分かる?」

「そうだ、いちどやってごらんよ」

 祖父母そろって孫をオモチャにしようという魂胆だ、目つきで分かる。

「で、出来るわよ」

 口をとがらせて受話器を持つ。

「どこに掛けたらいい?」

「どこでもいいけど……」

「繋がってないから、110番とかどうだ?」

「やだよ、家にする」

 で、番号を押す……手ごたえがない、てか、押しにくいんですけど(^_^;)。

 ちょっと、なんでジジババ揃って笑ってんのよ!

「ダイヤルを回すのよ」

「あ、ああ💓」

 指に掛かる圧がハンパない。ひどく重々しい。それに、爪の所まで回して戻って来るダイヤルの音に感動!

 ジーーコロコロ ジーコロコロコロ

 このアナログ感は新鮮だ! なんというか、電話一つ掛けることが、とてもドラマチックだ!

 デイスプレーも無く、一斉送信はおろか電話番号の登録さえできない。この無能力さはガチ感動!

「しかし、今の子は、本当に知らないのねえ」

 お婆ちゃんは、わたしの無知に感動。

「やくも、ひょっとして公衆電話とか使ったことないか?」

「う、うん(n*´ω`*n)」

 なんで恥ずかしがるんだ、わたし。

「これは、教えておいた方がいいなあ」

「いいじゃないですか、こんなアナログ」

「違うよ、公衆電話。いつだったか、監禁されてた女の子が逃げ出して公衆電話から連絡しようとして苦労したってニュースでやってたぞ」

「あー、ありましたね。やっちゃん、テレホンカードとかも知らないでしょ!?」

 なんか、お婆ちゃん喜んでる。

「そうだ、万一の時のために実地教育しておくか!」

 お爺ちゃんが閃いてしまった。日を改めて公衆電話の使い方講習をやることになった。

「あー、えと……やるの?」

「「やろうよ!」」

「えーーーーーえと、この黒電話は?」

「あー、写真に撮ってSNSで流すんだ。ゆうべ黒電話で盛り上がったってな」

「あ、えと、そのあとは?」

「え? とくには……」

「じゃ、わたしの部屋に置いてもいい? だったら講習やってもいい」

「ああ、いいよ。オブジェとしても面白いからな」

 

 なんか変なことになってきた……。

 

☆ 主な登場人物

やくも       一丁目に越してきた三丁目の学校に通う中学二年生

お母さん      やくもとは血の繋がりは無い

お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い

お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い

杉野君       図書委員仲間 やくものことが好き

小桜さん      図書委員仲間 杉野君の気持ちを知っている

霊田先生      図書部長の先生

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かの世界この世界:160『国民的大衆車フォルクスオーパー』

2020-12-12 06:14:43 | 小説5

かの世界この世界:160

『国民的大衆車フォルクスオーパー語り手:ポチ   

 

 

 二号戦車のゲペックカステンにソウルを入れてやるとセダンに変わった。

「これは二世代前のフォルクスオーパーだ」

「それって?」

「国民的大衆車だったんだけど、垢ぬけないデザインだったんで、社会が豊かになると売れなくなったんだ」

 フェンは、そう言うけど、カクカクしたボディーは四号や二号に通じるものがあって、とっても実直なイメージで好ましい。

「でも、こういうの好きよ」

「ぼくだって好きだよ。地に足が付いた感じは、いまの僕たちにも通じるところがある」

「フフ、そうかもね」

 そう応えると、フェンは目尻をシワクチャにして笑った。

 いまのわたしたちは、乗り慣れた車で定年後の旅に出た初老の夫婦という感じになっている。

「いこうか、ベス」

 運転席に乗り込むフェンは、何十年も言い慣れたように、わたしをベスと呼んだ。

「こうかい?」

「そうそう、五歳は若くなったわ」

「五歳かい、十歳は若いだろ」

「あつかましいわよ、ダグ」

「おれはダグかい?」

「ミスター・ダグラスって呼んで欲しい?」

「よせよ、他人行儀な」

 エンジンが暖まって街道に出たころには、ダグとベスのベテラン夫婦になりおおせていた。

 カーラジオから流れるオールディーズの曲に耳を傾けていると、前方の反対車線にエンコしたワゴンが見えてきた。

 いったん通り過ぎてからUターンしてワゴンの後ろに停車させる。

「あの車、棺を載せてるわ」

「訳ありなのかな……」

 一言呟くと、ダグは車から降りて声をかけた。

「どうかしましたか?」

「ブレーキの調子が悪くて、今度走り出したら停まりそうもないんで途方に暮れてるんです」

「JAFには?」

「電話はしたんですが、立て込んでて、半日はかかるってことで」

「半日なんて待ってられないわよ、やっととった休暇なんだから」

 どうやら、休暇を利用したドライブでエンコした中年夫婦のようだ……でも、ドライブに棺?

「よかったらみてみましょうか、多少は車が分かりますから」

 夫婦は、わたしたちの車を見て納得の表情。二世代前のフォルクスオーパーを乗りこなしているのは車のメンテにも長けていると判断したのだろう。

「ありがとうございます。よかったわ、これで間に合う」

 奥さんがバックシートの棺に話しかけた。

『ああ、頼むよ……おまえたち』

 

 ギョエ! 

 棺の中から声がした!

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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