大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

滅鬼の刃・2・『お祖父ちゃんをよろしく』

2020-12-29 11:03:07 | エッセー

 エッセーノベル    

2・『お祖父ちゃんをよろしく』   

 

 

 お祖父ちゃんが『滅鬼の刃』というブログエッセーを始めました。

 

 部活の同窓会をやって、いろいろ感じたのが動機なんだそうです。

 同窓会に集まったのは昭和30年前後生まれの人たちばかり。

 昭和30年というと、東京オリンピックはおろか、東京タワーもありません。有名な『三丁目の夕日』よりも古い時代です。

 お祖父ちゃんは昭和28年生まれなんで、ほかのみなさんとは、ちょびっと年上さんです。

 21世紀生まれのわたしから見ると、30年前後生まれの人たちは一括りに『ちょっと元気なお年寄り』になります。

 それでも、ちょっと元気なお年寄りにも微妙な違いがあって、それを面白がっているようなブログです。

『鉄腕アトム』は、わたしには古典のコミックでありアニメに過ぎません。

 知識としては知っていても、実際に見たことはありません。YouTubeで検索したらダイジェストで見られます。

 うーーん、古典ですね(*´∇`*)。

 同窓会でアトムが話題になって、主題歌を歌ってみると、お祖父ちゃんと後輩の皆さんとでは全然違ったというのが面白いんですよね。

 話してみると、お祖父ちゃんのアトムは実写版で子役の少年がアトムのコスを着てやっています。

 ま、そのギャップが面白かったんですね(o^―^o)。

 

 ブルグには書いていませんでしたが、お祖父ちゃんは孫娘の、つまり、わたしの自慢をしたんです。

 すると、後輩のみなさんが「先輩、お孫さんにも、なんか書いてもらってください(^▽^)/」ということで、一回交代でわたしが書くことになりました。

『滅鬼の刃』とは恐れ入りました。

 アニメ映画の興行収入ランキングで『千と千尋の神隠し』を追い抜いて堂々一位になった作品のタイトルをモジるとはビックリです。

 でも、お祖父ちゃんのやることですから、単に「あてこんだ」とか「あやかった」とかだけでは無いようです。

 お祖父ちゃんは、常々「人の心には鬼が居る」と言っています。

 人には妬みとか嫉みとか、あるいは優越感とか自尊心とか、そういう鬼のために人に悪いことをしてしまうことがあると、半ば自嘲気味に言ったりします。

 そういう鬼封じの意味があると思います。

 もう一つは、世渡りしていくうえで人が携えている『刃』です。才能と言い換えれば分かりやすいですね。

 勉強の才能 スポーツの才能 スピーチの才能 音楽の才能 お料理の才能 計算の才能……とかです。

 お祖父ちゃんは、そういう才能が自分にもあって、それを使って生きてきて、そのおかげで無事な年金生活ができていると自他ともに認めています。

 でも、自他の事を公平な目で見るお祖父ちゃんは、自分が持っていた才能という刃は、どこか不完全というか生かしきれなかったというか、象徴的に言うと「メッキの才能」だったんじゃないかという思いがあります。

 それが『滅鬼の刃』というタイトルになったんじゃないかと思います。

 含蓄があるというかシャイというか、そういうお祖父ちゃんのエッセーを応援……というよりは、稽古台にさせてもらって自分の表現力を磨いて行ければと思います。よろしくお願いいたします。

 自分でもブログをやっていますので、興味のある方は下のURLにアクセスしてみてください。

 

 http://wwc:sumire:shiori○○//do.com

 

 

 Sのドクロブログ!  

 

 よくたどり着いたわね。

 いちおうURLは貼り付けといたけど、ほんとうにアクセスして来るとは思わなかった(-_-;)。

 ここは本音だから、そのつもりで読んでね。

 クソジジイがブログを始めた。

『滅鬼の刃』だって!

 ゲロ出そう!

 完全、パーフェクトのパクリじゃん。

 年とると、恥も外聞も無くなるんだね。

 やってらんねえっちゅーーの!

 まあ、クソジジイはあたしの保護者だしい、じっさい、経済的にはよっかかってるわけだから、いちおう提灯記事的には書くけどさあ。

 本音ぶちまけとかないと、ほんっと! 悶絶して死ぬし!

 コロナでGOTOとかも廃止になったっしょ。

 それをノコノコ同窓会に行くって、どういう神経よヽ(`Д´)ノプンプン!!

 昨日も国会議員の人が死んだとこじゃん。

「暗殺かもしれないなあ」なんて、クソジジイは言う。

 アホか!

 コロナに決まってんじゃん。今朝のネットニュース見たら、そうゆってたし。

 なにかあったらどーすんだよ。

 クソジジイになんかあったら、あたし路頭に迷うんだからね!

 鉄腕アトムの主題歌で耳クソみたいなジェネーレーションギャップ感じたって、よくブログに書くね。

 恥ずかしいよ!

 ハズイじゃないよ、恥ずかしいだよ!

 昔だったら切腹もん! 腹切れ! クソジジイ!

 刃は才能のことで、自分のそれはメッキだったって!

 UUUU……目まいがするしい。

 そんな逆説めいた自慢なんかすんなよ!

 こう言い回しって、女子にいちばん嫌われる!

 事実、あたし嫌いだし、大っ嫌いだし!

 

 あたしって、本音で書くと、文節短い。短っか! みんな一行で済んでるし(^_^;)

 

 ああ、もうくたびれたあ。

 

 じゃね、もう書かないかもしんないけど、つでとかがあったら、また来いよ。

 

 

 

 

 

 

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妹が憎たらしいのには訳がある・14『ラジコン墜落』 

2020-12-29 07:02:32 | 小説3

たらしいのにはがある・14
『ラジコン墜落』
          

  


 
 土日二日を安静にして、幸子は学校に行くようになった。

 合間の土日は佳子ちゃんが入り浸っている。
佳子ちゃんは一見口数少なく大人しい子に見えるが、なかなか心と頭のアンテナの感度がいい子だ。
 幸子の事故では旺盛な好奇心を示すだけでなく、示談のやり方から弁護士の紹介までしてくれようとした。何より喜怒哀楽の表現がハッキリしていて、俺も佳子ちゃんのそういうところが好きだ……って、一般的な意味だから、念のため。
 日曜は、親父が幸子の部屋の防音工事……と言うほどじゃないけど、カーテンを遮音性の高いものにし、ドアに遮音の細工をした。別に二人の声が大きいためじゃなく、幸子が自分の部屋でも心おきなく歌が唄えるようにするためのものでなんだ。

 その間、俺やお袋も手伝ったり、合間に話しの輪に加わったりする。
 
 二つのことに気づいた。


 幸子は佳子ちゃんが良く喋るように巧みに話題をもっていく。
「演劇部の山埼先輩って、パッとしないんやけど、なんとなく和んでしまうんよね」
「そうそう、部員二人だけなのに、男と女の関係を感じさせないとこなんかね」
「ほんまやあ、あの二人の先輩、それは無いなあ……」
「どんなとこで感じる?」
 幸子は、佳子ちゃんの感じたことに、さりげなく具体的なイメージを喚起させたり、表現をさせる。その佳子ちゃんに、
「なるほど! やっぱりね!」
 などと感心してみせるので、佳子ちゃんはますますイメ-ジを膨らませて表現が豊かになっていく。
 そして、幸子の表情が一瞬佳子ちゃんのそれと被って見えてしまう。

 なるほど、そうやって自分の表情を豊かにしているようなのだ。

 幸子の表情や身のこなしは十分女子高生らしいが、慣れてくると、いくつかのパターンの使い分けであることに気づいていた。例えばアイドルが、パターン化したリアクションになってしまうように。俺は一瞬オシメンのアイドルサイボーグといわれるMWのことなんかが頭にうかんだが、MWは人間。幸子は、ほんとうにサイボーグなんだから、当然なエクササイズと言えば身もフタもないんだけどな。
 ときどき見せる熱心な眼差しに人間的な友情を感じるんだけど、これは幸子に「そうあって欲しい」と願う兄としての欲目かもしれない。

 日曜に宅配便がきた。

 親父は大工仕事。お袋はお昼の用意。幸子と佳子ちゃんは話に夢中。
 で、俺が出た。
 めずらしく、若い女の宅配さんだった。
「どうも、ありがとうございました!」
 元気よく出て行った宅配さんのお尻をマジマジと見てしまった。どうもスーパー温泉以来、俺は変なクセがついた。まあ、並の高校二年の男子として、健康っちゃ健康ではある(#^0^#)のだ。 オホン!

 午後からは、優子ちゃんが加わった。そこで、三人揃って、河川敷の公園に遊びに行った。
 優子ちゃんのために、お花の冠なんぞを作るというので俺は遠慮した。

 そして、しばらくすると幸子一人が帰ってきた。
「なにか、あったのか?」
「ラジコンの飛行機が落ちてきた」
 と、慣れっこの歪んだ笑顔で言う。なぜか、手には『紅の豚』のポルコロッソの人形……。

 その晩、動画サイトを見て『ラジコン墜落』というのを発見した。

『紅の豚』のポルコの飛行艇が下手な曲芸飛行をやっている。
 ロングになったりアップになったり、いかにも素人カメラマン。ロングになったとき、対岸の土手で「あ、赤い飛行機!」と言っているように小さな女の子が指差している。
 アッと思ったら、ポルコの飛行艇はコントロールを失って失速。水面スレスレでコントロールがもどって急上昇。かなりの高みに至ると、非常に上手く捻りこんで急降下、そのまま真っ直ぐ全速で地上の一点めがけて突っこんでいく。
――コントロールが!――
――どうした!?――
 そんな声がかたわらでして、ポルコは神風特攻機のように対岸の土手に激突し、ラジコンとは思えない爆発と火柱が上がった。
 その瞬間が気になったので、コマ落としで再生しなおした。
 幸子とおぼしき女の子が無心に花冠を作っていて、墜落の寸前、花冠を風にさらわれて追いかける。間一髪で、幸子は直撃を免れている。墜落を予見した?

 明くる日学校に行くと、その話で持ちきりだった。

 俺は動画で見ただけだけど、テレビのニュースにもなったようで、みんなが「お前の妹、今度は運が良かったなあ!」と言ってくれた。
 警察も来たようで、事情聴取も行われ、ラジコンの持ち主は厳重注意されたようだ。
「これ、今朝のニュース」
 優奈がスマホで見せてくれた画面には、モザイクこそされていたが、見る者が見ればハッキリ分かる。

「ポルコロッソ、フライングゲット! キャハハハ」

 幸子がポルコの人形をぶら下げて笑っている……予見じゃなくて墜とした……のか?

 

 

※ 主な登場人物

  • 佐伯 太一      真田山高校二年軽音楽部 幸子の兄
  • 佐伯 幸子      真田山高校一年演劇部 
  • 大村 佳子      筋向いの真田山高校一年生
  • 大村 優子      佳子の妹(6歳)
  • 学校の人たち    倉持祐介(太一のクラスメート) 加藤先輩(軽音)
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やくもあやかし物語・43『お守り石をお忘れなく』

2020-12-29 06:45:42 | ライトノベルセレクト

物語・43

お守り石をお忘れなく』      

 

 

 お守り石をお忘れなく。

 

 その一言で電話が切れた。

 電話の主は交換手さんだ。

 お出かけの準備を整えて、百均の鏡で身だしなみをチェック、「よし」と確認したところで黒電話が鳴ったんだ。

 受話器を取ると、いつもの交換手さんが――お守り石をお忘れなく――と言って切れたところ。

 こないだ――早く寝た方がいいですよ――の忠告を無視したせいか、ちょっとご機嫌斜めのような気がした。

 機嫌が悪くとも、せっかくの忠告なのでお財布の中を確認。お守り石はお財布の小銭入れの所に……無かった。

 え? え? あれ?

 記憶の糸を手繰ってみる。そうだ、三日前にベッドに入ってから気になって取り出したんだ。そいで眺めてるうちに眠くなって、失くしちゃいけないと思って……しまったはず……?

 ベッドに寝っ転がって、動きを再現してみる。

 寝落ちしかけて……ガクっときて、枕もとに落としたんだ。でも、すぐに拾って………………思い出した🎵

 お財布は引き出しの中で、引き出しに仕舞うには、一度起き上がらなければならない。

 寒いし、めんどくさいし…………で…………で…………どうしたんだっけ(#゚Д゚#)…………思い出した! 手だけ延ばして枕もとに吊ってある制服のポケットに入れたんだった!

 探ってみると、やっぱポケットの中にあった。

 交換手さんは知っていたんだ。だから、出かける寸前に忠告してくれたんだ。

 

 でも、それなら最初から制服のポケットと言ってくれたらいいのに。

 いやいや、わたしが悪いんだよね。

「ありがとう、制服のポケットにあった」

 受話器に言うけど返事は無し。

 んもー

 ガチャンと受話器置いて部屋を出る。

 ガチャン!

 思いのほか強くドアを閉めてしまって、自分でドッキリしている。

「行ってきまーーす!」

 駅へ急ぐと、タッチの差で準急が出てしまった。交換手さんの祟りか……。

 次の電車は当駅止め。

 その次の普通電車に乗って、目的の駅に着いたのは予定のニ十分後だった。

 

 え、どこに行くのかって?

 ペットショップよ。お父さんが支払いを済ませて、引き取るだけになっていた子ネコの確認をするためにね。

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきた三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君       図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん      図書委員仲間
  • 交換手さん     古い黒電話に住み着いている
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