続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞デュシャン『9つの雄の鋳型』④

2019-05-26 05:54:11 | 美術ノート

 あえて鋳型としたのであって型(パターン)ではない。
 鋳型に先(上下)に尖ったり細かったりする部分がある、そういうこともあるかと思いつつ、内部の型をとる場合、外部から圧力が入るはず。細く尖っている部分をとる場合鋳型まで細く尖らせる必要はない。

 鋳型・・・本来の目的は、写した本体の外側の形状を模り、内部の本体の形をした空間にある。
 鋳型の本来の目的はその空間の形にある。

 空間、何もない形、《無いが有るもの》である。
 
 9つ(Neuf)に意味はあるだろうか、neut(neuter)…中性(男でも女でもない/無性)を暗示しているかもしれない。
 雌でも雄でもない雄の鋳型(空虚)という意味を把握できない混沌に陥れられてしまう。
 しかし作品には実態がある、ただそれが何なのか不明な形態であり、加えて鋳型の態をなしておらず、鋳型を否定するものである。


 デュシャンは明らかに見える形態を通して、決して明らかに見ることの出来ない空無を制作したのであり、無を有(存在/言葉と物)によって浮上させたのである。


 写真は(www.tauschen.com)より