続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

Ⅱ-5-4 水没Ⅱ③

2019-12-19 07:17:36 | 美術ノート

 巨木の加工・・・その中にカードの集積が整然と埋まっている。
 自然を人為が犯し、時空に共存してきた長い過去・現在・未来…果てしなく続くかもしれない時空と人間との共存世界。

 それを『水没』と題している。沈むはずのない巨大木製。
 自然の理に反してこれを水中に没することができるだろうか。相応のエネルギー(力)が要る。想像を超えるエネルギーの持続は離反した途端瞬時のうちに水上に浮上するに違いない。


『シジフォスの神話』というのがあるが、罪人がその刑によって重い石を山上に運ぶが、大変な労力の末に見た景色は、自分が下りるより早く麓に転落していった石である。
 水底へ沈めたと思ったとたん、瞬時勢いよく浮上するに違いないこの木製の作品。
 これは『神話』である。 

 軽い葉が沈み、重い石が浮く。比重の軽い樹木は沈むことはないが、『水没』とタイトルしたならば、これは正に不条理であり『神話』である。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『忘れえぬ人々』54.

2019-12-19 06:39:21 | 国木田独歩

秋山は一枚二枚開けて見て所所読んで見て、
「スケッチにはスケッチだけの面白味があるから少し拝見したいねェ」
「まア一寸借して見たまえ」


☆終(死)に算(見当をつけること)が逸(隠れている)。
 昧(暗くてはっきりしないこと)を字(文字)で邁(進めていく)。
 改めて現れる諸(もろもろ)の書いたものは、独(自分だけ)が兼(二つ以上のものを合わせた)綿(細く長く続くもの)であると、吐く。
 魅了(もののけ)が招く輩(仲間)が現れ、逸(隠れたもの)が、駿(素早く)現れる。


『城』3323。

2019-12-19 06:23:42 | カフカ覚書

ーこの役人が、わめいていてももうどうにも埒があかないと見てとったらしく、そのまえに電気ベルのボタンを見つけてあったんであろうが、このほうが手間がはぶけて大助かりだとばかりに、わめくのをやめて、ひっきりなしにベルを鳴らしだしたのである。


☆大勢の人たちが何を求めているのかを見出し懸命に考えたが、明白な叫びは多分知れ渡ることがなかったので、偶然に左右されるボタンを見つけたのである。そのためにそれに魅了され、助けられ、今も間断なく叫び続けているのだろう。