続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

Ⅲ-3-11 飛葉と振動

2019-12-26 06:53:37 | 美術ノート

   飛葉と振動

 この作品に《葉》はないが、裸木となった樹木の林立があり、対峙する男の立ち姿がある。
 枝葉のない樹木、手足を被った人間との対峙…どこか物寂しく、終末感が漂う。

『飛葉と振動』と題しているが、飛んでいる葉はなく、大地に垂直に立つ棒状の樹木があるばかり。それぞれの差異は明らかだが、何の樹木であるかは不明であり樹木であるかさえも実は不明な状態である。
 揺れるという波も感じられないし、それによる現象もない。しかし『飛葉と振動』であると主張している。

 飛葉…つまりは落葉であり、樹木にとっての終末である。生命の循環のワンシーンと換言した方が適切かもしれない。
 樹木はそれぞれの墓標のようであり、対峙する男は行動不可の頭部だけである。知覚の残存…。

 自然に対する森閑とした空気感、祈りに通じるような寂寥。
 これらの樹木は殆ど直立している。確かにサンツリー(杉)などのように真っ直ぐな樹木はあるが、人に対峙し得るほどの高さではない。つまりはこれらは人の手の加わった人為の形骸化であり、樹木の本来の姿(生命)を感じない。

《飛葉》・・・いったん樹木から離れた葉は枯れて腐食し土に還る定めである。故に《振動》とは哀しみの葬送曲であり、胸の鼓動である。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『忘れえぬ人々』59.

2019-12-26 06:39:02 | 国木田独歩

 夢から寤めたような目つきをして大津は眼を秋山の方に転じた。
「詳細く話して聞かされるなら尚のことさ」


☆謀(図りごと)の語(言葉)は黙っている。
 他意の芯(中心)は終(死)の懺(罪の赦しを乞うこと)であり、法(神仏の教え)を展(ひろげている)。
 章(文章)を再(もう一度)和(調合する)と問(とい詰める/責任や罪を聞き出す)章(文章)になる。


『城』3327。

2019-12-26 06:18:23 | カフカ覚書

それほどあわてふためいていたのである。そして、自分は大きな不幸が起こって呼ばれたのだが、これからそいつをつかまえ、胸に押しつけてすぐに息の根をとめてやるために出かけるのだとでも言うかのように、腕をなかばひろげていた。


☆しかしながら、その結果、彼の威厳を忘れていた。
 この悲しみは曖昧に広げられ、先祖の大きな不幸を叫ぶために、これから彼の胸を掴み息の根を止めようとしていた。