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『3つの停止原基』
収めるための箱の設え、装飾は皆無にして技術の高さ、そして安易さ。また厳重なことこの上ない質素な容器…相当な年代物、月日を経た雰囲気を醸している。
この3つの停止原基は秘められたものであるに違いない、厳重な保管状態から現出し並べられた3つの停止原基なるものは、偶然の産物、偶然できた曲線としか思えない線状であり、この3つの停止原基に一致するものは無いと確信するほどである。
この3つは似ており、流動的な線は、水や風の流れに似て留まるものではないという暗黙のメッセージが隠されている。
空の雲、海川の流れ、地中の変動・・・これらはすべて刻々と形を変化させており、二度と再び回帰はあり得ない無二のものである。
決して同じ形にならない、瞬時の動きを固定させた記念碑的な線状。歴史の一端を切り取った沈黙の証しである。
名づけられぬもの、無名、時間の中の一刹那。3つということさえ任意に過ぎない。
この刻まれた時空の一刹那は、世界の歴史の時空における一刹那に等しい。この線状が時空の《停止原基》である。
写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより
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