『フレッシュ・ウィドウ』
なりたての未亡人、夫を亡くしたばかりの妻ということである。しかし、通常フレッシュなどというポジティブな表現はしない。死はマイナーな現象だからである。
フランス式の窓という語呂合わせはどこか美しく洒落た響きがある。しかし、模したミニチュアの窓を見て、『フレッシュ・ウィドウ』を想起することは困難であって、題名は強引さを潜ませている。
言葉『フレッシュ・ウィドウ』と作品『フレッシュ・ウィドウ』と名付けられたものの関係性は極めて薄く、決裂あるいは困惑の壁が立ちはだかっている。
ミニチュアの窓を(なりたての未亡人)と題している。窓は未亡人ではないから、窓の内外にある事情を指しており、そこには荘厳なる『死』という現象があるということである。
生(フレッシュ・ウィドウである妻)と死(夫)が、この窓が被っている。新しい未亡人と新しい霊魂の混在、現世と来世の住人が背中合わせに存在しているという状況に他ならない。
フランス式の窓がその遮蔽なのか、二つの世界を遮断するものかの判別はつかない。
どちらにしても、この小さなミニチュアの窓が《現世と来世》の大きな空間を所有するという仮想であることは間違いない。
(写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより)
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