『会話術』
室内から望む景色である。海・陸地・空の境界がEspana(スペイン)のスペルによって混濁している。鮮明なのは闘牛の瀕死の牛だけであり、頭部にナイフ、血の流出、悲し気な眼差し、被せられた布地(マント)がリアルに描かれている。
スペインの文字…共通認識に基ずくスペインということだろうか。動物愛護の面から見て残酷なシーンはむしろ非難されるべきもので、スペインの誇り、輝かしい面とは言い難い。
遠くに白い建物(アルハンブラ宮殿? サグラダ・ファミリア?)が見えるが、牛の圧倒的な残酷に対して印象は薄い。
室内の開口は馬蹄形アーチだろうか、スペイン建築の特徴というより一般的に思える。
『会話術』、会話とは何か。一つの命題に対して多くを言及するツールかもしれない。綿々と続く問題提議・・・状況に対する発言、心理の術である。
『会話術』の三作品を見て思うのは、会話とは対・人との関係の間に《物・状況》の介在が必須であるということである。
写真は『マグリット』展・図録より
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