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『絶対の声』
画面の中に薔薇一輪、Une 薔薇の絵 Dans L'univers roseを薔薇の絵に差し替えている。
背景は薔薇のピンクと葉の青が微妙に混濁した紫色、そして何気に動きを感じる。
これきりである、これが『絶対の声』だと。
言葉と物、薔薇と薔薇の絵に相違はあるか? 脳で感知するイメージは学習されたデータの集積により一つの物に集約される。ゆえに薔薇は薔薇であり比べる必要もなく何の制約も不必要であり、無条件に《薔薇》なのである。
絶対とは(必ずそうなると決まっている知覚の働き)である。
薔薇という文字の代りに薔薇の絵を描いても必ずイメージはぶれることなく《薔薇》という答えを導き出し、比較・対立を超えてあるものが《絶対》である。
ただ『絶対の声』という響きには、本当に絶対であるのか?という客観的な眼差しが潜んでいる。《絶対》を俯瞰するもう一つの声が聞こえる。
写真は『マグリット』展・図録より
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