続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『巨人の時代』

2021-11-08 06:47:10 | 美術ノート

   『巨人の時代』

 裸婦と着衣の男、強姦が行われようとしている瞬間に見える。しかし、その場合、女の方は着衣なのではないか。つまり、不意を突かれるという意味で。女には用意がある、心づもりがある。とすると、力強く拒んでいるような手は何だろう。引き寄せているのかもしれない。

 女のシルエットのみで構成されている。いわば男は女の中であり、女を描いている。男は女の中におり、むしろ男が女に犯されようとしているとさえ考えられるのである。男は女の前で怯えているように感じるほど弱弱しい感じであり、女を襲うという荒々しさは微塵もない。

 仮に二人として、この間に愛はあるだろうか、愛の結実という肯定性は皆無である。女の太い腕、極端に力を込めた腕は男を拒否しているのか引き寄せようとしているのかは不明だが、女の強い意志は明らかである。女が男に強姦されるという一般的な考えを否定したものかもしれない。

 男は女のしもべである。マグリットの秘かな告発ではないか。

 写真は『マグリット』展・図録


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