続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『風景の魅惑』

2021-11-11 06:44:59 | 美術ノート

   『風景の魅惑』

 風景・・・自然の景色、眺めである。この絵の中に自然はあるか? 
 魅惑されるような景色・・・フレームだけが直立しており、描かれた景色は背後の漆黒の闇を映すばかりである。薄い灰グリーンの床(台座)、壁は黒みがかった赤一色(血)、そこにライフルが立てかけられてある。

 死を誘引するライフル、そして虚空。PAYSAGE(風景)と刻んだプレートが貼られている、「これは風景です」と。
 マグリットの中の風景は現実の律を否定している。通念としての風景ではなく、精神的な眺望としてのリアルである。

 心象風景は死(ライフル)を通した向こうに在る。漆黒の背景(向こう)は未知の世界であり、そちらを願っても逝くことは出来ない景である。

 写真は『マグリット』展・図録より


最新の画像もっと見る

コメントを投稿