『大潮』
大潮とは潮の干満が最大になる時をいう。そしてこの絵が『大潮』だとマグリットが提示する。
額装された青空が描かれた絵、雲のまにまに馬の鈴(伝説・風評・声etc)が青空に同化している。
額装された絵の周囲(世界)は暗黒であり、やはり黒い岩石が散在しており、額縁の上部を抑えてもいる。
この石は何だろう。中空に漂い、抑える威力さえも持っている無言の石。この暗黒(不明・あるいは不思議・あるいは幻想)は青空(宇宙の真理)を抑え、所有しているかのようである。
石は何か巨きなものの媒体ではないか。例えば、(主なる神はとこしえの巖だからである「イザヤ書」)を想起させる。
伝説は伝説を越え、世界を掌握する。生きる糧は自然と精神的な自然(例えば宗教の教え)の落差の中に存在しているのではないか。
是非を問わず、静かな達観を複雑な思いを持って提示している。
写真は『マグリット』展・図録より
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