振動尺試作 小Ⅱ~Ⅷ
振動尺とは何だろう。振動波には形はない、空間を伝わる、あるいは押すエネルギーは目に見えない、在るが無いものである。
それを形状に置換する。無謀な試みであるが、結論のプロセスには仮定は必須条件である。
けれど誰も見たことのない振動尺、振動には確かに波の高下があるが、尺という単位に言及はない。
物質には元素という明確な最小要素があるが、見えない空気感の最小単位は精神界の領域であって物理の領域に還元できないのではないか。
それを敢えて《こんなもの》だと差し出す。誰も否定できず、促されるまま肯定を余儀なくされる問題作である。
振動尺という言葉自体耳慣れないが、それには質量があると提示される。奇妙な違和感はその質量に対する疑惑である。不思議な感覚・・・作品を目の前にして、作品との距離を感じる。
振動尺の異種、それぞれの差異、振動(空気)への厳密な眼差し。質量に置換した驚異、決定はなく試作であるという提示を受け止めざるを得ない。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館
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