続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『黒い旗』

2016-06-09 07:12:19 | 美術ノート

 『黒い旗』
 明るさのない画面、単色である。遥かな地平をめがけて飛んでいる飛行物体。
 一見すると、飛行機のようである。しかし、よく見ると日常的な物の部品を組み合わせた(のような物)であることに気づく。
 つまり、本来、飛ぶ機能を持たない物である。それが、どこかへ向かうという暗い予兆。
 それぞれの飛行物体は球あるいは円を掲げている。つまり、真理を抱いているということであり止む無く何らかの力で動かされているという不本意が見える。

 落下を余儀なくされるような不安定な器物での造作には強い攻撃力は感じられない。それでも行かざるを得ない世情の空気。
 ガラクタ、非合法の暴力・・・。

 地平にははるかに続く道が薄っすら見える、この道はどこへ続くのだろうか。夜明けの光に向かっていることを望むが、真偽は分からない。

 『黒い旗』は、この空気感に対する否定の旗(徴、判定)ではないか。


(写真は『マグリット』西村書店刊より)


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