ボウリング、アミューズメント企業R社の株主総会風景
画・江嵜 健一郎
同じマンションに住むさるご婦人からボケ防止にボウリングをやりませんかと薦められてから早いもので4年以上経過した。ここしばらくはコロナ感染拡大でお休みしているが、月2回、JR三ノ宮駅南,東西に走る大通り一つ隔てたところにあるRound1(ラウンドワン)という名前のボウリング場に通うようになった。
物は試しとささやかながらR社の100株株主になった。今回で2回目の株主総会が26日(土)午前10時からなんばスカイオ7階のコンベンション大ホールで開かれ楽しみにして出かけた。
型通り検温、消毒、マスク確認を済ませて会場入り口で入場者番号に添えて列番号カードを渡された。列は固定だが席は選べた。軽く500人は入れそうな大ホールに縦20列、横8席。会が始まる頃にはほぼ満席となった。
定時10時に株主総会は始まった。社長さんが議長を務めた。「コロナ感染防止のため短時間で終わる。質問は5人まで。一人1問のみ。30秒以内。是非ご協力願いたい」と冒頭社長さんから挨拶があった。
議案は①配当、②取り締役選任の件、③補欠監査役選任の3つ。詳しくは送付済の株主総会招集ご通知をお読みくださいと一気に進めあっと言う間に質問の時間となった。
なぜわざわざ株主総会に出て来るのかと問われれば、社長さんに直接話を聞くかけがえのないチャンスだからである。「質問に入ります」の声を耳にしたあと即手を挙げた。4~5人の手が見えた。なぜか係の女性が真っ先に筆者のもとにマイクを持参してくれた。
1問30秒以内とクギをさされていたが30秒あれば結構喋れる。「神戸から来ました。三宮店にお世話になっています。一人500円の割引券5枚は重宝させてもらっている。」と述べた後、ひと一呼吸置いて「前回の株主総会。コロナのはしりの時から1年たった。去年、社長さんが想定されたことと変らなかったことは何か。想定外だったことは何か。これから先をどう展望されているか。特に中国店開店との関連で、社長さんの中国市場にかける夢を是非聞かせてほしい」と一気に喋った。
社長さんは「国内直営店舗は103ある。米国子会社は全米25州、44店舗ある。特に米国ではコロナ感染は予想以上の速さで拡大した。ロックダウンが発令されたが、躊躇せず一時閉鎖を決断した。米国で2店閉鎖、国内で3店閉鎖した。米国では1年たったいまワクチン接種が進み全店が再開、すでに良好な業績を出し始めている。目先ではワクチン接種とPCR検査が進むかどうか。いずれコロナは治まる。コロナのあとに備えている。」と話した。
「中国に関してはコロナ感染者は国全体で20名とコロナの影響は感じられない。しかし、様々なケースを想定して慎重に準備をしている。アメリカで始めた時も同じだった。日本国内と制度含め全てが違う。軌道に乗るまで安心できない。さらに言えば中国とアメリカは全く違う。」と言葉選びしながら話す社長さんの話が印象に強く残った。
中国という国は日本人が考えるほどには甘くないのであろう。他の株主の質問は省略するが、ひとり、中国店開設を4年前に出したが実現せず。今年又出したのはなぜかと質問した株主がおられた。
当社の足元の業績は厳しい。今期売上高。609億円、前年比42%減、前年比で経常利益;198億円減、営業損失:192億、経常損失:198億、純損出:179億。米国で2店閉鎖、5店開設、ロシア、1店開設した。売上高構成はボウリング:22%、アミューズメント:56%、カラオケ:7%、その他:15%。ボウリングは売上高が昨年3月の244億円が今年3月133億円。アミューズメント:昨年526億が今年342億に落ちた。
株価は100株15万円が一時、6万9,000円まで売られた。ここへきて業績回復期待から14万前後まで回復している。1株当たり配当は年20円と少ない。社長さんは「配当に回す資金があれば新規事業に投資する」と明言している。
この日株主総会出席者にお礼として500円券5枚と1,000円の健康ボウリング教室・レッスン優待券が封筒に入っていた。後日仲間にお渡しする予定である。しがない100株株主であるが社長さんの心配りがありがたい。(了)