画・江嵜 健一郎
第9回日展が1月20日まで京都市京セラ美術館で開かれている。猪熊佳子先生が会場に出られる日の11日(水)を12日(木)と勘違いしたため行けず、わざわざ郵送いただいた招待券で15日(土)訪問、日本画(110点)、洋画(64点)、彫刻(57点)などの会場を堪能した。
日本画会場入るなり特徴ある猪熊佳子先生の絵だとすぐに分かった。タイトルは「木霊~銀の雫」、「無鑑査」と出ていた。
右隣に並んでいた特選2点、左2点の作品を入れて会場の様子をスケッチした。
帰宅後調べた「日展資料」に「作者の言葉」として以下あった。「取材地は屋久島。白谷雲水峡の苔の森。水分をたっぷり含んだ苔は生命の源です。あらゆる種の緑色が木漏れ日にかすかに輝いていた。」とあった。
苔の形や色が微妙に違う様子が丹念に描き込まれており、強く印象に残った。絵に描かれた小鹿の目と目が合ってしまう。見ていて温もり感じた。絵を見てほっとする。それが猪熊佳子画伯の人気の秘密かもしれない。
「日展資料」に隣2点の「特選」の理由として「白い時代」(画:大西健太)には「画面の上方に子供を配した動きのある構成と独自の感性を豊かに描いた。」とあった。
隣に並んだ「生生」(画:今村市良)の絵には「作者の命を見つめる眼差しと生きる姿勢が丹念に描き込れている。おぼろげな筆致がやわらかく強くじわりと生を問いかける。」と出ていた。
説明を聞いても、素人の分際では、分かりにくい。出点数の多さには圧倒されたが他の日本画にも分かりにくい絵が多かった。洋画の会場では人物画を多く見られたので楽しかった。花の絵は日本画も洋画も少なかった。
第9回「日展」は神戸にも巡回予定と会場の掲示板に出ていた。(了)