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西宮の野鳥と題して、令和7年2月10日、午後1時半から、内山裕之先生、元姫路大学教授の講演会が西宮文化協会、二月行事が西宮神社会館で開かれ楽しみに出かけた。会場の様子をいつものようにスケッチした。
はじめに吉井良昭当会会長から「西宮は人間に住みやすい街ですが野鳥にとっても同じようで、海から川、川から山にかけて恵まれた環境で多くの種類の野鳥が生きています。どんな話になるか最後まで内山裕之先生の話をお聞きください」と冒頭、挨拶があった。森村理事から「内山先生は小学3年の時に鳴尾に引っ越して来られた。浜などで生き物好きの少年時代の体験があり今がある。」と紹介された。
内山先生は会場正面に「西宮の地形はどうしてできたか?」と六甲山から大阪湾までを映し左右の圧力で六甲は盛り上がり、それに対応して大阪湾が沈んで出来た。そのため地下深くでマグマがゆっくり冷えて固まって出来た花崗岩が地表に出て来た」と話しを始めた。
六甲山頂付近にある鉢巻山や武庫山神社は西宮で900m近い。下がって600mの奥池。309mの甲山。甲山は安山岩で火山だった。大社中学の近くの広田神社には船が出入りしていた。平安時代までは海岸線だった。山は雨で削られ大阪湾にかけて砂が堆積した。小学校3年の昭和30年ころはまだ地引網が見られた。棉花畑があり沢山の池がありヤンマほーいと言いながらギンヤンマを捕ったと少年時代の話をされた。
内山先生は西宮野鳥ポイント7点として①甲子園浜、②香櫨園浜、③夙川・北山緑化植物園、④鉢巻山武庫山神社、⑤武庫川,⑥甲山、⑦武田尾渓流を挙げた。
甲子園浜では「甲子園浜は埋め立てが予定されていた。南甲子園小学校の保護者、主婦パワーで「美しい浜を守れ」「子供のため生活のため」と訴訟するなど6年間の闘いの後、浜辺を残すことが出来た。浜が残って鳥が食べるゴカイやカニを求て鳥が集まる。」「甲子園浜や香櫨園浜のような大きな浜辺が残っているのは西宮だけです」と内山先生は力を込めた。
夙川・甲陽園大池・ニテコ池ではカワセミが見られる。内山先生は「葦を綺麗に刈り取りきれいにし過ぎると鳥がいなくなります」と話され大いに納得した。「たった長さ5キロの夙川だがセキレイ,メジロ、ウグイス、ジョウビタキなどいろいろな鳥が見られる。」と話した。
「同じ西宮であるが鉢巻山・武庫山神社は900mにある。大阪湾から六甲山まで高低差が大きい。上では下では見られないカワウソに出くわす。越冬にやってくる寒い地方を好むコガラ、べニヒワも年によって見られる」と話した。
「鳥はどこに集まるか。食べ物があるところです。それと仲間がいるところです。落ち葉の下にはダンゴムシ、ムカデがいる。」「鳥を見つけたら写真を撮る。見つけたら後ろに下がる。下がると鳥は逃げない。見つけたら二歩下がります」と内山先生は楽しそうに話された。
質問の時間になった。最前列の一人が手を挙げた。「二つお聞きしたい。一つは温暖化が叫ばれている。気候の変化で野鳥は増えるのか減るのか。種類はどうか。二つめは山で野鳥が死んでいる。どこで亡くなるのか」と聞いた。内山先生は「鳥は食べるためにやってくる。甲子園浜のコンクリート残骸にいるゴカイを鳥が食べにくる。鳥が死ぬとウジがたかる。分解されてなくなる。うまい事出来ていますよ。」と答えた。
貴重な機会を用意いただいた西宮文化協会事務局にひたすら感謝である。(了)