先で値段が下がると思えば、株を買うバカはいない。先高と思う投資家がアメリカには多いようで、10月1日のNY株式市場は、NYダウは191ドル、1.38%急騰した。ナスダック1.46%、S&500は1.35% それぞれ値上がりした。
アメリカ最大手の銀行のCitigroup(シティー)が、2007年7~9月期決算で、純利益が60%減少したと発表した。スイスのUBS証券が、800億円の赤字、4000億の評価損を出し、1,500人強を解雇すると発表した。9年来、最悪の決算だそうだ。
日本人なら青菜に塩、ぐったりして、仕事も手につかない。ところが、アメリカの投資家は、「再利下げの下地を作った」、「10~12月期は回復するとUBSは予想した」として、本来は悪材料を好材料に切り替えた。前FRB議長のグリーンスパン氏の、「金融収縮(credit crunch)は収束に向かう」との発言も、「ご託宣」として、ありがたく頂戴した。
一方、NY外国為替市場では、ECB(欧州中央銀行)のTrichet総裁が、対ドルでのユーロ高が欧州経済に悪影響を与える可能性を示唆した発言を材料に買い戻され、1ユーロ=1.4223ドルで取引された。ドルは対円でも値上がりし、1ドル=115.75円で取引された。
NY原油先物市場は、バレル83.76ドルをつけたあと、バレル80.24ドルまで値下がりした。ただ、米国では、再利下げするとの期待から、ドルの先安を予測する向きが多い。ドルの「反面教師」である金相場は、トロイオンス754ドルと27年来の高値を更新した。
ドルの先安は、インフレ懸念を生むから、本来は、悪材料である。ところが、ドルが下がれば、米国の多国籍企業は、世界全体では、景気は上向きだから、海外での収益が拡大するとして、ドル安を、好材料に使った。特にNYダウ採用銘柄の多くは、多国籍企業である。
10月1日、日本郵政グループが発足式を行った。民営会社発足記念として、2種類のいずれも80円、10枚セットの切手が発売された。神戸市内の最寄りの郵便局では、瞬く間に売り切れたと話していた。郵便局が、日本全国で2万4000局ある。「民営化」という言葉だけで浮かれていると、マンモス相手に生きてきた、米国人投資家の餌食にされるだろう。
日本郵政の貯金残高は、180兆円ある。その内80近くを国債で運用している。偏りの度合いが異常に大きい。日本の政策金利は年0.5%とこれまた異常に低い。米国は今回0.5%利下げして年4.75%だ。1.0%から0.25%小刻みに上げて来たから、下げ余地が生まれる。
人間のからだに、「ゆがみ」があると、そこから「ひずみ」が生まれ、病気になる。0.5%という金利の異常な「ゆがみ」が、先々の日本経済に、大きな「ひずみ」を生みそうだ。(了)
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江嵜企画代表・Ken