老舗大手繊維メーカー株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
しがない1000株株主でも株主総会に出られる。老舗繊維メーカーの株主総会が
JR大阪駅から徒歩約15分のところにあるウエスティンホテル大阪で朝10時から
開かれるという案内が届き、楽しみにして出かけた。
一年前と比べて業績が多少好転し、配当金も通期で5円に戻したこともあってか
正直、会場は緊張感に欠ける雰囲気だった。営業概要はあらかじめ配布された
報告書を見ればあらかたわかる。恒例の質疑応答の場で、当社社長がどのような
受け答えをされるか、その一点に絞って、それまでの時間、会場風景をスケッチ
しながら待機した。
約10人が質問した。2~3印象に残ったやりとりを紹介する。一番手の質問は
「外国人株主が増えたと日経に出ていた。取得目的、何に魅力を感じたのか、
短期狙いか長期かなど詳しく教えて欲しい」と聞いた。社長は「産油国まで飛んだ」
と口火を切って「長期投資である。炭素繊維の自動車事業への投資のスピード
性に関心があった。株価が安いところで買い、大きなリタ―ンを将来に期待して
いた」などと答えた。
4~5人質問したあとある株主が「新任取締役の年齢が昭和20年前後が多い。
昨今のような変化の激しい時にいかがな物か。価値観を異にした人材が必要では
ないのか。反省を求める」などと質した。社長は「貴重なご意見いただきました。
もっともと思います」と受けたあと「社として、グローバル展開を今後進めていく
ためにも外国人、女性を増やすことを検討している。監査役にはその方向で
実施している。」などと答えた。
2~3質問が続いた。議長(社長)が「時間も迫って参りました。あと
お一人に限らせていただきます」と断ったあと一人の株主が質問した。
「従業員が減少している。配当金は総会の後に決めて欲しい。」としたあとで
「株価が安すぎる。昭和40年代とくらべたら3桁の株価でないとおかしい。
現在ラ―メン一杯700円、今の株価ではラーメン半分しか食べられない。
存続させる会社、本体に統合すべき会社、廃業させる会社を決めてほしい。
株価についてもっと真剣に考えるべきだ。緊張感が欠けている」と訴えた。
社長は「貴重なご意見賜り感謝します。」とのみ答えて、質疑応答を終えた。
22日の東京株式市場は、この日は値上がりする銘柄が多かった。当社の
株価も前場段階で10円高だった。当社としては久しぶりの値上がりだった。
日本の株価は外国人のさじ加減ひとつで安くも高くもなる。外人の持ち株
比率は20~25%と社長は答えていた。外人が割安と判断すれば買いが
入るだろう。多少の利益改善程度で慢心してもらっては困ると思っている
株主がほとんどだろう。長期的観点に立って上を目指して欲しい。(了)