思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

ビックリーお買い得のモーツァルト序曲集―Vonk・ドレスデンシュターツカペレ

2007-09-11 | 趣味

知られていない(私が知らない)指揮者の演奏ながら、オーケストラはドイツシュターツカペレだし、価格は400円!ということで購入したCDがとてもいい。ビックリ!です。

一口で言えば、【燻し銀の愉悦】-のびのび生き生きの愉しい演奏ですが、ドイツシュターツカペレの木質の音色が自然な落ち着きを感じさせます。序曲集は名指揮者のものがたくさん出ていますが、続けて聞くと疲れてしまいます。これは反対に、ずっと聴いていたくなるような流れのよい、気持ちのよい演奏です。このHans Vonkという指揮者は大変な実力者です。「嬉しい不覚」?でした。

曲目も代表的なオペラのものに留まらず、モーツァルト15歳の時の「アルバのアスカニオ」の序曲(フェルデナント皇子の結婚を祝うセレナーデ、大成功を収めた)や「ルチオ・シラ」(16歳)という珍しい初期の作品が途中で「中休み」のように入ります。可愛らしく覇気に溢れた作品が有名な序曲の中でよい役割を果たしています。最晩年の「皇帝ティトゥスの慈悲」、デモーニッシュな「ドン・ジョバンニ」で終わりますが、全11曲の配列もよく考えられています。

録音も自然で聴きやすいものですーわたしは二種類の異なるオーディオで聴いていますが(真空管出力のものと大型のトランジスタ出力のもの)どちらで再生してもよい音です。

Hans Vonk指揮 ドレスデンシュターツカペレ 輸入盤(米)
HMVで購入出来ますのでどうぞ。http://www.hmv.co.jp/product/detail/754225




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考えられた「愉悦」は愉悦ではない = ポリーニのモーツアルト

2007-07-13 | 趣味

考えられた「愉悦」からは愉悦は消える。
考えられた「柔らかさ」は柔らかくない。
頭―観念を先立てると、心身から湧き上がる感動はやってこない。

ポリーニの弾く(指揮もポリーニ、オーケストラはウィーンフィル)モーツアルトのピアノ協奏曲17番&21番を聴いての感想だ。

頭脳明晰で、素晴らしい技術の持ち主で、真面目で誠実な人柄のマウリツィオ・ポリーニが奏でる音楽は、どうにも躍動しない。沸き立つような生命感がなく、悦びが広がらない。まるで博物館の展示物のよう。

でも、この演奏は、昨年度の新譜で最も高く評価されたCD。
わたしは、自然で大胆であること、自由闊達なこと、無邪気であること、を求めたい。そうでなければ、音楽まで客観学になって死んでしまう。

今ここからの飛翔、淀みのない流れ、いまだ見ぬ世界への憧憬、――未来への投企・実存の冒険のみが、魅力=価値を生む、わたしはそう思う。
音楽も哲学も心身の奥深くから発せられ、表層の善美を打ち破り、臓腑にまで届く納得・悦びを生み出さなくてはウソだ。

武田康弘



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ラモーの「ピグマリオン」―古楽の名盤

2007-07-06 | 趣味

ジャン・フィリップ・ラモーは、わたしの好きな作曲家のひとりです。
フランス古典派の巨匠・ラモーは、ヘンデルやバッハより2歳年長ですが、彼の一幕のバレエ付きオペラ『ピグマリオン』は、美しく親しみやすい曲でお勧めです。
わたしは、古楽の大御所グスタフ・レオンハルトが指揮したCDを15年間聴き続けていますが、これは間違いなく古楽の名盤だと思います。

「明晰・公正・均整の永遠のレッスン」と言われるラモーの音楽の美しさを丹精に高い品位をもって描いた名盤をぜひ多くの方に聴いて頂きたいと思ってこのブログを書き始めましたが、いま調べてみたら、廃盤なので、ユーズド以外には入手できないようです。

ドイツ・ハルモディア・ムンディの原盤で、BMGビクター(現在はBMG JAPAN)から出ていたのですが、再発売されることを願います。

愛神(キューピット)の勝利を謳った一幕のオペラで、演奏時間も50分に満たないくらいですから、無理なく全曲を聴くことができます。親しみやすく美しいメロディーに溢れていて、心地よいリズムですので、自然に体に入ります。上品で知的で人間味溢れる上記のレオンハルトの演奏以外にも、また別のよさを表した新録音もあるようですので、ぜひ聴いてみて下さい。




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ゲルギエフのダフニスとクロエ と マイルス・デイビスの音楽

2007-06-25 | 趣味

昨日の日曜日は、パワフルでエネルギッシュなラヴェルに酔いしれた。ダフニスとクロエの第二組曲だが、ゲルギエフの12年前の来日公演をNHKが再放送。オーケストラと指揮者の一体感が見事で、クールな演奏が主流の現代には珍しい熱演。やはりパワフルなオーケストラはいい。

夜は、ジャズの巨人―マイルス・デイビスのETV特集を見た。この変わり続けることで変わらなかった天才の魅力を分かりやすく見せてくれた。インテリジェンス溢れる知性派のマイルスは、しかし分析不能だ。知的で激しく熱い。探求の根源性が新しさを生み出す音楽は、常に生きて強く呼吸していた。

マイルスのラストアルバムージャズを越えてしまった?「DOO-BOP」を聴きながら。




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マウンテンバイク開眼!!

2007-05-17 | 趣味

実は、一年前からほしいな、って思っていたのですが、ついに買いました。
というほど大げさなものではありませんが、ジャイアントの一番廉価なマウンテンバイクROCK4500を入手し、近くの自然林の中を走ってみました。
いや~、実に面白い!
倒れている木を乗り越え、落ち葉が堆積している柔らかい土の上を走り、凸凹道を上下し、丘を乗り越え、・・・・
かなりハードな運動ですが、陸上競技の運動とは違い体重を足にかけないので、無理な負担がなくていいです。
それに、これは上半身も大いに使うので、全身運動になり、気分爽快!!
筋力と運動神経の両方がうまくバランスした運動で、しかも瞬発力と持久力の双が鍛えられます。
面白くて、体力アップ!!
55才になった日に、マウンテンバイク開眼!です。

ジャイアントのバイクは、ここをクリック。
私は「ライフ」で買いました。







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シャルル・ミンシュの芸術 ベルリオーズ

2007-01-24 | 趣味

磐石の巨人クレンペラーとは大きく異なりますが、シャルル・ミンシュも私の大好きな指揮者です。

私は、高校生のころよりベルリオーズが好きなこともあり、燃える情熱で全体をつかみ、その中に豊潤な色彩と繊細な世界を生むミンシュの音楽を、なんとも悦ばしいものと感じてきました。

そのミンシュがボストン交響楽団の常任指揮者だった最盛期のCDがまとめて40タイトル発売されました。 (BMG JAPAN)クリック(試聴もできます)
 
一枚1050円、二枚組2100円と廉価なのは、うれしい限り。ベルリオーズの4枚を購入して聴きましたが、音質もLPレコード時代のプアーなものではなく、1954年の最初期のステレオ録音から大変優れたものです。CD化の技術進歩を実感します。

創造的想像力そのもののようなベルリオーズの音楽の再現は極めて難しいのです。燃え上がるような白熱のドラマ、ロマン的激情とエスプリと古典的品位を併せ持つ空前の音楽の真価を知る音楽家や聴衆は多くはありません。ベルリオーズを振らせてミンシュの右に出る者はいません。違った角度からそのエレガントな美しさを現したアンドレ・クリュイタンスを除いては。

ます、一枚という方には、イタリアのハロルド+序曲集がお勧め(BVCC38432)。その生気溢れる演奏・温度の高さは、現在のオーケストラからは聴くことができません。眩いばかりの輝き、美しい激情の世界をご堪能ください。

1954年、1962年録音の二つの幻想交響曲も、晩年のパリ管弦楽団との名盤(67年録音)とはまた異なるよさを持ちます。刺激的な激演!ミンシュの白熱の演奏で40タイトル全部を聴きたくなりました。困った(笑)

(※ミンシュは、1891年フランスのストラスプール(当時はドイツ領)で生まれ、1968年パリ管弦楽団とアメリカ演奏旅行中に心臓発作で急逝77歳)

武田康弘






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カーオーディオ=思いがけない改善!!マイナスイオン発生器・1880円なり

2006-11-16 | 趣味

健康グッズ=「マイナスイオンで空気をリフレッシュ」を、何気なく購入。クルマのライター部(12V)に差し込んでみました。すると、あれっ!思わぬ朗報、カーオーディオの音が変わったのです。
再度、外して、付けて、やっぱり大きく改善されています。
音場がフワッ、と豊かになり、音の棘が消え、細かい音がよく聞こえるようになります。すっきり、気持ちのよい音に変身!です。
これは凄い、もう手放せません。みなさんもぜひお試しあれ~~。

私の購入したのは、カーメイト(株)のイオフィールミニ(品番・KS91)というものです。ケイヨーホームセンターで、1880円でした。半額以下の製品もありましたが、形と質感が悪いのでこれにしました。効果は半永久的と記載されています。

武田康弘




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ハイドンー交響曲102番

2006-10-29 | 趣味

ハイドンの交響曲102番は、「不動の愛らしさ」とでも呼ぶべき健康な明るさに包まれた楽しい曲です。
ハイドン晩年の傑作、「ロンドンセット」と呼ばれる12曲の交響曲のうちの一つですが、愛称がついていないために、あまり有名ではありません。でも、私は、この曲が一番好きです。
演奏は、クレンペラー指揮のものが最高です。比較を絶した名演と言えましょう。メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」や「交響曲3番・スコットランド」と同じく、ゆるぎない安定感と深い呼吸の中に「愛らしい」花が咲いているような演奏です。
悠然としたテンポ、凄まじいほどのエネルギーの中に、巧まざるユーモアがあり、すべての音が生きて輝いています。
第4楽章のユーモラスな愉しさは、格別です。

(東芝EMI-録音1965年ー定価1300円)クリック

武田康弘


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MINI―究極のスポーツ仕様車発売!(世界で2000台―うち日本は160台)

2006-07-18 | 趣味

小さくて可愛くエレガント(ただし存在感は強烈)なはず!のBMWミニクーパーのスポーツ仕様車が限定発売になりました。その走りーエンジンは、ちょっと狂気じみた性能を持ちます。
1600ccのエンジンは、基本は変わりませんが、チューンアップして、218馬力250Nm、0-100kmは6.5秒、最高速240kmです。2700ccのポルシェ・ボクスターに迫る動力性能には唖然!です。
普通のスポーツカーは、軒並みブッちぎってしまいますね~。フぉー!
実用性に富み小型で可愛いのにモンスター!?という車が欲しいと思っている人には、世界にこれしかないという究極の一台です。いますぐ予約を!日本には160台しか割り当てがないので、一瞬で!売り切れてしまいそうですが。価格は400万円―そのパフォーマンスからすれば恐ろしく安いですよ(クリック)

私は、エレガントに徹したミニが好きなので買いません。ご安心を!?(笑)
カジュアルなのに高品位―なんともなクルマ、それがミニなのです。
私のMINIレポートは、クリックででます。
(写真は、ふつうのMINIクーパーです)

武田康弘



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クレンペラーのベートーベン「コリオラン」「交響曲4番」

2006-07-06 | 趣味

レコード芸術―6月号の『名盤鑑定団』では、ベートーベンの交響曲4番を取り上げていました。
発売時に私が感動し、レポートしたクレンペラー指揮・ウィーンフィルー1968年のライブCDを絶賛していて、わが意を得たり!です。
ただし、30年以上前より、私が20世紀最大の指揮者と信じて疑わないクレンペラーの評価があまりにも遅すぎますね~~。

この6月号では、このCD冒頭(8枚組みの2枚目)に入っているベートーベンのコリオラン序曲を「これほどの演奏はもう現れない」と結論づけていますが、聴けば誰でもそう思わざるを得ない巨大で深い世界です。比較を絶した恐ろしく大きな音楽ですが、一つひとつの楽器(フレーズ)はこれ以上ないほど明瞭に語り、歌っています。


ついでに、よい音でCDを聴きたい人への朗報です。
CDやDVDディスクのクリーナー&コーティング液ですが、ナノテックシステムズの「INTRON PROTECT 8500」です。
この液を少量吹き付けて磨くと、溶け込んでいる有機誘導体と銀微粒子で盤面がコーティングされるとのことです。
その結果、汚れ・雑味が減り、その分、音楽の音情報が増えます。
全体にクリアーになり、細かな音がよく聞こえ、安定します。長時間聴いていても、疲労感が少なく、気持ちがよいです。
刺が消え、音の押さえがきいて、正確に、しかも楽に音が出るようになります。
この手の製品は、過去にいくつか試しましたが、これほど大きな改善が得られたものは他にありませんでした。
CD二枚分くらいの出費で、優に100枚以上コーティング処理できそうですので、よい音でCDを聴きたい人には、とてもありがたい製品だと思います。

武田康弘





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トヨタの思想 vs BMWの思想

2006-04-07 | 趣味

私の愛車・BMWミニのエンジンが不調になって工場入りした2日間、代車としてトヨタのカローラに乗りました。故障の原因は、私が純正品と取り替えた市販のプラグコードが破損したことによるものでしたので、元のコードに戻しただけで直りましたが、ここでは、日本を代表するトヨタ車とBMWミニとの違いについてレポートします。

トヨタとBMW―「違い」という言葉が空しくなるほどの違いで、クルマに対する「思想」がまったく異なるのは、乗れば誰でもが感じることでしょう。

トヨタ車(カローラ)は、とにかく軽い、何もかも軽い。車重も、ハンドリングも、レバーやスイッチ類の操作も、そして何より走りが軽いのです。一口で言えば、簡便・楽チンで、クルマが道路を走っているのだ、という緊張感がないのです。エンジン振動が少なく、音も小さく、路面を感じることのない「フワリ」感です。よく言えばストレスがないのですが、クルマに乗っている実感・悦び・面白みもありません。ただ実用の足として存在する、それ以上でも以下でもない、そんな感じです。結論は、《動くソファー付きの居室―家電品のような自動車》、それが日本を代表するトヨタ車です。これは、より高級なクラウンでも同じ。思想が同じなので、ただ高級感が増すだけです。

反対にミニは、重く、深く、強い。クルマはこうあるべきだという製作者の考えが隅々にまで徹底され、お手軽な運転・使用を許しません。路面をしっかり捉えた走行感覚と、重くて正確なハンドリングのために、体力を使います。走ることの「重み」がいやでも実感されますが、運転者の心は、深い充実感・満足感で満たされます。ミニは、強い理念と愛が生み出した「作品」としてのクルマなのです。ここまでは、他のBMW車にも共通しますが、ミニのいいところは、それにプラス遊び心―楽しさがあることです。一度乗るとクセになりますよ(笑)。 (BMWミニクーパー・レポート)

武田康弘

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古林です。

イヤー、ほんとにそうですね。
運転してる実感がないんですねぇ、トヨタの車は。
ヨーロッパの車に乗っていると、どれも製作者の顔が見えてきます。
その顔の違いがとても面白いし、それぞれに納得させられる部分があります。
だから運転していて対話しているような気分になるのかもしれません。
特にミニには遊び心満載。かつてのミニの最良の一面を徹底して追及した
結果ですね。
私がいつも言うのは、『車のことを知らない人にとってトヨタ車は最高です、
きっと世界一(量の話)になります。』
でもそこに何の意味があるのでしょうかねえ。ちょっと哀しいです。
私が車やバイクのデザインにかかわっていた頃と全然変わってませんね。
個人的には今私はシトローエンC4に興味が・・・・
お金貯めなきゃ。

それでは。



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※驚愕※空前絶後の音楽―1968年・クレンペラー・ウィーンフィルのライブ

2005-12-10 | 趣味

巨大で無垢。
どこまでも見通せるように透明で、深い。
微動だにしない磐石の世界、
悠然としているが、見事なリズム感。
ロマン横溢する演奏だが、「ロマン主義」のかけらもない。
クレンペラーのつくる音楽は、おそろしく現実的であり、同時におそろしく形而上的。
まったく比較するものがない。
フルトヴェングラーなど彼と同時代の巨匠たちがみな小粒に見える。

このウイーンフィルとの8枚のライブCDには、心底打ちのめされた。
私の40年間の音楽人生で、これほどのアルバムを聴いた=体験したのは初めてのこと。
空前絶後の音楽を前にして、私は呆然自失。全身が痺れて総毛立つ。
とても一曲ずつの感想は書けない。
一生の宝になる人類の至宝、まったく比肩するもののない「超絶の世界」にぜひ浸ってほしい。音楽観どころか人生観まで変わってしまうのではないか?

ドイツレクイエム以外は、ステレオ録音で音質も大変よい。ほんとうにありがたい。

http://www.hmv.co.jp/news/newsdetail.asp?newsnum=506100001
(クリック)

クレンペラー賛も見てください。

武田康弘





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エレーヌ・グリモーが創った「愛」の音楽

2005-12-07 | 趣味

音楽・自由自在、人間・自由自在、
感性と知性と身体性、その全てから上質の香気が漂うような魅力的な女性、エレーヌ・グリモーの創った「愛」をテーマにしたCDの紹介です。

思索的にして行動的、豊かで鋭く、アグレッシブにして上品、
美しく強い信念の持ち主=グリモーの「愛」の文書をこの下のブログで紹介しましたが、このCD冒頭は、「シューマンのピアノ協奏曲」です。激しく強い打鍵から始まり、メランコリー、瞑想、可憐、しなやか、強靭、憑かれたような想い、音楽がまるで「肉体」そのものの豊かさを持つに至っています。

グリモーの言う「熱病のようなひらめき」としての愛という見方は、シューマンの真髄を明かしました。つづくシューマンの妻クララの歌曲を歌うのは、最高のメゾ・ソプラノ歌手の一人、フォン・オッター、ブラームスのチェロ作品のチェロは、いま話題独占のトルルス・モルクですが、共にグリモーの「愛」の理念の共同の体現者として、見事に「歌って」います。最後のラプソディの独演は、深く美しい!うならざるを得ません。

完全に身体化した心-観念は、「魂」と呼ぶにふさわしい、心身の区別は消える、そんなことを感じ知ることができる素敵な音楽です。眼差し、語り、抱擁、すべてが一体となった美。

グリモーは、まだまだ「進化」しそうです。目(耳)が離せません。もし、彼女の想念にさらに深く強靭な思想が生じれば、アルゲリッチも成しえなかった「人間美」の世界に飛翔できるでしょう。

武田康弘

「ユニバーサル・クラシック」のホームページに紹介されているのを今見つけましたので、リンクしておきます。(12月8日)



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ベートーベンの初期の三曲―穢れなき純粋な力に溢れた名曲

2005-10-09 | 趣味


「ベートーベンの三曲」に続いて、私のお気に入り=ベートーベン「初期の三曲」を選んでみました。これを聴いて幸福にならない人はいない!と思う3枚のCDをご紹介します(しかもすべて1000円~1300円で入手できます)。


まず、正真正銘の作品1、「ピアノ三重奏曲の1番(作品1の1)と2番(作品1の2)」です。演奏は、スーク・トリオで、83年・84年の録音、DENONから廉価版で出ています。清潔感と共に優しさ、適度な甘さのある心に染み入る名演奏です。

次は、「バイオリンソナタの1~3番(作品12の1~3)」です。バイオリンがシェリング、ピアノがヘブラーです。共感力、技巧の冴え、均整(バランス)、すべて揃った名演。純粋で暖かい。録音は78年でフィリップスから廉価版で出ています。

最後は、「ピアノ協奏曲1番(作品15)」、真に偉大な自由人―グルダのピアノです。バックはホルストシュタイン指揮のウィーンフィル。録音は70年、LONDON・キングレコードから出ています。1番に限らずベートーベンの5曲のピアノ協奏曲は、未だにこの演奏の右に出るものなし、と太鼓判を押したいと思います。実に豊かな音楽です。愉悦に溢れるベートーベンをぜひどうぞ。

10月9日 武田康弘



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宿題の3曲ーベートーベン

2005-10-03 | 趣味

パパゲーノという謎の(笑)人物からの勧誘で「ベートーベンの世界」というコミュニティーに参加しました。私が第一号!(形だけのつもりで入った「ミクシィ」という閉じたブログ内の話です)
そこで、ベートーベン作品の「お気に入りの三曲」という宿題が出ていたので、答えました。以下にコピーして貼り付けます。


1.合唱幻想曲(ガーディナー指揮・ピアノ協奏曲5番とカップリングされています。合唱幻想曲は、ピュアなエネルギーの塊で、感動のあまり全身が痺れてしまいます。クレンペラー盤も対極にある雄大な名演です。)

2.ディアベッリの主題による33の変奏曲(私の好きでないピアニスト、ポリーニによるとんでもない名演奏。2000年の夏に発売された後、一時毎日のように聴いていました。聴き始めると止められなくなる、この曲がこんなに面白くていいの?麻薬のような?超名演。)

3.序曲レオノーレ3番と英雄(レオノーレは、40年間でほとんど全ての演奏を聴きましたが、恐ろしいほどのエネルギーに満ちたクレンペラー盤は、比較を絶しています。いまは、東芝EMIの1300シリーズで、英雄とセットです。英雄もクレンペラー盤がベストです。英雄には同じクレンペラーでもライブのとんでもない凄演もありますが、繰り返し聴くならこのスタジオ録音です。小学生のとき初めて東京文化会館で聴いた曲が英雄でしたが、ただただ長かった!)

武田康弘




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