思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

白樺の「用の美」に通じるROCKPORTの理念

2008-06-09 | 趣味
下のブログのつづきです。

わたしは、メーカー名も知らず、ただ見て履いて、「とてもいい靴だな~」と思いながら長年履き続けてきた靴が古くなって買い換えようとしたとき、
はじめてそれがアメリカの「ロックポート」というブランドであることを知りました。

妻が見たいというので、日曜日にロックポートの靴の品揃えが豊富だと思われる恵比寿の三越地下1F.の「レジェンド」に行き、いろいろ見て(買って)来ました。ベテラン店員の話も聞きましたが、わたしが感じていた履きよさは、ロックポートの理念からきていることを知りました。なんと「世界一、履きよい靴をつくる」です。

もらってきたカタログには、APAM(アメリカ足病医師協会)から1984年にシューズメーカーとしてはじめて認定を受けたことも記載されていました。ロックポートの靴にわたしが感じていたデザインのよさは、まさに柳宗悦の民芸思想=「用の美」「用即美」なのでしょう。

履きよさとは、単に物理的な世界の話ではありません。気持ちがよい、接していたい、見ていたい、うれしい、・・・という主観性のよさに達さなければ「よい」とは言えません。この社の素材の掘り下げや構造の研究は徹底しているようですが、そのような物理的な優秀さは背後に隠れて製品の表面には出ていません。見て触れたときにそのよさ・美しさが実感できる、そんな感じです。

ROCKPORTが、「世界一履きよい靴をつくる」という大胆な理念を見事に具体化していることを知り、なんだかとても嬉しくなりました。それに価格も多くが2万円以下で、とても良心的です。

武田康弘
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わたしの一番お気に入りの靴は、ロックポート。

2008-06-06 | 趣味
わたしは、靴がとても気になります。
買うときは、何度も履いて時間をかけて確かめます。

生まれつき足が弱かったわたしは、幼稚園のときから遠足に行くと必ず夜は足が痛くなって眠れず、いつも父に足をさすってもらっていました。
買い物でデパートに行ってもすぐに足が痛くなります。

だから頑張って歩く練習、走る練習をしましたが、生まれつきの「弱さ」までは克服できませんでした。でも中学2年生のときは、毎日ひとりで自宅付近を走り、そのおかげで、駅伝の選手の選ばれました(運動部でないのに代表5人に選ばれたのは、学校=文京区第六中学校始まって以来の快挙!でしたー自慢です)。

そんなわたしがとても気に入っている靴は、ロックポートです。
アメリカ製だそうですが、どのようなメーカーかは知りません。
だいぶ前によい靴に出会い、気に入って毎日履いていましたが、今度新しいのを求めるに際してはじめてブランド名を意識したのです。

とても履きよく、長時間歩いても疲れず、石材や新素材の床でもアウトドアでも滑りません。しかも質感がよく、デザインも優れていて、皮製なのになぜか雨でも大丈夫ですし、シッカリしたつくりなのに軽いのです。見た目も履き心地も最高!です。

価格は13000円~19000円ほど、とってもお勧めです。
最後に、いい靴は、同じ大きさでも小さく見えるものですよ。

武田康弘
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音楽と人間の存在を開示し得た指揮者ークレンペラー

2008-05-11 | 趣味
オットー・クレンペラー(1885-1973)は、音・音楽の存在そのもの魅力を開示し得た人だ。

わたしが知る限りその点で彼に比べられる指揮者は一人もいない。

たとえば、グルッグの「アウリスのイフィゲニア」序曲を聴く。

存在の美、

キレイさとはまったく異なる存在自体の美しさと深さに満ちている。

それと同時に、

存在することの形容できない悲しみを感じる。

音楽と人間の存在そのものが、深く開き示されていると感じ、涙が出るのだ。

意識は浄化されて、存在の海に沈潜する。

そこから、新たな深い「力」が湧きあがってくる。

存在それ自体が更新され、浄化し、輝き、熱を帯びるのだ。

クレンペラーの指揮する音楽を聴くというのは、わたしにとって特別の体験である。



自分用に5枚のCDから5曲の序曲を入れたCDをつくりました。原盤は、すべてEMIで、オーケストラは、フィルハーモニー管弦楽団です。

1.ベートーヴェン レオノーレ序曲 第3番 (1806)
 14分32秒 録音1964年
2.グルック 「アウリスのイフィゲニア」序曲(1774)
 11分30秒 録音1960年 
3.ウェーバー 「オベロン」序曲 (1826)
 9分33秒 録音1960年
4.ブラームス 大学祝典序曲 (1881)
 10分02秒 録音1957年
5.ワーグナー 「さまよえるオランダ人」序曲(1841)
 10分44秒 録音1960年
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ベルリオーズの世界ー歌劇「トロイ人」全曲

2008-04-04 | 趣味

コミュニティ【べルリオーズの世界】に以下のトピックを書きました。


ヘクトール・ベルリオーズ(1803~1869)
歌劇「トロイ人」全曲
コリン・デイヴィス指揮 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団・合唱団

「トロイ人」は、ベルリオーズ畢生の大作で、上演時間4時間、音楽があまりにも想像力を刺激するために舞台化が難しく、ベルリオーズ死後100年記念の年にようやく完全な全曲録音が実現しました。それが1969年録音のこのCDhttp://www.hmv.co.jp/product/detail/1500358(71年の発売時はLP5枚組・一万円)です。


1971年の発売時に購入したLPは、繰り返し聴き、私の宝物となりました。その後発売されたのは、ジェイムズ・レヴァイン指揮のLD、その後にデュトワ指揮のCDが出て、最近ではベルリオーズ生誕200年記念で、再びデイヴィス指揮の全曲盤がロンドン交響楽団の自主制作盤(ライブ)として出ました。

わたしはすべて聴きましたが、総合的にこの最初の全曲盤を凌ぐものはありません。時代(1969年)の影響もあるでしょうが、この演奏の熱さ・迫力・鋭さは、「トロイ人」に必須の要素です。

オペラの範疇を超えてしまったような音楽・劇的な音楽世界創造のためにオペラという外皮を借りただけのようなこの恐るべき作品=想像的創造力そのもののような音楽をぜひ多くの方に聴いてほしいと長年願ってきました。しかしCDにしても4枚組みで高価であり、なかなか勧めづらかったのですが、いまは、デイヴィスの最高の演奏が比較的廉価で求めることが出来ます。ぜひ時間をかけて聴いてみて下さい。ただし国内盤ではないので、歌詞対訳は付きません。


武田康弘

追加

2012年に収録されたパッパーノ指揮のDVDは、はじめての日本語字幕付きで、演奏も熱く見事です。 日本語の字幕付きで見れる日が来るとは思いませんでした。感激です。

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ベルリオーズの世界―「幻想交響曲」トーマス指揮の現代的名盤

2008-02-08 | 趣味
マイケル・テルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団によるベルリオーズの『幻想交響曲』は、現代的でシャープ、同時に緻密で細やかな演奏ですが、聴く込むほどに味わいが増し、繰り返し聴きたくなる名演です。

音色の美しさや華麗さはありませんが、明晰でリズム感がよく、しっかりとした構成力が抒情性の表出を支えています。ロマン主義の権化とも目される曲ですが、全体に古典的とも言える落ち着きがあります。

パッと面白く聴かせる演奏ではないのですが、終楽章の迫力は怖くなるほどで、サンフランシスコ響の巧さにも舌を巻きます。余白には、声楽付きの「レリオー生への帰還」の抜粋が入っていますが、これが選曲もよくとても聴きごたえがあります。

録音も分解能とバランスがよく、ダイナミックレンジが大変広く、強奏時に大音量にしてもまったく歪まず、極めて優秀です。

ぜひ、みなさんお聴きになってみて下さい。

以上は、わたしが管理人を務めるmixiのコミュニティ【ベルリオーズの世界】のトピックとして書いたものです。


武田康弘
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祝・永遠のジョルジュ・プレートル ウィーンフィルのニューイヤーコンサート

2008-01-02 | 趣味
昨晩、恒例のウィーンフィルのニューイヤーコンサートで、83才の自由人プレートルの指揮を見、聴くことができたことは、最高の幸せでした。

2ヶ月ほど前に、わたしは、ミクシィ内に【ベルリオーズの世界】というコミュニュティーをつくりましたが、そこでの最初のトピックが、「ファウストの劫罰(ごうばつ)」でした。そこで、お勧めCDとして、自由で強靭、フランス的な美感に溢れたプレートルの演奏を紹介したのです。わたしは、学生のとき(35年ほど前)に購入したプレートル指揮・パリ管弦楽団のLP(イギリスからの輸入盤)をずっと愛聴してきましたが、そのトピックには、プレートルについてのよいコメントが寄せられ、わが意を強くしたのでした。

昨晩、プレートルの姿をテレビではじめて見て、その若さ(growing young)と自由な表情・笑顔に2008年が明るく開けゆく感じがしました(嬉)。

彼の選曲・指揮の下、恒例のニューイヤーコンサートに新しい扉が開かれたようです。既成概念に囚われず、若々しく、自由で、とても華やかでしたが、同時に、深い経験による安定があり、土台が大きく、小曲であってもシンフォニックですらありました。強く確かな構成力があるために、安心して思い切りウキウキすることができる、そんな感じの演奏にすっかり満足しました。DVDが出たら早速購入しましょう。

いま、プレートル指揮のベルリオーズ「幻想交響曲」(+レリオ)の名演奏をCD聴きながらこのブログを書いていますが、オペラ指揮者として有名な彼のレコードには、カルメンをマリア・カラスが歌ったビゼーの「カルメン」全曲があります。この曲のベストとして知られているものです。ぜひ、どうぞ。

武田康弘

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BMW・MINIは、

2007-12-31 | 趣味

MINIは、「ドキドキ」するクルマです。「華」があります。

わたしは2002年の晩秋、名前も知らずに「出会った」MINIに瞬時にひきつけられ「とりこ」になりました。

後日それが、ドイツBMWが、伝説のイギリス車・ミニクーパーのコンセプトを受け継ぎ、全く新しく創り直したものであることを知りました(from the original,to the original)。

2004年の秋に入手し、2006年にはオープンカーのコンバーチブルに乗り換えましたが、毎日乗っていても、最初の感動は覚めません。

カジュアルなのに高品位、なんとも「粋」なクルマです。
クラス(階級)を超越した普遍的なよさ・美しさをもつ、それがMINIなのです。



以前のブログ、MINIのレポートも見て下さい。

武田康弘




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「この曲の凄さを知るには、声も楽器も同等の世界から眺めて聴くこと」ーちょ

2007-12-05 | 趣味

以下は、昨日のトピック【ベルリオーズの世界】ー「ベンヴェヌート・チェッリーニ」へのコメントです。

コメント(2件)

ちょ

1 2007年12月04日 20:09 ちょ

素晴らしいオペラです。

輸入盤ですと、ノーリントンの録音(ヘンスラー)があります。
これは、かなりの名演です。セリフを大分カットしてますが、まとまりのよい、徹底した解釈で同曲が楽しめます。
序曲から思いっきり引き込まれました。

私は、このオペラは、正規初録音のデイヴィス指揮コベントガーデン(チェッリーニ;N.ゲッダ、テレーサ;エダ・ピエール)で初めて聴きました。
これも素晴らしい録音です。

>民衆が主役を演じる作品

仰るとおりだと思います。
まさにこの曲の合唱は、民衆的な生命力に満ち溢れております。
徒弟たちの合唱は素晴らしいです。
また、素晴らしい音楽が、一部の主人公達に集約されること無く、酒場の主人や若きチェッリーニの徒弟(女声)など、様々な「声」に音楽が満ち溢れております。

とはいえ、いわゆる「オペラ」というジャンルにくくってしまうと、つまらない曲かもしれません。
しかし、「音楽」という、「声」も器楽も同等の世界から眺め聴けば、この曲の凄さは感得できるのではないでしょうか?

「ローマの謝肉祭」の原曲である場面も、実に生き生きとした「音楽」です。
オペラ的な効果を考えていません。
後輩たるフランスの作曲家達は、この勢いを真似しようとしますが、真似出来ません。
破綻したオペラを初っ端からは企画できないのでしょう(笑)

ワーグナーを頂点とする音楽劇の流れの中では、まさに「落ちこぼれ」的な曲ですが、巨大な声楽付管弦楽の極め付け、幻想交響曲の後編とも言うべき「レリオ」のさらなる後編と考えると、しっくりくる曲であります。

空転する劇的音楽、挑戦的で管弦楽的なイマジネーション、ぶっとんだ最終幕、何がなんだかわからないこの終結、まじめに聴くより、楽しみましょう、ベルリオーズ!

重々しくシリアスな「トロイ人」より好きな曲であります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2 2007年12月05日 11:06 タケセン

タケセン

「素晴らしい音楽が、一部の主人公達に集約されること無く、酒場の主人や若きチェッリーニの徒弟(女声)など、様々な「声」に音楽が満ち溢れております。
とはいえ、いわゆる「オペラ」というジャンルにくくってしまうと、つまらない曲かもしれません。 しかし、「音楽」という、「声」も器楽も同等の世界から眺め聴けば、この曲の凄さは感得できるのではないでしょうか? 」

ちょさん、ほんとうにそうですね。素晴らしい洞察に感謝です。

「オペラデータベース」からのリンクで、優れたコメントを見つけましたので、以下に貼り付けます(コリン・ディビス指揮の全曲盤について)

By hector (東京都)

ベンヴェヌ-ト・チェリーニは、その音楽の素晴らしさにもかかわらず、オペラとしては不当に無視された作品と言えます。この演奏はべルリオーズの傑作を見事に具現化しており、極めて貴重な音楽的資料と言えます。BBC交響楽団とロイヤルオペラの合唱団はコリン・デイヴィスの指揮下で高度な演奏を繰り広げています。第一幕では管弦楽と大合唱の活躍の場が随所に見られ、非常にエキサイティングで輝かしい表現に満ちています。一幕最後のオーケストラ表現はとりわけ奇抜なトリッキーな表現で圧倒的な興奮を聞き手に引き起こさせてくれます。勿論、第二幕にも聴き所は多く、飽きることの無いスリリングな演奏です。特に、ペルセウスの像が奇跡的な完成を見せた後の盛り上がりは圧倒的で、一気に終幕まで熱狂的表現が続く部分はべルリオーズの面目躍如といったところです。華麗な管弦楽と合唱に目を惹かれ勝ちですが、アリアやデュエットなども充実しており、20世紀の音楽に接した我々にも全く古さを感じさせない内容です。また、録音も年代的には古いですが、音質に格別の不満を感じることは、まず無いものと思われます。歌手では主役のニコライ・ゲッタが素晴らしいですが、テレーザ役のクリスティーヌ・エダ・ピエールとアスカーニオ役のジャーヌ・ベルビーの健闘も光っています。バルドゥッチのジュール・バスタンは声の質が役に合っており、いい味を出しています。ロジェ・ソワイエのクレメンス7世もほぼ同じことが言えます。私は実際にMETのこの作品の上演を観てきましたが、これほど興奮させられるオペラ作品を他に知りません。べルリオーズには、「トロイ人」というもうひとつの最高傑作がありますが、このCDで、是非ベンヴェヌ-ト・チェリーニの素晴らしさを味わって頂きたいと思います。恐らくこの作品が再評価されることが、べルリオーズ再評価の最終段階であろうと確信しています。




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ベンヴェヌート・チェッリーニ 【ベルリオーズの世界】

2007-12-04 | 趣味

(以下は、ミクシィ・コミュニティ【ベルリオーズの世界】のトピックです。)

ベルリオーズの最初のオペラ、「ベンヴェヌート・チェッリーニ」(史上はじめて民衆が主役を演じる作品)の音楽の素晴らしさ=切れば血が出るような響き・生き生きとした情熱・飛翔するイマジネーション・感覚神経を刺激するめくるめく色彩・音楽的パワーの炸裂には、わたしは心身が圧倒されて言葉もありませんが、これほどの傑作でありながら、おそらくは、その多彩・多重な変化についていけない聴衆が多いためか、残念ながら作曲から170年たったいまもなおその真価が一般には知られていません。
ぜひ、天才ベルリオーズのこの独創的な音楽の魅力を多くの方に知ってもらいたいと思い、トピックを立てます。

なお、このオペラのあらすじは、「オペラ・データベース」を見てください(クリック)。

CDは、コリン・ディビス指揮の名演がありますが、HMVやアマゾンで調べたところ、この曲を含む三曲のベルリオーズのオペラ9枚組みセットが出ています(クリック)。「ベンヴェヌート・チェッリーニ」のみは、廃盤か品切れです。
国内盤のCDは、残念ながら今のところ一つもありません。廉価で入手しやすいのは、小沢征爾指揮の輸入盤(クリック)です。

「ベンヴェヌート・チェッリーニ」について、ぜひコメントをお願いします。

武田康弘




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ファウストの劫罰ー【ベルリオーズの世界】

2007-11-17 | 趣味

わたしが先日立ち上げたミクシィ・コミュニティ【ベルリオーズの世界】のトピックに、【ファウストの劫罰】という恐ろしくマニアックなコミュニティ(笑)の創設者・ちょさんからコメントが入りました。以下にコピーします。


ファウストの劫罰って、こんな音楽です。タケセン

お勧めのCD(ジョルジュ・プレートル指揮・パリ管弦楽団)入手された方いらっしゃいますか?
おせっかいながら、少し説明してみます。

「ファウストの劫罰」は、オペラでもなく交響曲でもないが、両方でもある、分類不可能な曲で、「劇的交響曲」と呼ばれます。
フランス語訳されたばかりのゲーテの「ファウスト」を読んで熱病につかれたように感激したベルリオーズは、作曲にあたり、原作を大胆・自由に変えて台本をつくりました。

お勧めしたCDは輸入盤で日本語の対訳や解説がないので、簡単にご紹介します。この曲は音楽がすべてなので、細かい話はどうでもよいのですが。

粗筋は次のようなものです。
主人公のファウストは、自然にも人生にも飽きて毒杯を飲もうとするが、そこに復活祭の歌が聞こえてきて思い留まる。
突如メフィストフェレスが現れ、酒と歌は人生を楽しくすると言う。
メフィストフェレスの力で美青年に変身したファウストは、マグリートの部屋で愛を確かめ合う。マグリートの恋の歌。ファウストの大自然を讃える歌。
マグリートは母親殺しの罪で死刑の宣告、それを救いたい一心からファウストの地獄堕ちが決まる。メフィストフェレスは勝利感に酔う。
ファウストは地獄の炎に焼かれ、天国から天使たちの合唱する「マグリートへの賛歌」が聞こえてきて幕。

CD1
第一部 ハンガリーの平原(注・ゲーテの原作には全くない)
第二部 ドイツの北部
第三部 マグリートの部屋12幕まで
CD2
第三部 マグリードの部屋13幕以降
第四部 マグリートのロマンス、自然への祈願、地獄への騎行、天国にて
(余白には「クレオパトラの死」(20分)が収録されている)

まさに天才の作、霊感に満ちた天衣無縫の響きをぜひご堪能下さい。

武田康弘

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コメント(2件)

1 2007年11月08日 04:24 ちょ

はーい♪聴きました

>第一部 ハンガリーの平原(注・ゲーテの原作には全くない)

私は、この場面がものすごくすきなのですが、ご推薦のプレートル盤は、第2部からが凄く素敵です。
特に第3部以降のオペラティックな各場面。

なんといっても、ゲッダ、ベイカー、バッキエの名人達の絡み合いが素晴らしすぎる!
バッキエのメフィストフェレスは、古今東西最高のメフィストのような気がします。かっこよすぎ。

>酒と歌は人生を楽しくする

バッキエは、ホントに楽しそうに歌いますね。

ゲッダとベイカーの温かく人間的なファウストとマルガリーテもぐっときます。
この二人のヂュエットは絶品です。

また、彼らを支えるプレートル&パリ管の明るくふっくらした管弦楽も実に気持ち良いですね。
ベルリオーズの「天衣無縫」を楽々と嬉々として表現していると思います。

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2007年11月09日 12:56 タケセン

ちょさん、

さすが「ファウストの劫罰」のスペシャリストですね。
見事なコメントをありがとう!!
自由人・情熱人バンザイ!ですね。

武田康弘



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ファウストの劫罰って、こんな音楽です。

2007-11-02 | 趣味

以下は、【ベルリオーズの世界】(ミクシィ内につくったコミュニティ)のトピックです。

まず、クリックして下さいーベルリオーズの世界


ファウストの劫罰って、こんな音楽です。

お勧めのCD、入手された方いらっしゃいますか?
おせっかいながら、少し説明してみます。

「ファウストの劫罰」は、オペラでもなく交響曲でもないが、両方でもある、分類不可能な曲で、「劇的交響曲」と呼ばれます。
フランス語訳されたばかりのゲーテの「ファウスト」を読んで熱病につかれたように感激したベルリオーズは、作曲にあたり、原作を大胆・自由に変えて台本をつくりました。

お勧めしたCD(クリック)は輸入盤で日本語の対訳や解説がないので、簡単にご紹介します。この曲は音楽がすべてなので、細かい話はどうでもよいのですが。

粗筋は次のようなものです。
主人公のファウストは、自然にも人生にも飽きて毒杯を飲もうとするが、そこに復活祭の歌が聞こえてきて思い留まる。
突如メフィストフェレスが現れ、酒と歌は人生を楽しくすると言う。
メフィストフェレスの力で美青年に変身したファウストは、マグリートの部屋で愛を確かめ合う。マグリートの恋の歌。ファウストの大自然を讃える歌。
マグリートは母親殺しの罪で死刑の宣告、それを救いたい一心からファウストの地獄堕ちが決まる。メフィストフェレスは勝利感に酔う。
ファウストは地獄の炎に焼かれ、天国から天使たちの合唱する「マグリートへの賛歌」が聞こえてきて幕。

CD1
第一部 ハンガリーの平原(注・ゲーテの原作には全くない)
第二部 ドイツの北部
第三部 マグリートの部屋12幕まで
CD2
第三部 マグリードの部屋13幕以降
第四部 マグリートのロマンス、自然への祈願、地獄への騎行、天国にて
(余白には「クレオパトラの死」(20分)が収録されている)

まさに天才の作、霊感に満ちた天衣無縫の響きをぜひご堪能下さい。


武田康弘





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ベルリオーズの世界ーコミュニティ創設

2007-10-26 | 趣味

ミクシィ内にコミュニティ【ベルリオーズの世界】をつくりました。
以下にその案内文と、「ベルリオーズの音楽の聴き方」と「ファウストの劫罰」についての記事をコピーします。

(参加される方は、ミクシィのメンバーになる必要がありますので、わたし宛にメール( shirakaba2002@k.email.ne.jp )を下されば、ご招待します)

【ベルリオーズの世界】

想像的創造力そのもののようなベルリオーズの音楽を愛でるためのコミュニティです。
形式による統一ではなく、情熱が自ずと形式を与えるようなベルリオーズの音楽のほんとうの素晴らしさは、専門の音楽学者や批評家にはよく分からないようですし、音楽学校で型どおりの音楽教育を受けた演奏者もまたその真価を知らない人が多いように思えます。
想像力がそのまま音になったようなベルリオーズの音楽は、機械化が進み、技術主義が支配し、叙情性が失われた現代では理解され難いのかもしれませんが、人間の自由と情熱と叙情性の回復のために今もっとも注目されて然るべき、と思っています。
わたしは、人間は「想像力動物」(ホモ・イマージネス)だと考えていますが、ベルリオーズほど想像力を刺激する音楽は他にないと感じて三十数年がたちます。同じ気持ちを持つ方はもちろん、これから聴いてみようかな?痺れてみたいな!(笑)という方、ぜひぜひご参加下さいね。

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【ファウストの劫罰】

ベルリオーズは、「幻想交響曲」だけが有名ですが、その真価は劇音楽にあります。
まず一曲という方、「ファウストの劫罰」をぜひお聴き下さい。
演奏は、シャルル・ミンシュの全曲盤、アンドレ・クリュイタンスの抜粋盤などの名演がありますが、わたしは、ジョルジュ・プレートル指揮の全曲盤をお勧めします(クリック)。
エレガントで強く分かりよい演奏です。録音は古いのですが、最新録音のように切れがよく美しい音ですし、二枚組みで1000円は、超お買い得です。余白には、若きベルリオーズの恐るべき天才性が刻印された「クレオパトラの死」が収められています。

35年前に買ったLPは、イギリスからの輸入盤でした。音質が国内盤よりよいと言われていたので購入した記憶がありますが、今も現役(笑)です。
これは、1970年にパリで録音されたもので、ファウスト役のテノールのニコライ・ゲッタ、マルガリート役のメゾソプラノのジャネット・ベーカーが指揮者のジョルジュ・プレートル(46才)と共に笑顔で写っています。フランスの威信をかけてつくられて3年目のパリ管弦楽団、その熱気が伝わってくるようなリハーサル風景の写真もあります。
このフランスの自由主義者・プレートルは、今年で83才ですが、来年1月のウイーンフィルのニューイヤーコンサートを指揮するそうです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベルリオーズを愛して三十数年、突然思い立って今日、【ベルリオーズの世界】というコミュニティを立ち上げました。
劇音楽で長い曲が多いので、あまり一般的ではないようですが、天才という言葉はベルリオーズのためにある、わたしはずっとそう思ってきました。イマジネーションの化身のような音楽は、生涯の宝になります。

聴き方には、ちょっとしたコツがいります。大きな壁画を見るように聴くのです。細部を見るとか、一つひとつの音符を追いかけるのではなく、全体をそのまま感じ取るようにします。理屈や言葉で説明しようという構えを持つと、全くお手上げになります。
イマジネーションを喚起し、解放する音楽なので、全曲をまとめて聴く必要はありません。
大きく構えてアバウトに接すると、そのよさを堪能できます。

みなさん、ぜひ【ベルリオーズの世界】を知ってください。


武田康弘




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【感動】 再び小沢征爾の音楽について

2007-10-21 | 趣味

ほんとうの【感動】とは、
言葉を失わせるもの、どのような言葉も無力であることを悟らせるもの、ただその前に沈黙するしかないもの。
それは自我からの解放であり、解脱であり、大いなる覚醒である。
心はうち震えながらも、静かで透明になり、無言のまま悦びそのものとなる。

そういう心の事態が感動であるとするならば、

小沢征爾の指揮する音楽は、そこからは遠い。
音響としての快や美に留まり、
【感動】=自我からの解脱、精神の覚醒とは無縁だ。
もしこれでよいのなら、音楽の真髄はこの世からなくなる。

武田康弘






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小沢・サイトウキネンのショスタコーヴィチ交響曲5番

2007-10-14 | 趣味

小沢征爾指揮、サイトウキネンによるショスタコーヴィチの交響曲5番を聴いて、なんとも複雑な心持ちです。

これは、今月の「レコード芸術」の特選盤。小沢の金字塔であり、かつ同曲の最高の演奏と評されたCDで、2006年の松本におけるライブを収録したものです。
熱演ですし、美しく、終楽章は極めて遅いテンポをとりながら圧倒的な迫力をもちます。

しかし、音が上滑って、深く落ちないのです。上半身だけに力が入ってしまうのを、低音楽器を強奏させることでバランスをとり、迫力を出すような演奏になっているために、音楽自体が自ずと語りだすというのではなく、つくりごとの世界になっています。

現実的な美があり、現実的な迫力・快感はあるのですが、そこまでなのです。
現実の楽器は現実の音として美しく響きますが、精神・理念世界を切り開く力を持ちません。音の刃物が鋭く空間を切り裂き、音によるイデアの世界を開示するという場面は皆無です。

わたしは欧米信仰は持ちませんが、ここに聴くわが小沢の演奏は、ヨーロッパの真髄との深い溝を感じさせます。なんとも残念ですが、もちろん、小沢の演奏に届かない欧米の演奏も多いですので、それもって慰めとしましょう。ショスタコーヴィチのこの曲の真髄を現した演奏は、息子のマキシム・ショスタコーヴィチのものですが、現在は廃盤です。

武田康弘


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ベルリオーズの「トロイ人」(ロンドン交響楽団の自主制作版・デイビス指揮の12枚組ボックスより)

2007-10-05 | 趣味

2000年から03年にかけて収録されたベルリオーズ生誕200年記念演奏会のライブ盤(12枚組)の中から、ベルリオーズ畢生(ひっせい)の大作「トロイアの人々」全曲(演奏時間4時間・CD4枚)について。

この想像力そのもののような音楽は、舞台上演上の難しさから全曲が演奏されたのはベルリオーズ死後100年もたってからであり、録音されたのは、ようやく1969年のことでした(発売は1971年)。上記のCDと同じコリン・デイビス指揮で、フィリップスからLP5枚組・一万円で出ましたが、当時19歳のわたしには、ほんとうに高い買い物だったことを覚えています。この世界初の全曲盤は、その後CD化されて今でも入手可能です。ただし、現在国内盤はなく輸入盤だけです。

その後だいぶ時がたってからジェームス・レヴァインの指揮のLD(現在はDVD)が出ましたが、これを見て、なぜこの作品がほとんど舞台上演されないかが分かりました。ベルリオーズのあまりにも高度な音楽、イマジネーションの桁違いの広がりを視覚的に現すことは到底不可能で、そのために舞台を見ても面白くないのです。この想像力をそのまま音楽化したような作品は、音だけで聴く方がよいのです。

CD時代に入ってからの新録音は、シャルル・デュトワ指揮モントリオール響が最初(国内盤は最初にして最後)のものですが、これは蒸留水のような味の薄い演奏で、ベルリオーズの情熱が全く伝わらず、ガッカリしました。この盤が現在国内盤で購入できる唯一のものです(歌詞の日本語訳が付いています)。

さて2003年に発売されたデイビスにとって二度目となる全曲録音(演奏されたのは2000年)ですが、これは、さすがに素晴らしい演奏で、世界初の全曲録音となった30年前の多少の生硬さを残していた熱気が、洗練された情熱となって燃え上がっています。感覚神経と想像力の刺激において最右翼の音楽・ベルリオーズのロマンがいかに高度に洗練されたものであるかがよく分かります。頭を中心に全身に鳥肌がたつような高密度の時間が続きます。(ただし、最初のデイビスの録音の方が鋭さ・迫真性においては上)。

このCDは、イギリスのロンドン交響楽団による自主制作盤ですが、HMVで廉価で入手できます。12枚組みのボックスでなくても、単独で買えますが、輸入盤のCDは二組買うと25パーセントオフなので、例えば、プレートル指揮の名盤―同じくベルリオーズの「ファウストの劫罰(ごうばつ)・クレオパトラの死」クリックを一緒に購入する方がお得です。

情熱と叙情性と想像力の音楽、ベルリオーズをぜひお聴き下さい。


武田康弘




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