思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

開かれた趣味の世界と、閉じた趣味の世界

2020-10-12 | 恋知(哲学)

 普遍性に通じる趣味の世界と、生(なま)のエロースの趣味の世界の違いを考え・体験したのは、20歳ころのある「選び」への直面によってでした。

 わたしは、音楽好きでよい音に憧れ、オーディオも好きでした。秋葉原の隣、神田須田町の生まれということもあり、オーディオ製品を見たり聞いたりは日常的にできましたので、高校生になった頃から世界のオーディオに親しんできました。販売店の視聴室に入りびたり~~。

 また小学生の頃からの写真好きで、中学2年のときに一眼レフ(ペンタックス)を買ってもらい、写真趣味はずっとです。音楽などの発表会写真やポスター写真や美術写真など仕事の一部にもしてきました。
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 20歳ころ、わたしは、バイトで貯めたお金で、新しいスピーカーを買うか、引伸機(フィルムを印画紙に拡大して写真にする道具)と周辺機材一式を買うか、とても悩みました。どちらも同じくらい欲しいのですが、どちらかしか買えません。

    その時のことを今も鮮明に覚えています。視聴して気にいったスピーカーは、直接的なエロースでわたしを虜にします。なまなましい魅力です。引伸機は、それ自体にはエロースはありませんが、それを使いこなせるようになれば、芸術としての写真表現が可能になります。創造の道具となるのです。

 ああ、この違いは大きいな、本質的な違いだ。魅惑の品を所有して使うことと、新しいよきもの・魅力ある世界を創り出す道具の獲得=使用とは、根本的に意味が異なるのだと気づいた瞬間でした。それが了解されたので、わたしは迷いなく引伸機を買いました。新宿西口のヨドバシカメラで。もう少しで50年が経ちます。

 その後の引伸機の活躍は書き切れません。天体写真での覆い焼や焼き込み、数枚のフィルムを用いるコンポジット、印画紙による表現の違いなどで、写真表現の面白さ、素晴らしさを堪能し、多くの人の助けにもなりました。まさによい趣味=開かれた趣味の世界です。(今はデシタルになり使っていませんが、ありますー写真)

 生(なま)のエロースの世界もよいのですが、能動的な創造の世界に目を向けたときに開拓できる世界は、次元が違います。お金はそのために用いた方が自他を活かすという真理に目覚めた体験は、貴重でした。たくさんお金があり迷わない人は不幸です(笑・ホントウ)。

 なお、その後に展開したよい音のオーディオは、こどもたちにも大人にも、「音楽を聞く会」を定期的に催し、開かれた趣味の世界になっています。

 実存を踏まえて公共的な広がりへ!


武田康弘

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