幾度も聴きました。
う~ん、過去の名演が色褪せてしまいます。後世恐るべし。
とにかく、圧倒的にしなやかで自由です。
若々しい推進力、緊迫感が快感を呼び、何度でも繰り返し聴いてしまいます。
濃やかで豊かな表情性をもつイブラギモヴァ(ロシア)のヴァイオリンを強く理知的に支えるティベルギアン(フランス)のピアノ。絶妙のコンビ!全体は音楽への愛で満ちています。
録音当時、イブラギモヴァは25歳、ティベルギアンは35歳、頭で無理に考えたのではなく、全身で直観的に楽曲の意味を掴んだ演奏からは、ベートーヴェンの愉悦と深みがストレートに伝わり、感動! 若さの利点だけが際立ちます。
ベートーヴェンへの献身は、実に美しく、
かつてのクレーメルとアルゲリッチの豪演は古く感じられ、
鮮魚のようなデュメイとピリスの名演も単調に思われてしまいます。
武田康弘