思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

「テロには屈しない」-なんと愚かな発言か(呆れ)

2015-01-30 | 社会批評

 首相は、何度も言います。記者会見でも国会でも。
「テロには屈しない」と。

 いま、後藤さんが人質にとられている最中、極めて危うい状況のなかにある最中、命が奪われようとしている最中に、なぜ、犯人たちを挑発するようなことを言うのか?あまりの愚かさ、こどもじみた強がりに、わたしは、言葉もありません。

 テロ行為が悪であり、許しがたいものであることは理の当然ですが、
問題の核心は、なぜテロをするグループが次々と現れ出てしまうのか、それをなくしていくためにはどうしたらよいのか、少なくとも被害に合わないようにするには、何をすべきか、何をしてはならぬのか、を考えることです。

 そうした本質的な問いに向き合い、不条理な世界で苦しむ子どもたに助力してきたのが、後藤さんです。

 ヨルダンの女性死刑囚は、イラクでアメリカ軍に兄弟3人を殺された経験をもち、それがテロ行為につながったと伝えられますし、「イスラム国」とは敵対関係にある別の過激派集団「アルカイダ」は、クリントン氏の証言を待つまでもなく、元々アメリカがつくった組織です。

 深く思慮せずに、ただ「テロには屈しない」と言うのには、虚しさだけがコダマします。現に今は、屈しているのですし、今は、屈するほかないではありませんか! 
   後藤さんの危機を前にして、あまりにも、あまりにも、あまりにも、無思慮な言辞(怒)。自らのメッセージが意味すること、結果するのことを考慮しない人は、首相としての基本条件を満たしません。

 

武田康弘 (元「参議院行政監視委員会調査室」客員調査員 哲学講師)

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2 コメント

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疑問 (竹田徹)
2015-01-31 19:19:52
武田先生

おじゃまします。
「犯人たちを挑発するようなことを言う」愚かさ。人質に匕首がつきつけられているとき、不必要に犯人を刺激すべきではないという意味なら、その限りにおいて同意します。

しかし、テロに「今は、屈するほかない」には耳を疑います。テロリストの要求は丸飲みせよということですか。「テロは有効」というメッセージになってしまい、今の日本人は助かっても、将来の日本人を危険にさらしますよ。

テロに屈しないのは当然のことです。結局、力が強いものが勝つということになれば、社会の秩序は根底から崩壊します。
関係諸国・関係者の方々は今、この大原則の下で人質救出のため、不眠不休で努力してくださっています。具体的な対案も出さず、絶対安全な場所で批判するだけなら誰だってできます。「テロに屈するほかない」は、これらの努力に冷や水を浴びせる言葉です。

閉じられた世界の中で、シンパの方と互いに褒めあっていたのでは分からないかも知れませんが、外の世界はこのような、容易に解決できない問題だらけです。武田さんは暴力の前には無抵抗なのですか。言葉ってそんなに無力なのですか。
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文意の取り違えです。 (武田康弘)
2015-02-01 18:15:19
竹田さん、

テロに屈するほかない、などと言っていませんよ。

今は、

と書いているの外したら、まったく意味が変わってしまいます。

後藤さんの命を助けるために、今は、強く出たらアウトだといっているのです。嗚呼、殺されてしまいました、なんということ!

英米以外の人質は、欧州人のフランス人もドイツ人も解放されています。竹田さん、それではいけないのですか?

テロ集団をなくしていくのは、その原因を知り、その根っこを変える=改善する平和的努力です。
従来の日本外交に戻すことが基本条件です。

軍事力が逆効果にすぎないのは、アメリカが見事なまでに証明しています。徳も得もありません。



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