(演奏会終了後のサイン会で武田撮影、銀座王子ホールで)
昨日のオレイニチャクさんのショパン演奏会は、ショパンの全体像を開示した見事なもので、深く精神的に満たされました。
技巧を中心にした自己顕示の演奏とはまるで異なり、また、ショパンを聞きやすく上手に演奏して聴衆を喜ばせるのともまるで違います。
ショパンの本質を提示しようとする責任感に溢れた演奏で、ショパンの肉声を直に聴くように思えたのです。
前半50分と後半40分のプログラムは、それぞれが一つの組曲のようで、次々と変化するショパンの心象、思索と感情が露わになり、その複雑で多様な意味世界に心身が震えました。
メランコリーであり、朴訥とした語りであり、断固とした意志であり、精神の高揚感であり、オシャレであり、素朴であり、自然であり、華やかであり、感情と意志と思索のショパンの世界の色模様がピアノの音になっていたのでした。
いくらLPやCDを聴いて分明でなかった「ショパンとは何か」がまるで目に見えるような演奏会で、これは特別な体験でした。オレイニチャクさんに感謝です。
それにしても、サロンのような315席の銀座王子ホールでの演奏会、なんと贅沢なことでしょう。オレイニチャクさんは、四曲もアンコールされ、その後のサイン会も満面の笑みでした。内面の誠実さが顔に現れ、惚れ惚れしました。
武田康弘
<オール・ショパン・プログラム>
ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
ノクターン 第19番 ホ短調 Op.72-1
マズルカ イ短調 Op.17-4
2つのマズルカ 変ロ長調 Op.7-1、ヘ短調 Op.7-3
バラード 第1番 ト短調 Op.23
ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2
2つのワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2、変ロ長調 Op.64-1
ワルツ ホ長調 WN18
ワルツ イ短調 WN63
スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
********** 休憩 **********
ポロネーズ 第3番 イ長調 Op.40 「軍隊ポロネーズ」
ノクターン 第13番 ハ短調 Op.48-1
ノクターン 第17番 ロ長調 Op.62-1
2つのマズルカ ト短調 Op.24-1、ハ長調 Op.24-2
3つのマズルカ Op.63
幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
前奏曲 第4番 ホ短調 Op.28-4
ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
【アンコール】
ピアソラ:オブリビオン
クープラン:恋の夜鳴き鶯
ショパン:ワルツ 変ロ長調 Op.64-1
ドビュッシー:前奏曲集 第2集 より 水の精