現在の為替取引は、ほとんどすべて(99パーセント)がマネーゲーム=賭博なのですから、売買に税金をかけるのは当然のはずですが、なぜか無税です。
実行すれば、わずかな税率でも莫大な税収となり、消費税の必要はありません。
以下は、経済学博士で企業経営者のビル・トッテンさんの著作『アングロサクソン資本主義の正体』からです。
「私は、トービン税のように(1981年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンの提案)、日本円の売買に1%課税することを提案する。つまり円の売り手に0.5%、買い手に0.5パ-セント税金を課すのである。・・・これにより日本を危うくするほどの円の売買は防げるものと考える。
もし、それでも円の通過売買が極端に減らないとしても、日本政府は、年間132兆円税収を得られることになる。これだけで現在の地方税と国税をあわせた税収100兆円を大きく上回る税収となる。」(第5章・P.152)
わずか1%(売買に0.5パーセントづつ)の課税で円への投機を防ぐ可能性をもち、それが防げなかったとしても、国家予算を大きく上回る税収が得られる。
「トービン税」を導入すべきです。
武田康弘
よいブログがありましたので、以下に貼り付けます。
ブログ『薔薇、または陽だまりの猫』
「欧州連合(EU)欧州委員会、金融取引課税、いわゆる「トービン税」を2014年にも導入する方針」
2011-10-12 22:23:22 | 世界「欧州連合(EU)の欧州委員会が28日、株式や債券などの売買に課税する金融取引課税、いわゆる「トービン税」を2014年にも導入する方針を正式表明した。」
「「これは公正の問題だ。金融危機後、EUは金融機関に4兆6000億ユーロを支援してきた。今度は金融セクターが恩返しする番だ」。バローゾ欧州委員長は28日、ストラスブールの欧州議会でこう訴えトービン税を導入する方針を示した。14年1月に導入し、年間で約570億ユーロの税収確保を目指すという。」
「米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ夫妻らが設立した世界最大の慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(ゲイツ財団)」は23日、ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に、トービン税導入を勧める報告書を提出。株式取引に0.1%、債券取引に0.02%課税するとG20だけで480億ドルの税収が見込めるという。バロワン仏財務相は「(トービン税導入が)技術的に困難とは誰も言えなくなった。我々は前進した」と称賛した。」
「野放図な市場原理への警戒が根強いなか、ゲイツ財団は11月に仏カンヌで開かれるG20首脳会議(サミット)に同報告書を提出する。」
⇒仏カンヌでのG20に向けて9月29日の世界的な大動員(五千万人規模のデモ)が問われています。10・15から10・29へ!「全世界を占拠せよ!」
【東京新聞】米デモ仕掛け人 本紙に語る
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011100802000030.html
【ニューヨーク=青柳知敏】米ニューヨークのウォール街で始まった格差是正の抗議デモは、反消費社会などを掲げるカナダの非営利雑誌「アドバスターズ」(本部バンクーバー)がインターネットを通じて仕掛けていた。発行人のカレ・ラースン氏(69)は六日、本紙の電話インタビューで、投機目的の金融取引への「ロビンフッド税(一律課税)」の導入を求め、二十九日には世界各地で五千万人規模のデモを計画していると述べた。
ラースン氏は二十九日を照準とする理由を「(来月上旬に)フランスで開かれる二十カ国・地域(G20)首脳会議の前に世界中で行動を起こすためだ」と説明。全米に広がるデモは、批判が拝金主義や高額な学費ローンなど多方面に向かっているが「投機的な金融取引に一律1%の課税を求める。これを世界共通の要求事項に据える」と明かした。
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(以下、日経電子版記事より)
欧州が踏み込む「トービン税」 B・ゲイツ氏も“参戦”
2011/10/2 6:00 日本経済新聞 電子版
欧州連合(EU)の欧州委員会が28日、株式や債券などの売買に課税する金融取引課税、いわゆる「トービン税」を2014年にも導入する方針を正式表明した。実現すれば金融機関の経営に影響が及ぶのは必至とみられるが、EU内がまとまっていない状況だけに、市場はまだ模様眺めの姿勢。とはいえ、規制を廃して自由な取引を目指す「市場原理至上主義」への反発は根深く、市場は議論の行方に注視する必要があるだろう。
9月28日、欧州議会で演説したバローゾ委員長=AP
「これは公正の問題だ。金融危機後、EUは金融機関に4兆6000億ユーロを支援してきた。今度は金融セクターが恩返しする番だ」。バローゾ欧州委員長は28日、ストラスブールの欧州議会でこう訴えトービン税を導入する方針を示した。14年1月に導入し、年間で約570億ユーロの税収確保を目指すという。
EUでトービン税の導入方針はこれまでも何度か浮上している。今年6月発表の次期中期予算計画の原案にも盛り込まれたが、域内最大の金融センターを擁する英国が強く反対するなど、足並みがそろわない。今月中旬にポーランドで開かれたEU非公式財務相会合でも、同会合に参加したガイトナー米財務長官に一蹴されたという。それでも、仏と独という域内二大国の賛同を得たバローゾ委員長は半ば見切り発車で、米大統領の一般教書に相当する28日の演説の目玉として導入方針を打ち出した。
トービン税はその影響の大きさから「劇薬」に例えられることも多い。かつてはスウェーデンが1984~91年、株式と債券取引に導入。金融取引の大規模な国外流出を招いた。タイでも06年、通貨バーツ高の抑制へ為替取引に事実上課税する措置を中央銀行が打ち出したことがある。このときは1年未満の短期取引の場合、税率が10%にも上ったため市場が動揺。発表後に株価が暴落し、中銀は翌日には方針変更を迫られた。
今回はどうか。みずほ証券の柴崎健チーフストラテジストは「実現までには越えなければならないハードルが多く、市場はまだ半信半疑」と話す。ただ、導入への賛同論が勢いを増しているのは確かだ。
米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ夫妻らが設立した世界最大の慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(ゲイツ財団)」は23日、ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に、トービン税導入を勧める報告書を提出。株式取引に0.1%、債券取引に0.02%課税するとG20だけで480億ドルの税収が見込めるという。バロワン仏財務相は「(トービン税導入が)技術的に困難とは誰も言えなくなった。我々は前進した」と称賛した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)も社説では税導入に否定的なものの、28日のコラムでは、最近急増している高速取引(HFT)を市場をかく乱する“鬼っ子”と位置付け、トービン税は高速取引の抑制につながる一方、長期投資家にはプラスに働くと一定の評価を与えている。
折しも欧州証券市場監督局(ESMA)は28日、空売り禁止などの規制を強化したEU諸国のうち、イタリアとスペインが規制の延長を決めたことを明らかにした。野放図な市場原理への警戒が根強いなか、ゲイツ財団は11月に仏カンヌで開かれるG20首脳会議(サミット)に同報告書を提出する。
「金融ムラの論理に対する逆風は今後も強まる」(みずほ証券の柴崎氏)という見方がある。欧州はついに一歩踏み込んだ。市場は今後の風向きには注意した方がいいだろう。