生成文法や言語生得説で著名な言語学者のノーム・チョムスキー氏は、アメリカという一国家を超えた「世界の良心」と呼ばれる存在ですが、
彼は、現在の日本の危うさをもたらしている「ウルトラナショナリストの安倍晋三」を強く批判しています。
2分50秒に凝縮された〈行動し発言する碩学〉の言葉をぜひお聴きください。
2014年5月19日にイギリスの王立国際問題研究所 (Royal Institute of International Affairs)で行われた講演『アメリカ外交政策の再考 (Rethinking US Foreign Policy)』からの抜粋です。
https://www.youtube.com/watch?v=wbUqrajckxs#t=17
以下に、書き起こした文章も貼り付けます。(書き起こしの労を担われたのは、setsuo fujiwaraさんです。改行と太字は武田)
「日本は現在、ある種のウルトラナショナリストの首相とその政権が支配しているわけですが
この人物は明らかに、9条ー憲法の平和主義条項を切り捨てようとしているわけですが、私は最悪だと思います。
アジアの人々たちは、まだいくらか日本帝国主義についての記憶が残っているわけです。
それからもう一つ、日本では長い間、自国のアジアにおける戦争犯罪を過小評価しようという試みがなされています。
歴史家の家永三郎氏はそうした中で、最低限の事実を歴史教科書に含めようと闘い、いくらかの進歩があったのですが、それがまた後退してしまいました。
たとえば南京虐殺否定論であるとか、そんなような類です。
ちなみに、この土台はアメリカによって作られたのです。戦後、アメリカは単独で日本を占領しました。
本来ならば全ての戦争関係国を含む極東委員会による統治であったはずでした。アメリカはそれを全部追い出して単独で勝手に占領支配したのです。
それから対日講和条約として、1951年にサンフランシスコ講和条約が結ばれました。
この講和条約は日本の戦争犯罪を告発していますが、良く見て下さい。
その戦争犯罪とは1941年12月7日(真珠湾攻撃)からのものなのです。それ以前に行われた10年間の恐ろしい犯罪は一切考慮されないのです。
なぜですか。結局、それはアジア人に対する犯罪だったからです。ジョージ・オーウェルの言葉を借りれば「非民(unpeople)」というわけです。1941年12月7日(真珠湾)は違いました。それは「人間」に対する犯罪だったからです。
この講和条約の内容はあまりに恥知らずなものであり、当時のアジア独立国は会議出席も拒んだほどでした。インドも拒否しました。セイロンは当時イギリス植民地であったため出席しなければならず、フィリピンは義務的に出席せねばなりませんでしたが。しかし独立していたアジア諸国は出席を拒否しています。そして、それが土台になっているわけです。
さらに言うと、1947年の有名な「逆コース」によってアメリカは実質的に戦前の日本の体制を復古させ、社会に存在していた民主的な要素を壊していきます。
それが日本はこういった復古的政策を維持し続けることができるようになった基盤になってしまったのです。私はこれは物凄く悪いことであると思います。
それは別に中国が今やっていることを褒めるということではありませんし、ベトナム等に対して中国が現在行っていることなど本当に酷いものだと思いますが、それは別の話です。日本が平和主義憲法を捨てるということについて、私は非常に危険なことだと思います。」
(注)1947年の「逆コース」とは、民間人(高野岩三郎・鈴木安蔵ら)による憲法案を基に「日本国憲法」案をつくったアメリカ民生局の民主主義派から、タカ派のトルーマン大統領の国家主義派(日本を対ソビエトの防波堤にする)への転換のことを言います。占領からわずか2年もたたずしての急旋回は、その後のさまざまな矛盾の原因となり、戦前の日本権力者たちの復古的な保守主義を再興しました。A級戦犯の安倍の祖父(岸信介)が戦後に総理大臣になることができたのも、いま安倍首相が強権をふるえるのも、「逆コース」ゆえです。(武田康弘)
けれど大き過ぎて、粗さも気になります。
まずサンフランシスコ講和条約についてですが、出席を拒否したアジア諸国は、僕が知る限りインドとビルマのみ。
中国と朝鮮の各々2政府(計4政府)は、当時の微妙な国際情勢のなかで、そもそも招致されてさえいません。
まあそれ自体が「恥ずべき」姿勢だということは言えるかもしれませんね。
でもその理由はアジア人を間扱いしていたから~とまで言えるかどうか…。
もっとも違和感があるのは、GHQの政策変更から現在の第二次安倍政権までを一連の動きにしてしまっていること。
その間の揺り戻しは、家永教科書裁判だけに留まらない、もっともっと大きなものだったはずです。
日本は長い保守政権の時代も含めて、アジア諸国には比較的低姿勢で、ずっと外交していました。
それが変化した原因は、むしろ冷戦終了と日本経済の相対的衰退に求めるべきではないでしょうか~。
長期的な視野で歴史を捉えることも大切ですが、少なくとも現地で事態に直面してる我々は、もっと手が届く範囲から対処を考えたほうが、建設的であるように思います。
世界の良心と持ち上げるのはいいが、日本の再軍備を非難しているだけの話ではないのか?
日本の再軍備は、とうの昔にできています。しかし、それは、9条により、【専守防衛】に徹するものでした。安倍晋三という恐ろしいまでにデタラメな首相が現れるまでは。
チョムスキーは、アメリカの軍事行動に参加するための9条改定=海外派兵を批判しているわけです。
なお、チョムスキーのアメリカ軍部や右派の強権主義に対する批判は徹底していて、長年、全世界の良識ある人々に深い感動を与えてきました。
YouTubeもいい仕組みですが、話してる映像だけであれば、
発言を文章にしたものもあるってのが良いですね。
わかりにくい部分は、読み直すのも簡単に出来ますし。
書き起こしされた方にも、お疲れさまでしたと伝えたいです。
逆コースの注釈も、わかりやすかったです。
またおじゃましますね。
よいコメント、感謝です。
ぜひ、またお立ちより下さい。
FBにも飛べます。