詳しく書けばキリがなく、日記では無理ですが、第二次世界大戦で敗戦するまでの、わが日本の政治の実態は、恐ろしいものであり、多くの文化人(小説家や科学者や法律家や哲学者・・)は特別高等警察=特高に逮捕され、拷問を受け、殺されました。天皇への尊敬の念が足りないとされて職を奪われました。これらの「歴史的事実」は、体験者の方の証言が山ほどありますが、この天皇現人神(てんのうあらひとがみ)の恐怖政治の実態を、正しく伝え教えることは、現在と未来の日本人がよく生きるための必須条件です。
嘘や偽り、事実の隠ぺい、他の話にすり替えて誤魔化すことは、過去と未来への裏切りであり、道徳、倫理に反する所業であり、真面目に生きようとするすべての人間を冒涜するものです。イデオロギーや立場に囚われた嘘の言説はもうたくさんです。ほんとうにウンザリします。
まず、元兵士の方の証言を聞くべきです。「天皇現人神というイデオロギー」に染まらないふつうの人間的感覚をもつ人の話を聞くべきです。
また本は、『日本が「神の国」だった時代・国民学校の教科書を読む』入江 曜子 著(岩波新書 2001年12月刊 ¥740+ 税)は、やさしく読みやすいです。
詳しくは、『反日という呪縛』山中恒著(勁草書房 2008年11月刊 ¥3150は、とてもお勧めです。
わたしたちは、敗戦によって、ようやく【主権在民】を手にすることができました。
これは明治時代の初期からの『自由民権運動』(近代の世界最悪の政治家の一人といわれる山県有朋らによって徹底的に弾圧された)や、大正時代の吉野作造の『民本主義』や、暗い時代に個々人の個性を尊び自由教育を提唱した『白樺派』(日本最大の文化運動)や、思想統制の戦時下を耐えた民間文化人による憲法草案の作成(憲法研究会)・・・・
1945年、彼ら【反骨の日本人】の努力が、天皇主権の国体思想を掲げる【反民主的な日本政府】の崩壊により、ようやく実を結び、【主権在民を根本原理とし、自由・平等を基本理念とする民主政治】が誕生したのです。
1945年の敗戦は、特権者・支配者ではない大多数の日本人にとって【解放の時】だったのであり、市民革命にも似た効果をもちました。
われわれは、この人権思想に基づく民主政治をしっかりと現実のものにすべく、官僚支配を打ち破り、みなで考え対話し・みなで取り組み・みなで責任をもつ政治=「新しい公共」を粘り強く前に進めるべきだと思います。
それこそが、天皇主義=国体思想を学校教育で教え込まれ、戦争に駆り出された尊い命、戦争で犠牲になった命に報いるたった一つの道でしょう。戦争を肯定する『靖国神社』の思想ほど死者を愚弄するものはないのです。「良心」をもつ日本人は、人権と民主主義の思想を擁護します。死者の魂は、それを願っているのです。
武田康弘