★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

幻影のあるときは

2017-04-16 23:37:07 | 思想
もう少しで最高気温が30度になりそうなんです、いい加減してくれと思うこの頃ですが、みなさんいかがおs



福間氏が注視しようとするのは、何かの事件の幻影がある時の、そのイメージの多様な分散である。いや、分散であればいいが――、例の籠池氏が、自分を二・二六の将校達に擬し、「国家のために殉ずる気持ちで頑張ってきた人たちが、指導部に抹殺された。……勝者にはいい印象、敗者には悪い印象が与えられます。ただ一〇〇年たてばひっくり返ることがあろうかと思います」とか何とかこの前しゃべっていたのにわたくしもびっくりしたから、福間氏の本をふり返ってみた。

堀割など

2017-04-15 23:44:18 | 映画


いまジブリ映画を起点とした授業をしてるんで、「柳川堀割物語」も観てみた。柳川はかなり大規模で特殊な例だが、水路や溝の成立に関して似たような歴史が日本全国にあるに違いない。この映画でもあまり触れられていなかったが、なぜ高度成長に至る時代のなかで水路が汚れゴミためになったのか、そちらの歴史が気になるところだ。それは近代合理主義や共同体の崩壊のせいといって割り切れるものでもない。

小さい頃、溝掃除をやらされたものだが、巨大なミミズなどが発見され、面白かった。これが既に汚れた溝のせいなのかそうでないのか、それすら精確に知らないが、しかし、この溝さらいした土を肥料に使っていたのは確かで、映画で触れられていたとおりであった。

いま住んでいるところは、昔水で苦労したところで、鹿が来たのでそこを掘ってみたら水が出た、という伝説がある。いまでも水路が多く残っていて、それを一部みんなで掃除する。こういう習慣がどんな理由で残っているのかしらない。

わたくしの無知はさておき、我々の社会は、いろいろと忘れ去りすぎて、何が起きているのか分からなくなっている。この映画を観てもそう感じられる。

このまえ、論拠に学生憲章とか文科省のつくった文言とかを用いて証明を行っている論文集を見たので驚愕したが、論拠とボスへの言い訳の区別がつかない学者が本当にいるのだ。しかし、ここまで発狂していなくても、似たようなことを我々がやっている可能性はある。ちゃんと調べる習慣というのは、あまりに忘却が進むと結構難しいことになるという事態を示している気がするのである。

なにもなし

2017-04-14 23:51:42 | 日記


たぶん、いまはもう散ってる。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017041401032&g=pol

……政府の中枢の誰でもいいが、「我が闘争」を通読した人間が絶対にゐないことを私心内閣議決定いたしました。ちなみにわたくしは大学院のときに読んでいる。大学院の授業であつかっていたわけではない。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170414/k10010949061000.html
……大丈夫だよ(←何が?)。銃剣道で戦争やる時代じゃないから。奴らがやりたいのは竹槍訓練と同じでいじめに過ぎない。相手国は××××をなんとかミサイルで狙い撃ちですよ。一般人はころさずとも戦争は出来るらしいから。トランプさん、頼むから撃つなよ、将軍様を。自動車買ってあげるからさあ……俺は買わんけど

http://lite-ra.com/2017/04/post-3077.html
……だれだよ、この有村というのは。時代は、有村架純の方だろうが。だいだい、ニューウォッチ9へのつっこみどころはそこじゃねえよ。4月からのこの番組の体たらくは一体何事であるか。交代したアナウンサーの根本的にちゃらちゃらした感じが嫌すぎる。昼間の民報歪度ショーよりもひどい背景、奇妙なアナウンサーのアップ映像。幼稚なコメント。一番ダメなのは背景で、こんなごちゃごちゃした背景のなかで人の話に集中できるはずがない。アナウンサーが背景に埋没しているのは明らかに意図的であろう。前からそうだが、この番組はもうニュース番組ではない。国営放送的偏向すらやめて、ニュースを伝えないという偏向に出たのだ。もう完全にオワっている。唯一おもしろかったのは、わが高松局出身、保×アナウンサーがサブとして出ていること。かなりしゃべりがうまくなっていた。でも×里さんの真骨頂は、食べ物の紹介が絡んだバラエティだよ。とりあえず、今の桑子アナはブラタモリに左遷して頂いて、加賀美幸子さんに変えよう。男はもうこの際思い切って、例のGIカットの、えーと、木村草太でいいわ!×里さんは、高松局にカムバック!

・熊本地震とか、リンちゃんとか、もう少しでオカルトになりそうな祈祷ニュースよりも、いまは将軍様とトランプと我々の国のやばさではないか。ちゃんとトップニュースで扱えよ。

・森友事件はどうなったんだよ。麻生の次の大臣は誰?

・防衛省の日記隠蔽事件はどうなった?で、つぎの大臣は誰?

・天皇をやめたら民間人でいいよ。かわいそうだろうが。

Heil mein

2017-04-12 23:17:48 | 思想
人手不足も、緩やかな景気回復も、森友もシリアも、浅田真央への質問も嘘ばっかりやな、と思う今日この頃ですが皆さん、いかがお(rya



確かに、不穏な空気がただようになった。戦争が案外つまらない理由から起きるように、日常的にもつまらないことから事が起こる。しかし、本当にそれが本質的につまらないことかは別問題である。アメリカのバノンの周辺で「ハイルヒットラー」もどきの行動が起こるのはわかるが、我々の周辺だってあやしいもんである。省庁でも国でもなんでもいいが、それ等を背負って?とつぜん「Heil mein~」と言い出す人間はもう我々の周囲に日常的に存在している。それがわからないのは、本人だけで、――いやわかっていないかどうかはわからないのであるが…。我々としては、こういうご時世、自分に「嘘をつけ」と言えなくなったらおしまいである。正気を保つためというよりも、――いや、なんであろう?確かに、文学者が描いてきたように、罪障感は自我にとって厄介な代物であり、それよりも思い切って嘘を大声でついてしまおうとする連中がいる。つまり、嘘つけと言うことと嘘を大声でつくことは同じような現象の現れ方の違いかも知れないのだ。

われわれにとって、こんな自我の現象は、「自明の理」だ。しかし、相変わらず、組織の処世のために口を封じていれば安泰だと考える人々がいる。まったく見通しが甘いと言わざるを得ない。

道化の華とマーニー

2017-04-12 01:23:10 | 文学


時々読むと「道化の華」というのはやっぱり天才的だと思う。最初に読んだのは大学の時だが、大半は退屈だった。しかし最後の場面はすげえなと思った。今もそう思う。ジブリ映画ばっかり観ているとこういう天才がわからなくなるのではあるまいかと思われる。私がジブリ映画のすべてより太宰治を先に読んだことをとても幸運だと思うの。

で、予習のために「思い出のマーニー」を観る。

【観音様】浅田真央【引退】

2017-04-11 16:16:56 | ニュース


幼少の頃からスケートをやっておったのでなんとなく分かるが、3回転だか4回転だか知らないが空中でくるくる回ったり、500メートルを30秒台で走ったりするのは、人間業とは言えない。こんな才能がなくて本当に良かった。オリンピックに出ようものなら、氷上に立ったこともない、1メートル進んだところで無様にすってんころりん(で、臀部を強打)するような人間に、「号泣させろ」とか「日の丸を背負ってなんちゃら」とか「元気よこせ」とか、「失敗するとかたるんでる」とかあーだこーだ言われることになるのだ。素人は黙って(←無理か)ひたすら応援してればいいんだよ。不気味だよ。

今回引退した浅田氏なんか20年以上も膝と腰をハンマーで強打しているようなものだ。本当にやめられて良かったね……

とはいえ、大観衆から拍手される恍惚は素人は経験することは出来ない。それは言語を絶した快感であろう。よくスポーツ選手が「みなさんのおかげ」とか言うのは、まあ本当の部分もあるのかもしれない。


結論:くたばれジャイアンツ

夏の花と龍

2017-04-10 23:24:11 | 文学


あらためて「夏の花」を読んだらやはり洗練度がすごい作品であった。


やたら叩かれていた印象のある「ゲド戦記」であるが、観てみたら、思春期の足の重さがよく表現されていて結構おもしろいではないか。まあこういうテーマでアニメーションは限界があるので小説でやるべし。ああ元々小説でした……

ドベゴンズ初勝利記念読書

2017-04-07 23:28:23 | 漫画など


中日ドベゴンズは気がついたら最下位でしたが、まだ一度も勝っていないので当然でしょう。管見によれば、今日勝ったようです。

記念に「アイアムアヒーロー」最終巻を読みました。ようするに、思春期にはまだ人生はなく、中年から人生が始まるということであろうか。しかしそうでもないのである、そう思った時には、ほとんど何もかもが終わっている。――現代はそういう時代であろうか?そんなことを思いました。

それにしてもこのマンガ、終わるのに何年かかったっけ……?読み始めた頃、わたくしもまだ若かった気がするぞ……

しかしまあ、マンガのスピードより、読者の人生のスピードが速いようでは、我々がおかしくなっていくのは当然である。

林芙美子の死

2017-04-06 23:06:47 | 文学


芝木好子が「浮雲の人」という林芙美子の追悼文を書いている。それによると、壺井栄は林芙美子の訃報を聞き貧血を起こしたそうである。どうも我々は、林芙美子のような激しさには敏感だが、壺井栄のような激しさには鈍感である傾向がある気がする。気をつけたいものである。

空の青さを

2017-04-05 23:11:33 | 文学


私も多くの文学青年の例に漏れず、谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」を思春期に読んで、「わかりやすい、でもこの人のようには絶対にかけないだろう」、と絶望したクチである。いま読んでみると、「案外わかりにくい、しかもこの人のように書ける年齢は決定的にすぎてしまった」、とこれまた絶望する。

角川文庫の解説を大岡信が書いていて、この人は今日なくなったらしい。

そういえば、大学を出たばかりの大岡は1954年ぐらいに『近代文学』で、「男あるいはアメリカ」という、ものすごく気合いの入った詩を書いていた。といいながら、全然今思い出せない。

正直に言えば、むかしから、谷川も大岡も、なんだか「近代文学以降」のような気がして、あまり好きになれないのである。1971年生まれの私がそう思うのはなぜなのであろうか。

それにしても、上の谷川俊太郎の詩集だけでなく、吉本の「固有時との対話」や、安吾の「夜長姫と耳男」、壺井栄の「二十四の瞳」、安部公房「Sカルマ氏の犯罪」などがほとんど同時に書かれている1951、2年というのはおもしろい。映画「ゴジラ」はこれより後だし、大江健三郎なんかもっと後だ…