★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

あまりにも勉強すべきことが多すぎるのでしずかにしろ大統領

2017-01-31 23:41:56 | 文学


お願いだから、あまりヘンな事件を起こして勉強の邪魔をするんじゃない。まだ、ルソーもドストエフスキーも鷗外も全部読んでないんだよ、来年は高橋和巳も講義せにゃいかんし、渾身の「死霊」論もかかにゃならん。ついでにニーチェも坂口安吾も読まにゃいかんのだ。授業は漱石とかジブリとかSF文学論も偉そうに語らなくてはならぬ。あと、ここでは言えんが、四年越しの論文の執筆を開始してるのだ。それから細君にときどき食事も作るし、楽しく映画も見にゃいかんのだ。学内誌の編集も、卒論指導も……。

超忙しいだろうが……。

それなのに、なんだよ、あの大統領は……。わたくしの頭は、アメリカの民主主義とか移民問題まで余裕がないんだよ。頼むからうちのオリンピックキチガイの連中も一緒に静かにしててくれよ。どうせ、キミたちじゃ世界はどうにもならん。まだ、良い案が浮かんでないくせに、まずはオチツケ。大学人や批評家たちが対策をあと二〇〇年ぐらいかけて考えるから、その前にやらかすのはやめてくれ。大統領というより、登用されたバノンが問題なのだが…。

この乗り物はたしか14歳限定だったはず

2017-01-29 15:48:25 | 漫画など



授業の予習。

この映画、「となりのトトロ」や「パンズ・ラビリンス」に影響を与えてるのであるが、…観客というのは、つねに、トトロの背後に「ミツバチのささやき」をみてくれるとは限らない。この映画の厳しさは、それが意図を悟られないようにつくったものだったとしても、それだけでは出て来ないものである。一般には、例えば、安部公房の作品でも「夢の兵士」よりも「箱男」を重視してしまうのだが……、そんなことも考えておかなくてはならない。我々の風土は、本当は、「密かな抵抗表現」などほとんど開発してきていないのではなかろうか。勿論、それを読み解くリテラシーもない。

この前、演習の相談に来た学生にも話したが、我々は子どもよりも一四歳とか一七歳とかの思春期にこだわりすぎている。子どもの心に寄り添うとかいって、嘘ばかりついてさ……

自己批判と粛清

2017-01-26 23:28:53 | 思想
大学に出向してきている人たちへの批判が、ついに国会でも出てきたらしい。それはともかく……



仕事の合間に、森恒夫の「自己批判書」をちょっと読んだが、やっぱり、彼の「自己批判」というのが、最近の自称改革(笑)とかなり似ているのが気になる。自己批判は、心の隅々を点検する内向的なものですらなくて、理屈を実践的な何かで置き換えて行く改革運動であり、組織の長とすりゃこれじゃ粛清でもしなければもやもやが晴れないのは当たり前である。要するに、理論を「実践」することではなく、理論ではなく「実践」だという置き換えが、少なからず何かを「粛清」するものであるという、小学生でも知っていることを思い出すべきだったのである。理論の実践というのはつねに絶対に失敗するものである。そしてだれかがその尻ぬぐいをしながら勝手に軌道修正をはかりながらずるずると進んで行くのである。それがダメなのではなく、犠牲者はその方が少ない。しかし、最近は、どうもそれらしい「実践的理論」がつくられ、論文を見るとなんだかうまくいきすぎている。もちろん必ず嘘が混じっているのだが、こんなことを繰り返していればうまくいかないことが非常に腹立たしく思えてくるに決まっている。そういう「実践的理論」は、理論と実践の乖離を認めないからほとんど「服務規程」と化してしまうわけで、そんな規定が大好きな様々な想念の矛盾に耐えられない頭の輩、つまり人に命令したがっているルサンチマンに満ちた輩がそこで元気になる。それで、「実践」信仰がつねに何らかのかたちでの軍隊化を意味するようになり、やたらお前はクビだとか、自覚がないやつは死刑だとか、講義じゃなくアクティブラーニングだ、とかになってしまうのだ。それらはルサンチマンが絡んでいるから、必ず、理論的に悩んで行動が遅くみえる人々の迫害に終わる。

例えば、講義よりアクティブラーニングを、といったスローガンは、マルクス読むより山小屋での「総括」を重視するようなものだ。いくら後者が内容が濃いものをするのだと言い張っても、議題を外れることが許されないように、ある程度の思考力が奪われるのが前提になっているのは自明の理のような気がする。学びや思考に対してアクティブとか主体性などという形容をつけてる時点で、頭が全く働いていないのは置いておくとして、主体性を支援するという言い方が、赤軍の、自己批判・主体性確立を援助する、という言い方にそっくりなのはすごい。人間が感じたり考えたりすることは、主体性みたいなものよりも広く複雑で猥雑なのである。主体性とはそれを抑圧することである。やはり危ない。

すなわち、社会の役に立つとか、実践的な研究だとか、そういうことを言っている人間は全員既に一歩森恒夫になりかけている。大学の授業が現場のためにこそあるというのは、二歩森恒夫になりかけている。森は、本当に最後は自己批判を実践してしまったので、まだ「自己批判」の非実践的亡霊が有効に働いていたのであろう。が、いまは、最後に「実践的な自己を礼讃」という結末が待っているだけの人々が多く、お話にならない。つまり、まだ彼らは山奥でリンチの最中なのだ。

だから、トランプの「今は実行の時」とかいうせりふは極めて危険である。水責めも良いことにするそうである……

まあ、一般には、そんなスローガンやらルサンチマンが絡まなくても、出世のために糞みたいな命令にも喜んで従っている連中がほとんどである。問題は、遠くの首相よりも近くの上司だ。

残酷な汽車ぽっぽのテーゼ

2017-01-26 11:55:47 | 旅行や帰省


民主主義はありませんがエヴァンゲリオンが列車になってしまう国です。

汽車汽車しゅぽしゅぽしゅぽしゅぽしゅぽしゅぽぽ
逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ
畑もとぶとぶ家もとぶ
逝こうよ逝こうよどこまでも
明るい希望が待っている(しらんけど)

……乗っている人の気分は、こんなところか……

コロンブスのゆで卵

2017-01-25 17:20:02 | 文学
昨日、演習で花▼清☄の「コロンブスの卵」というコラムをあつかったのであるが、生卵ではなくゆ(う)で卵なら卵は簡単に立つ、と書いてあり、演習者に「本当かどうか確かめてみたか?」と言ったら、どうやら本当らしいので、わたくしもやって見た。



確かに立った!

この文章は、日本はホントに独立国かというアイロニーを言うためのコラムだったが、日本はバブルや高度成長でゆであがってもまったく立つ気配がない。だいたい国が一国だけで立つわけがないだろう。トランプがある種の商人であることは象徴的な事態だ。最近のやたら一国で立ちたがる国家の原動力には、一部の商人たちの危機意識が作用している。彼らの意識はプロレタリアートであった意識から絶対に抜け出すことはできない、すなわち――商人は自らを守るために国家を利用して、自分たちのシマ(結果的に国家)を確保しようとする。世界的帝国の一極覇権よりも、マフィア(国家)が割拠している方が平和だという発想なのかもしれない。確かに、社会主義でも民主主義でもそのイデオロギーによって煽られた(ふりをした)帝国の暴走というのはひどかった。虐殺は大規模であったし、世界で活躍しているエスタブリッシュメントな人々は確かにちょっと調子こいているとしか言いようがない(イメージ)。しかしながら、マフィアの世界においても、かなり人は死ぬのだし、あちこちで体が大きい馬鹿が威張りくさり、ひどい世界が展開していた訳である。かかる世界では、ボスがいくらキチガイでも、下々は足を洗うことができない。そういう共同体、即ち牢獄が人々の居場所だった時代にまた戻るつもりであろうか(以上イメージ)。現に、いまの日本の職場はほとんど恐喝といじめの世界に変貌している(事実)。

それはともかく、わたくしがいつも思うのは、卵の異常な美しさである。

附記)我が首相が「云々」をデンデンと読んだということで盛り上がっているらしいが、それはそうと、TPPに中国が入ってきたらどうなるんだろうね……ありえないことではないと思うんだが……

マドンナと爆発

2017-01-24 14:34:29 | ニュース


マドンナが「ホワイトハウスの爆破を考えた」とか呟いたので米国で騒いでいる。だいたいアメリカの事である。ホワイトハウスが爆発したとしても、上のような感じでアメリカンコミックスみたいに爆発してくれるに違いない。日本だと、爆発はゴジラの顔みたいになり、陰惨である。

https://www.youtube.com/watch?v=iOijIEH2d0A


わたくしは、井上剣花坊の妻であった井上信子の

国境を知らぬ草の実こぼれ合い

を思い出した。

稀勢の里とトランプと渡辺麻友

2017-01-23 23:31:33 | ニュース


http://blog.goo.ne.jp/shirorinu/e/dfdbffcf558929a5861461a11844de52

↑稀勢の里と言えば、北の湖に顔が似ているということで「がんばれ」と言ったこともある。しかし別に応援をしていたわけではない。

わたくしが応援していた(る)力士はとりあえず、「荒勢」(←包帯がかわいそうだから)、「高見山」(←泣き顔がかわいそう。性がワタナベ)、小錦(でかいし強いから)、千代の富士(強いから)、朝青龍(とりあえずなんか笑えるし強いから)、白鵬(めちゃくちゃ強いから)、御嶽海(御嶽に海がくっついている。もはや神としか言いようがない)。

稀勢の里は横綱になるような雰囲気であるが、大関で連続優勝しなきゃいけないんじゃなかったのか?決まりは守れや。横綱たちに失礼だろうが!白鵬に勝ったから、といえば、他にも勝った奴はいるだろうが!

だいたい、小錦を横綱にしなかった大相撲はもはや神事にあらず、まさにありふれた「人事」というべし。

そういえば、トランプがCIAに「キミたちを1000%支持する」と言ったらしい。小学校から算数をやりなおせよ。「君は1000%」とかいうもはや人事を超えた題名の歌が八十年代にあったな。トランプはこのセンスから抜けておらんだろう。

県庁にAKBの渡辺麻友さんがやってきて、瀬戸内48(←多分違う)みたいなものをつくるとか言って知事に挨拶したらしいです。みなさん、AKBとお近づきになるために、大蔵省に入って地元に下るという手があったぞ。

松方弘樹が亡くなったらしいが、この人は金さんというより、「仁義なき戦い」の人として記憶に残っている。



まさに「一教員の叫び」としか思えない。

稀勢の里優勝

2017-01-21 18:27:19 | 食べ物


稀勢の里をずっとモンゴル出身だと思っていたことを懺悔します。最近、相撲を見ていると、きなこの上でお餅が跳ねているようにしか見えないことも懺悔します。誠に申し訳ございません。

寅んぷ大統領就任

2017-01-21 14:34:29 | ニュース


不動産業から天下って大統領になった寅んぷですが、いったい何をするのでしょう。転業なのか天下りなのか知りませんが、大学にはお役所からの闖入者のほかに、現場からの天下りというものもあり、――とおもってよくよく考えてみら一番多いのは、高校と予備校からの18歳ぐらいの人たちの天下りだ。おおむね、話が通じないことが多いので迷惑な感じがしますが、とはいえ、天下り大統領よりはましなのでしょう。まあがんばって国民やこどもたちに寄り添ってください。でも嘘と虚栄は最小限にお願いします。あと、その「現実」だか「現場」に即した独自の意見や見解とやらをはやくお願いします。

こうすると、お前の発想は内向きだとか移民排斥まであと一歩だ、とか、わたくし自身の声が聞こえてこないでもない。寅んぷはたぶんおっちょこちょいの成金にすぎない。しかし、この転形期に乗っかり、下手すりゃ世界の大悪人になるのも厭わず立候補したところが、大学に天下りしてくる方々よりはかなりましと云わざるをえない。寅んぷの地獄落ちは既に決定しているが、地獄にすら席がない連中がかなりいるというのはダンテが既に指摘しているところだ。経験を語るならちゃんと認識のかたちにしてからにしてもらいたい。経験主義者というのはだいたい度し難い観念論者にすぎない。こんな常識すらわからない状態で教壇に立つのはまずい。

とはいえ、別に、わたくしは外から来た人たちを全員根本から軽蔑しているのではない。

考えてみれば当たり前なのであるが、――現場の中でショック状態にある者は、本当のことをむしろ語れなくなるのである。そこで生き延びるための宗教じみた気持ちをしゃべるしかなくなるのだ。現実がひどい場合には必ずそうなる。だから、そうした状態を恐ろしい努力でそれを乗り越えてきた人たちが、大学の空論に対して現場の実学を導入するはずが、――学問に対して宗教じみたものを導入してしまったのであった。そうなってしまえば、結局、本当のことを怖くて語れなくなるような空気が学問をやっていた人たちにも蔓延するだけである。なにしろ目の前にトラウマの塊みたいな現象が現れたので……。かような宗教現象に対する恐れはこれから社会現象になるはずである。

連携や協働などというものが、だいたい支配の隠蔽であることははじめからわかってはいたが、上のような事情も働き、だからこそ、みたくない現実は語ってはいないけれども、少なくとも本音じみた何かを語ってくれる寅んぷや×倍が案外人気が出たりするのである。しかし、だいたい人気は半々と言ったところだ。昔の学級会を思い出せば、そんな割合であることはだいたい予想が付く。あとは、暴力や脅しによって一角が崩されてしまえばもうどうしようもない。

トランプとマインホフ

2017-01-20 23:01:35 | 映画
最近は、シュレーカーの室内交響曲を聴きながら読書をしているわたくしですが、皆さんいかがお過ごしですか。



ついコンビニでこんなものを買ってしまったわたくしですが、それにしても買っておいてなんですが、「全語録」といいながら、全語録ではないし、監修者が取材したわけでもないこういう本に何か意味があるのか不明です。たぶん、わたくしみたくつい買ってしまう奴がいること自体に意味があるのでしょう。シャクなので、読んでみました。印象に残った言葉にさっそくコメントしてみたいと思います。

・「この世に信じていい者など存在しないと心得よ!この私でさえ決して信じてはいけない。」→その通りですね。そうします。

・「私は自分の金で選挙をやっている。誰からも指示は受けない。」→いいとこついてるね。でも、政治も自分の金ですべてやってくださいね。

・「私がメディアに憎まれるのは、私が彼らを必要としていなからだ。」→いいとこついてるね。でもあなたの好きなツイッターもメディアなんですが……

・「無駄な時間を省くには、可能な限り最高の人材をそろえることだ。」→いいとこついてるね。文科省の小役人にポストを用意している日本の大学に言ってやってください。

・「私は勝つ、勝つ、つねに勝つ」→日本のドラマに「トリック」というのがございまして、そこで上田次郎という狂言回しがそういうこと言ってましたね。つねに負けてましたが。

・「そのうち飽きてしまうぐらい、我々は勝ち続ける」→はやく飽きろや

まあ、あれです。オバマもトランプもガンジーに比べれば似たり寄ったりです。なわけはないが、オバマの時のアメリカも十分恐ろしい国であったことは明らかである。



連合赤軍の勉強をしていて、ずっと気になっていたのが、ドイツ赤軍との関係である。今回やっと「ザ・バーダー・マインホフ・コンプレックス」を観ることが出来た。これは面白かった。日本の連合赤軍をえがく映画が、内輪もめ、話し合い、を主とするのに対し、こちらは、話し合いはすっ飛ばして、とにかく敵を撃ちまくる。特に、裁判官や検察官への襲撃がすごい。わたくしは、イエスのファリサイたちへの攻撃を想起したが、やはり原作者(この人のインタビューは、日本の感傷的な根性主義的な運動の回想よりよほど優れていて、わたくしはショックだった)もドイツ赤軍を宗教的殉教運動とみているようだ。これに比べればトランプの「勝つまでごねる」的発言の方が、したたかな生きる計算が感じられる。トランプはおそらく、自分の正しさをそれほど確信してはいない。勝てばいいと思っている、まさに言葉通りの「ヤンキー」なのである

いずれにせよ、現実を舐めてはいかんという感じを、トランプからもマインホフからも受けた。