★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

鳩ポッポとするわ、すごいなあ

2013-09-30 23:35:23 | 文学


「うちのお母さん馬鹿なのよ、私がジャズを勉強して、素晴しいジャズ・シンガーになる、そうすれば美空ひばりや江利チエミのように有名になるでしょう、素晴しいわ、一本の映画出演料が二百万円、一回の舞台出演料が十万円、私の眼が鳩のように可愛いいってポッポていうのよ、芸名は鳩ポッポとするわ、すごいなあ、そうなれば、お母さんも豪勢な家に住めるし、自家用車も二台位もてるのに、神ならぬ身の知るよしもなく、お母さんたらジャズ娘、ジャズ娘って怒るのよ」
 アア世はまるで熱病か台風のように、日本全土は猛烈な勢いでジャズ熱に浮かされているのである。救われざるジャズの群の一人ポッポちゃんも、ここに早や百度程度の高熱患者である。
「サァ、おじさん早く行こう、レッスンしに」

――小野佐世男「ジャズ狂時代」


【カーン】のど自慢【カーン】

2013-09-29 14:14:23 | 音楽
十年以上ぶりに「のど自慢」を観た。のど自慢している人の後ろに、みんなで揺れてる順番待ちの出場者の様をみて、寒気がして以来観ていなかったのである。だいたいこの番組は、「のど自慢」したい素人(昔は「のど自慢素人演芸会」だった)が、プロの演奏者に伴奏してもらい、結句、広い舞台でさらし者になり、横からそそくさと出てくるアナウンサーの、「まあまあ、下手ですながんばってました。ところでお父さん、家族が来てますか。ああそうですか、ちゃんと家族守るために働いてくださいね、歌はあきらめて。はいはい、家族と地域の絆っていいですねえ、あなたにゃそれだけしかないんですから、がんばってくださいな。人生最後の檜舞台でした。またきてくださいね」というメッセージを全国民が自分のことのように受け取り、「やっぱプロの歌手のうまさはとんでもないな」と再認識し、プロの歌は夢や悲しみを与えるが素人の歌の下手さは人々を結びつけるということを知しらしめるという、――国民的一体感を上からインストールしようという戦時政策の延長であるところの紅白歌合戦より、よほどましな番組なのであったが……で、その素人の群れの中から、ごくたまにではあるが美空ひばりなぞがでてきたというなさそうであるところの奇蹟が人口に膾炙するにつれ、視聴者はますます、自分たちの心根を歌謡曲、というより歌手たちが代行しているかのように錯覚するわけである。素人の矜持と謙譲を保ちつつプロへの感情的通路を確保した見事な仕組みだなっ。(ほんとかいな……)

しかし、時代が進み、素人がカラオケなぞで歌が巧くなってしまう喜びを知った時、あまりの出場者のマイワールド的ナルシシズムに危険性を感じ、背後に出場者の目を配して、なんとか失われようとする共同性をつなぎ止めようとしたのではないかとわたくしは愚考する。而して、この状態では、一つ鐘(下手すぎて話にならん鐘。引っ込め鐘)をあまり連発する訳にはいかぬ。実際下手であるところのナルシストをあまりむやみに触っていけないからな。わたくしは、あんまり音程が正確なアマチュアではなかったが、さすがに今日の出場者は、ほとんどが「鐘一つ」だったと思ったぞ。でもだいたい「鐘二つ」なんだよね。んで、「かかかかかかかかんかんかんかーん」(合格←そなんですよ、この鐘は「合格」であって、そのほかはつまり「失格」なんですよ)をもらった人も、もっと爆発的に喜んでもよさそうなものである。だって、素人なんだから、なにに対して合格したのかはわからんが「合格」したらうれしいだろうが……。確かにプロなら「まあ普通です」という表情でもよかろうが、なんとなく、そんな表情を感じたのはわたくしだけではあるまい。プロとアマチュアの差は、技巧の差もあるけど、圧倒的に人の心に焼き付く妙なオーラを持っているか、いないかなのである。そんなものががたいした人生経験もなしに出てきてしまう特異体質の才能がプロなのである。それは今でも変わっていないと思うんだがなあ……。


カーン

まあ、すごいよ、全国に中継される中で歌うという勇気が……。歌はいつも心をこめて全力で歌うべし……これこそが結構難しい。

ペンデレツキ祭り

2013-09-26 23:27:25 | 音楽


坂口安吾や増田みず子などを読みながら、youtubeでペンデレツキを流していたが……。ときどき、中学生の時FMで聴いた曲が混じっていた。当時私は田舎の吹奏少年で、スェアリンジェンとかミッチェルとかを練習してそれらの曲でウキウキノリノリだったわけであるが、そんな中学生がペンデレツキを聴いていたおかげで……、今日の勉強はしばしば中断された。


グレエトヘンの存在をさえ忘れている復讐の

2013-09-25 23:28:38 | 文学


 けれども、感謝のために、私は、あるいは金のために、あるいは子供のために、あるいは遺書のために、苦労して書いておるにすぎない。人を嘲えず、自分だけを、ときたま笑っておる。そのうちに、わるい文学は、はたと読まれなくなる。民衆という混沌の怪物は、その点、正確である。きわだってすぐれたる作品を書き、わがことおわれりと、晴耕雨読、その日その日を生きておる佳い作家もある。かつて祝福されたる人。ダンテの地獄篇を経て、天国篇まで味わうことのできた人。また、ファウストのメフィストだけを気取り、グレエトヘンの存在をさえ忘れている復讐の作家もある。私には、どちらとも審判できないのであるが、これだけは、いい得る。窓ひらく。好人物の夫婦。出世。蜜柑。春。結婚まで。鯉。あすなろう。等々。生きていることへの感謝の念でいっぱいの小説こそ、不滅のものを持っている。

――太宰治「もの思う葦」

木曽谷十五夜殺人事件

2013-09-24 19:17:21 | 旅行や帰省


木曽谷や……五臓六腑に……キッキッキッキッ(←バイオリン



ある十五夜の……

Jaws theme!!


(これを聞きながらどうぞ)

(←よく見えない方は、クリックしてください。以下同様)




予告 死のカマキリ 1957年

(BGMチェンジして心の準備)





エンディングテーマ
予告 妖怪巨大女 1958年

ハイデガー・フォーラム二日目

2013-09-22 23:00:17 | 思想

国営放送的……存在


警察的……存在


一にして多


城の範疇の存在……


動物は世界が貧しい


鉱物なので更に貧しい


対して、人間は豊かである(苦笑)


日本の樹海に存在のふるさとあり(隣の人が「あラピュタ」だ、と言ってました……



壁の存在……

大阪城内存在に侵入



なぜ、こんな存在が……



決心したぞ、ラジオ体操することを



存在投棄投企



橋下市の大阪城、あるいは「庇護がないこと(Schutzlosigkeit)」、「支えがないこと(Halt‑losigkeit)」



会場は関×大学




我輩も牝猫を詠う

2013-09-18 22:13:36 | 文学


  Dans ma cervelle se promène,
  Ainsi qu'en son appartement,
  Un beau chat, fort, doux et charmant.
  Quand il miaule, on l'entend à peine,

  Tant son timbre est tendre et discret;
  Mais que sa voix s'apaise ou gronde,
  Elle est toujours riche et profonde.
  C'est là son charme et son secret.

――ボードレール