人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

サージェント.ペパーズになれなかったレコードたち

2022-09-18 11:15:35 | 映画・音楽など
先日、初めて「ビートルズ」の代表的名盤、いやロック史上の名盤とされる「サージェント.ペパーズ.ロンリーハーツ.クラブバンド」(67年発表)のアルバムを通して聴いてみました。
収録曲の3分の2くらいは何らかの形で聞き覚えがあるので、勿論悪く無いですが、今更という感じはやはりありました。
このアルバムを引き合いにされて語られるレコードは、既に何枚も聴いていて、どうしてもそちらの方に思い入れがあるのです。
どういう点で引き合いにされるのかと言うと、”コンセプト.アルバム“ということです。
つまり、一つ一つの曲がアルバム全体とつながっている(個と全体は切り離されない)ような構成で作られているもので、ただのポップミュージックでない、アートな香りを漂わせているレコードのことです。
この種のレコードを最初に聞いたのは、中3の初夏の頃、ビートルズのライバル、「ローリング.ストーンズ」の「サタニック.マジェスティズ」という、「サージェント...」(以下「S」)から数ヶ月後発表の、もろパクリと酷評されている作品でした。
我が家にあった安いプレーヤーと違い、金持ちの級友んちの高級ステレオで聴くと、スゴイ迫力で感激してしまい、その頃から急速にロックに対するアート指向(?)が強まってゆきました。
その半年くらい後に聴いたのは、ついに出口の無い前衛ロックへと手に染め、その大御所「フランク.ザッパとマザーズ」の「俺たちは金のためにやってるんだ!」(68年発表)という、何の変哲も無いメンバーのコスプレ衣様ジャケットのレコードでしたが、見開いてみて初めて分かりました!...「S」のパロディではないか!...歌ってる内容は、「S」に代表される、60年代後半、ブームとなった、愛、平和、サイケの”フラワームーブメント”への風刺。
実はこれ、「S」には、ザッパとマザーズの67年の前作「アブソリュートリー.フリー」(これは最近「S」と共に初めて通して聴きました)からパクったフシが伺われるので、”だったら俺らだって...”というノリで作られたらしいのです。
「S」には、とかく”ロック史上初のコンセプト.アルバム“、という評価が付きまとっているようですが、そんなこたあない!
ザッパだけじゃないのです。そのデビュー作「フリーク.アウト」(66年発表)からしてその括りで語られてもいいでしょう。
「キンクス」の「レイ.デイヴィス」は、コンセプト.アルバムに取り付かれた男と言っていい鬼才ですが、66年発表の「フェイス.トゥ.フェイス」というアルバムは、当初曲と曲の間をコラージュでつなげる意図て作られたが、レコード会社から無理矢理却下されたという。
そのライバル、「ザ.フー」の「ピート.タウンゼンド」も負けてはいません。66年に「クイック.ワン」というミニ.オペラを発表し、翌年末には、アルバム「セル.アウト」で架空のラジオ番組という設定で、何ら“溝無しに“、曲をつないでみせました。
「キンクス」、「フー」ともロック史上初のオペラ.アルバムという括りで語られていますが、私はそれはマザーズの前記パロディ盤じゃないかと思います(不揃いの悪声コーラスにそれっぽさを感じます)。
そうそう、「S」と並ぶロック史上の名盤という評価の高い「ビーチ.ボーイズ」(66年)の「ペット.サウンズ」も忘れてはならないでしょう。しかし、それもビートルズの「ラバーソウル」から刺激を受けたらしいのです。
なんだ、何だかんだって言ってビートルズか?...それは昔から聴いてる彼らの唯一のレコードだけど...こう挙げてゆくと、どこがコンセプト.アルバムだか分かんなくなりそう...
それに早けりゃいいってもんじゃないし...まだまだある「トラフィック」のファースト、「ヴァン.ダイク.パークス」の「ソング.サイクル」...「S」と比較されてきたレコードたち...”それじゃ、悪かろうはずなどないではないか!”、とそっちを優先に買い求めてきたのでした。
どうも、音楽ライターの言葉を鵜呑みにしたようではあるが...やはり悪くないです!
ただ、独立した曲として聴こうが、つながったものとして聴こうが、”アブソリュートリー.フリー(完全に自由)”ってことでしょう。(それにしてもLPレコードだとつなぎ目が無いというのは、聴きたい曲に針を落とすのに困るわ!)

昨日、久しぶりに「二ーノ.ロータ」の「フェデリコ・フェリーニ」監督作品「甘い生活」のサントラを聴きましたが、サントラに勝るコンセプトは無いわ!、と感じ入ったのでした!
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4 コメント

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Unknown (ジダン屋)
2024-05-12 21:17:30
寄席の脚光、ちょっと観ました
ポッジオは成程、べっぴんですな
マシーナに恋焦がれたと言うより、薄幸で頭の弱い、
無垢で純粋な役柄に一目惚れした感じですかね

超余談になりますがワタシは中学生の頃、知的障害児を集めた特殊学級の女の子達にバカ受け、大モテして
ラブレターを貰ったりしてました
健常者の女子には全く相手にされませんでしたねえ
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Unknown (シタテルヒコ)
2024-05-12 18:15:12
つい、懐かしくなって「寄席の脚光」(字幕なしなのでセリフがさっぱりわからない)のさわりを観たのですが、マシーナもこれに出ていました。
フェリー二と共同監督をしていた、アルベルト.ラトアーダの夫人がポッジオ!...奇しき因縁ですなあ!
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Unknown (シタテルヒコ)
2024-05-12 17:12:23
「ジュリエッタ.マッシーナ」って、そんなにタイプなのですか?
私は断然、初期のフェリーニ作品、「寄席の脚光」に出ていた、「カルラ.デル.ポッジオ」ですねえ...あんなコケティッシュで知的な女優は居ないと思いました。
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Unknown (ジダン屋)
2024-05-12 15:27:57
今丁度、YOUTUBEで「道」を公開してたのでDLしていました
若い頃、FM放送でニーノロータの「道」を聴いて、まァなんと良い曲なんだろ、と思って映画の方もレンタルビデオで見て感動したのを覚えております

あの女優さん(フェリーニの奥さん)が兎に角、好きで好きで、恋焦がれる心境だったんですが今自分が高齢者になって見直してみても、やっぱり惹かれますねえ
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