仙台で運送業を営むO社長から農業問題を取り上げた雑誌や本を頂戴する
ことが多い。 今回は、文芸春秋と写真の本を山形経済フォーラムの仲間で
あるSさんを通じて頂戴した。 なんと、Sさんは「この7月からO社長の会社
で働いている」とのことで驚いた。
「食料安全保障から考える社会のしくみ」と副題のついた本書は、今までの
自分に無かった視点で書かれていて、また、おぼろげながら疑問に感じていた
点の解消にも繫がる好書となった。
本書を要約して紹介するのは至難の業なので「はじめに」と「おわりに」
の一部を抜粋するのみとした。
「はじめに」から
農業の産業規模がGDPのわずか1%しかない先進国で飢えることはほぼない
のに国民の殆んどが農家である途上国では飢餓がしばしば発生する。食料を
作らない都市住民は餓死することが少ないのに、食料を自ら作る農家が餓死
することが多い。こうした経済システムの奇怪な現象が農業や食料ではよく
見られる。食料問題の解決は、食料をたくさん作ることでも、みなが農家に
なることでもない。非農業の産業が元気で農業も元気だ、という条件が必要だ。
非農業の雇用がしっかりあり収入も十分あって、食品を妥当な価格で購入する
とき、食料は人々にゆきわたる。農産物が売れて農家も儲かる。しかし非農業
に元気がないと、農家は売り先を失って貧しくなり、非農業の労働者もお金が
なくて食べるのに苦労する。飢餓や貧しさを回避するには、非農業の元気さが
欠かせない。農業だけでなく、経済システム全体への配慮が重要だ。
「おわりに」から
国内の農業が儲かるかどうかも、農業以外の国内産業が元気かどうかで左右
される。農業を考えようとすると、非農業の産業を考えなければならない。
つまり、日本国民が飢えないようにしているのは農業だけではない。非農業の
人たちの力も非常に大切だということだ。
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