簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

塔のへつり

2017-11-20 | Weblog
 会津鉄道の塔のへつり駅は中々に雰囲気が良い。
周囲の紅葉は小さなホームに覆い被さるように広がり、辺りを赤く染め上げている。
駅を出れば見事に色付いた林が有り、はらはらと散る落ち葉の中、枯葉をサラサラ
と踏みしめて歩く道が景勝地に向けて延びている。



 歩いても5分ほどの道ではあるが、車で来れば通り過ぎてしまい、電車で訪れる
人だけが味わえる特権のような道で、とても気持ちがいい。



 駐車場に苦労している車上の人々をしり目に、土産物屋さん、食事処などが建ち
並ぶ一帯にやって来た。
バスの団体客であろうか、店先には大勢の人が群がっている。
こういう団体では、だれか一人が何かを購入すると、それをトリガーに我も我もと続
くと言う話を以前聞いたことが有る。
だから売る方も引き金を引こうと必死の声を張り上げている。



 ここは「新観光名所福島三十景」の一つ、へつりの入り口である。
ここからは川の向こう岸に向けて吊り橋を渡るため坂を下るのであるが、その狭い
道には人の流れが切れ目もなく続き大変な込みようで、みな一様に吊り橋の先に
ある舞台岩を目指していた。



 吊り橋の上で写真を撮ろうと立ち止まると、橋が大きく揺れるのであろうか、嬌声
が何度も辺りの静寂を切り裂いている。揺れることも面白おかしく楽しんでいる風だ。



 辺り一帯の山々では木々が黄色や茶色や赤色の盛り上がり、そんな山肌に所々
緑の交じった見事な迷彩色を見せている。そんなグラデーションに包み込まれるよ
うに林立する白い奇岩の数々が碧い水の淀みに映っているさまは見事としか言い
ようがない。(続)



コメント
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