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簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

へつり工房

2017-11-22 | Weblog
 土産物屋さんの店先には土地の名産・名物などの漬物やお菓子や特産品など
に交じり、この時期ならではのキノコ、果物やマムシ酒等と言うものまで並べられ、
大勢の買い物客で賑わっている。

 そんな一角に、お世辞にも客が群れているとは言い難い店がある。
正面に「伝統こけし 岪工房」の看板、店の右手はガラス戸で仕切られた工房で、
「実演中」の看板の下に巨大なこけしが飾られている。



 土湯中ノ沢系伝統こけしの工人、北村和弘・寿万子夫婦の店である。
店を訪ね「ちょっと見せて下さい」と声を掛けると、ガラス戸を開け工房から工人が
出てきて対応してくれた。



 「奥さんは、描採だけですか?」「いや、ろくろから全部」
聞けばこの工房は、大正14年生まれの奥さんのお父さんが始められたもので、そ
の後を夫婦が継いでいると言う。



 「昔は椿や槐も扱っていたが、今はイタヤカエデだけ」
「跡取りもいないので 店番しながら、ほそぼそと」
そんな工人の言葉通り、手頃で土産としても買いやすい尺以下のものが店先には
並べられている。



 土湯系のこけしは、嵌め込みの頭、頭部に蛇の目の輪、前髪と鬢の間にカセと呼
ぶ赤い模様、胴は中央がやや膨らんだ円柱状で模様はろくろ線の組み合わせが特
徴だ。



 ろくろの回転を利用して頭を嵌めこむ作業は、一瞬の緊張技で、「首嵌め中の中
断は、駄目にしてしまうことがある」制作と店番を同時にこなす苦労をこんな風に語
っていた。



 今では新作の地蔵こけしや、金が増える縁起物としてなめこの置物を木で手作り
していると言う。また手軽なお土産としてはなめこストラップが人気だそうだ。(続)



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コメント
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