宇野線の列車は岡山駅を出ると、山陽本線と別れ南に進路を変え、市街地を
見下ろしながら高架を行き、しばらくして大元に停車する。
ここらあたりはまだ中心市街地に近く、駅の周辺には広い道路が通り、工場・
オフィスや商業施設、高層マンションや住宅が入り混じる喧噪を残した所だ。
江戸時代末期に、「幕末の三大新宗教」と言われる新教が誕生した。
奈良では天理教が、岡山では大谷村(現浅口市)で金光教が、御野郡(現岡山
市)では黒住教が立教し活動をはじめている。
黒住宗忠は当時結核を患い死を覚悟し失意の日々を送っていたある冬至の日、
昇る朝日に祈りを捧げていたとき、どうしたことか太陽がわが身に迫ってきた。
彼は思わずその陽光を飲み込んだところ、天照大御神と同魂同体になる体験を
なしたと言う。
そんなことが有って新教の一つ黒住教を立教し教祖となった彼は、以後「日の
出を拝み、感謝と感動の心で誠を尽くす」ことを説き、人々からは生き神様と
称えられた。
その黒住宗忠を祀る神社が駅から1キロ程西に行った先のクスノキの茂る小
さな森の中にある。生家のあった場所に鎮座している立教200年を迎えた黒住
教の「大元宗忠神社」で、この地方ではなじみの神社だ。
4月には御神幸が行われ、お旅所のある後楽園に向けて絢爛豪華な時代絵巻が
市内を練り歩く行列はすつかり春の風物詩となっている。
また元旦祭の行われる正月の初詣や、「鬼は内、福は内」と福豆入りの餅投げ
が行われる節分祭などでは大勢の参拝客を集めている。(続)
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